上司からのソシャハラに困っています。法律で撃退できますか?|平林弁護士がアドバイス!SNS法律相談所(連載03)

2015 7.29

相談内容

相談者 Dさん(新入社員)

平林先生、こんにちは。4月から社会人になって、早4ヶ月がたちそうです。ようやく仕事にも慣れてきて、はやく一人前になれるよう日々がんばっています!

ひとつ相談がありまして…

上司からの「ソシャハラ(ソーシャルメディアハラスメント)」に困っています。

「Facebookを教えてほしい」「Twitterやっていないの?」などしつこく聞かれたことがあって…入社当初で、「ここで断ったら上司からの評価が落ちるかも…」と不安になり、Facebookは繋がってしまいました。

それからというもの、上司から「ねえねえ、昨日の投稿にいいね押してよ!」「なんでコメントくれないの?」といいね!やコメントを強要してくるように…

また、「Dちゃん、日曜日バーベーキュー行ったんだね!楽しかった?一緒に映ってたひとは彼氏??」などプライベートな事柄まで聞いてくるようにもなりました。

いいね!と思っていないのに、いいね!したくない。だけど、上司のFacebook投稿に反応しないと、仕事に影響が出るのでは…と不安です。平林先生、「ソシャハラ」って法律的にどうなんでしょう?また、「ソシャハラ」の予防策などあったらぜひ教えてほしいです!

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ソシャハラの定義ははっきりしていない

Facebook繋がってしまいましたか…その上司さん、かなり面倒くさそうな人ですね…お気の毒に…( ˘ω˘ )

今回は、その面倒くさそうな上司さんを法律のパワーで撃退できるか、考えてみます。

ソーシャルハラスメント(ソシャハラ)。言葉自体はすっかり浸透した感がある昨今ですが、その定義ははっきりせず、どのような行為がソシャハラに該当するのか、その境界線はあいまいです。

法律の世界でも、ソシャハラは新たに登場した問題で、今後の議論の蓄積が待たれる分野です。当然ながら、ソシャハラを直接的に規律する法律は今のところありません。

しかし、ソシャハラと呼ばれる行為の中には、職場でのセクシャルハラスメント(セクハラ)やパワーハラスメント(パワハラ)に該当するものもあります。そして、職場でのセクハラやパワハラは、ソシャハラに比べると伝統的な”ハラスメント”なので、法律の世界でも議論の蓄積や裁判例が存在する分野です。

セクハラと法律

セクハラは、男女雇用機会均等法という法律に登場します。この法律によれば、職場において行われる労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応により、労働条件について不利益を受けたり、性的な言動により就業環境が害されることがセクハラです。同性に対するものであっても、セクハラになります。

・労働者の意に反する性的な言動といえるか?
・就業環境を害されたといえるか?

といった判断は被害者の主観を重視しつつも、被害を受けた労働者が女性である場合には平均的な女性労働者の感じ方を基準とします。

一方で、被害を受けた労働者が男性である場合には平均的な男性労働者の感じ方を基準とするとされています。

しかし、”平均的な”という概念もあいまいなので、行為を受けた本人が不快を感じれば、セクハラと判断される可能性があるといえます。


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