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これってソーシャルストーカーですか?|平林弁護士がアドバイス!SNS法律相談所(連載05)

2015 10.20

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相談者Fさん(社会人1年目)

平林先生、これってストーカーの証拠になるのでしょうか?

3ヶ月前、付き合っていた男性と別れました。私がフッたのですが、別れた後にソーシャルメディア上でストーカーのようなことをされています。。

友だちに言われて初めて知ったのですが、元カレがTwitterで「Fちゃんと別れたくなかった。」「昨日Fちゃんが投稿してたカフェに行ってみよう。」「Fちゃんがフェスに行くらしい。会えるかな」というツイートをしていたそうです。

また、私は元カレとFacebookの繋がりを切ったのですが、私の友だちに申請を送りまくって、メッセージで私の近況を聞き出そうとしているそうです。。

友だちの投稿にタグ付けされた私の写真が元カレに見られてるかも、、、

と思うと怖くて仕方がありません。。

警察に相談にいこうと思っているのですが、どのような行為からソーシャルストーカーといえるのでしょうか?また、上のような行為は証拠になるのでしょうか?

教えてください!
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今回は元カレのソーシャルメディア上の行動についてのご相談です。相談者Fさんの「怖くて仕方ない」というお気持ちはお察ししますが、さて、元カレさんの行動は法律的に何か問題になるでしょうか。

ストーカーというと、ストーカー規制法(ストーカー行為等の規制等に関する法律)があるじゃないか、と思う方もいらっしゃるでしょう。

たしかに、元カレさんがストーカー規制法に抵触していれば、警察から「警告」(ストーカー規制法4条)してもらえたり、公安委員会から「禁止命令」(ストーカー規制法5条)を出してもらえたり、さらに、処罰(ストーカー規制法13から15条)の対象になったりします。

しかし、元カレさんの現在の行動だけではストーカー規制法に抵触すると判断するのは、ちょっと難しいと思います。

ストーカー規制法の規制対象

ストーカー規制法の規制対象となる行為は、「つきまとい等」と「ストーカー行為」の2つです。

「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、その特定の者又はその家族などに対して行う以下の8つの行為と定義されています(ストーカー規制法2条1項)。なお、以下の8つのいずれかにあてはまる行為でも、上記の目的がない場合は「つきまとい等」になりません。

1.つきまとい・待ち伏せ・押しかけ(ストーカー規制法2条1項1号)

たとえば、通勤途中に尾行したり、職場付近で見張りをしたり、職場に押しかけたりする行為です。

2.行動を監視していると告げる行為(ストーカー規制法2条1項2号)

たとえば、あなたの行動を告げ、監視していることを気づかせたり、帰宅直後に「おかえり」とメールしたりする行為です。

3.面会や交際の要求(ストーカー規制法2条1項3号)

たとえば、会って話し合うよう要求したり、プレゼントを受け取るよう要求する行為も該当します。

4.乱暴な言動(ストーカー規制法2条1項4号)

たとえば、大声で罵ったりする行為です。

5.無言電話、連続した電話・ファクシミリ・電子メール(ストーカー規制法2条1項5号)

あなたが拒否しているにもかかわらず、何度も電話をかけてきたり、FAXや電子メールを送ってくる行為です。2013年の法改正により、それまで規制対象とされていなかった「電子メールの送信」が(遅まきながら)追加されました。しかし、Facebook、Twitter、LINEなどのメッセージはストーカー規制法が定める「電子メール」に該当しないため、これらのSNSを利用したメッセージの連続送信は、それだけでは規制対象になりません。この点は、現在、法改正が検討されています

6.汚物などの送付(ストーカー規制法2条1項6号)

汚物や動物の死骸などを職場や自宅に送りつける行為です。

7.名誉を傷つける(ストーカー規制法2条1項7号)

あなたを誹謗中傷するような行為です。なお、「名誉を害する事項を告げ」(ストーカー規制法2条1項7号)る行為の方法は限定されていないので、SNSのメッセージによるものであっても規制対象となります。

8.性的しゅう恥心の侵害(ストーカー規制法2条1項8号)

わいせつな写真を送ったり、卑猥なメッセージを送ったりする行為です。この規定も方法は限定していないので、SNSのメッセージによるものであっても規制対象となります。

また、「ストーカー行為」とは同一の者に対し「つきまとい等」を繰り返して行うことをいいます(ストーカー規制法2条2項)。ただし、「つきまとい等」のうち上記1から4までの行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われた場合に限って「ストーカー行為」となります(ストーカー規制法2条2項ただし書)。

元カレさんの行為は「つきまとい等」に該当するか

元カレさんは、

「昨日Fちゃんが投稿してたカフェに行ってみよう。」「Fちゃんがフェスに行くらしい。会えるかな」というツイートをしていたそうです。

とのことですが、実際に待ち伏せや押しかけが行われたわけでなないので、これだけでは「つきまとい等」には該当しません。

さらに、元カレさんは、Fさんのソーシャルメディア上での活動をウォッチしているようですが、Fさんが自ら投稿していて、誰でもその投稿にアクセスできるソーシャルメディアをウォッチしているだけでは、そもそも行動を監視しているとは言いづらいので、これも「つきまとい等」には該当しません。

というわけで、いまのところ、元カレさんの行動が「つきまとい等」に該当するとはいえなそうです。

もっとも、今後、元カレさんの行為がエスカレートして本当にストーカー化してしまう可能性もないとはいえません。不安を覚えているのであれば、一度、警察に相談されてみるとよいかもしれません。

 

さて、5回に渡ってお送りしてきたSNS法律相談所も、今回で最後になりました。この連載が、身近なSNS上の問題と法律の関係について知っていただく機会になっていたら嬉しいです。ありがとうございました!


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