フツーの男子がアイドルに!? ツイキャスで10代女子が熱狂する「イケボキャス」とは?有名キャス主ユニット「LoveDesire」の皆さんに聞いてみた

2015 8.12

こんにちは、三川夏代です。ガサガサ声です。

kakeruでは毎週木曜日19:30からツイキャスをこっそり放送しています。
kakeru編集部 () さんのライブ

ツイキャスの文化を学ぼうとランキングを見ていると、「イケボ」という謎のカテゴリーを発見。イケボ…イケメンボイス?イケてるボイス?どんな放送をするんだろう?ファンってどんな子?声だけで人を魅了できるって、どんな子たちなの?

知らないことだらけ。でも、若い子たちの間で流行っているのは明らかです。イケボの世界を探るためにキャス主さんへ取材してきました。

*キャス主:ツイキャスの放送配信者のこと

今回取材させてもらったのは、イケボの有名キャス主:としやん、とらくん、kentyくんです。今回はお会いできなかったのですが、さっくんを合わせた4人で「LoveDesire」(通称:ラブデザ)というユニットを組んでいます。

2015-08-10_0031

 

▶としやんのツイキャス http://twitcasting.tv/tsygsx
▶とらくんのツイキャス http://twitcasting.tv/to_ra_law
kentyのツイキャス http://twitcasting.tv/kenty2525
さっくんのツイキャス http://twitcasting.tv/sakuya_252525

イケボキャスのリスナー7割は、10代女性

三川:本日はよろしくお願いします。まずは初歩的な質問から。「イケボ」ってなんでしょうか?

としやん:そのまんま、イケボはイケメンな声(ボイス)の略です。声だけに集中してほしいので、顔は基本的に出さないです。

三川:(本当にイケボだ)。みなさんはリアルでもイケボと言われていたのですか?

としやん:いや、言われたことはなかったです。ツイキャスで初めて言われましたね。

三川:では、イケボに気づいたきっかけは?

としやん:僕がツイキャスをはじめた当初、実は顔出しで普通の放送をしていたんですよ。イケボとは全く関係のない内容です。放送を重ねるうちに、「声がイケメン」「イケボ!」というコメントが多くなってきまして。僕ってイケボなんだ、じゃあ試しにイケボ枠で放送してみようとやってみたら予想以上にウケがよかったんです。

三川:リスナーのみなさんのコメントでイケボに気づいたと?

kenty:イケボってリスナーが評価するものだと思います。自分で名乗っている自称イケボのひとがいるのですが、そういうキャス主さんをみるとモヤモヤしますね。

三川:(kentyさんもイケボだ…)。イケボってどういう人たちが聴いているのでしょうか?

としやん:リスナーの7割が10代の女性ですかね。

三川:彼女たちはイケボに何を求めているのでしょう?

kenty:ずばり、癒やしだと思います。聴いているだけでいいというか、中毒なんだと思います。声フェチなのかな。リスナーさんはアニメ好きな子が多くて、そのなかでも男性声優好きが多い印象です。

三川:本物の声優さんたちもいるのに、リスナーはなんでイケボキャス主さんの放送を聴くのでしょうか。

としやん:声優さんよりも僕たちは身近に感じることができるだろうし、ツイキャスは会話できるからではないでしょうか。

kenty:あー、たしかに。雑談できるのがいいよね。リアルタイムだから、リスナーひとりひとりのコメントに応えてあげられるのが大きいと思います。「癒されにきた」というコメントも多くもらいます。

三川:癒やされたいからリスナーは放送を聴きにくるんですね。

とらくん:たまにですが、僕の放送を聞き逃したリスナーからTwitterのリプライやダイレクトメッセージに「聞き逃してしまった、悲しいです…」「録画公開してほしい!」など要望をいただくことがあります。そこまで楽しみにしてくれてるんだと嬉しいです。

としやん:うん。リスナーさんは非日常を求めてツイキャスにきてくれる気がします。リアルでイヤなことがあった時や疲れている時に、僕たちのツイキャスを聴いてリフレッシュしたいのかな。

三川:(とらくんも落ち着く癒やしボイス…)。

どんな放送をしているの?

三川:みなさんのイケボスタイルというか、放送スタイルを簡単に教えてほしいです。

としやん:では僕から。「Love Desire」のリーダーをしていて、キャッチフレーズは「あなたの居場所はここです」です。リスナーさんに癒やしを提供できるような放送を心がけています。

とらくん:けっこうくさいセリフとか言ってるよね?

としやん:言ってる言ってる。リアルでは絶対言えないだろって恥ずかしいセリフも、ツイキャスだとためらうことなく言えてしまうんですよね。

三川:次はkentyさんの放送スタイルを教えてください。

kenty:僕はエロさや隠れかっこいいを出しています。最初はニコ生メインだったのですが、ツイキャスに移動しました。だってツイキャスのほうが配信がラクで便利ですもん。

三川:とらくんもお願いします。

とらくん:キャッチフレーズは「ありふれた日々、飽々なキミに。」です。リスナーさんに癒やしと楽しさを届けたいと思ってます。安眠放送を時々やってます。

三川:安眠放送?

とらくん:眠れないリスナーのために、子守唄がわりとして僕のツイキャスを聴いてもらうんです。心地よく眠ってもらえるようにBGMとしてオルゴールを流したり、声で雰囲気を作ったり。

三川:ところでみなさん、放送頻度はどれくらいなのでしょうか。

とらくん:毎日ですね。1時間以上は放送します。

三川:毎日!?!?

とらくん:はい、毎日です。長いときは4時間放送してましたね。

三川:そ、そんなに毎日話したいことがあるんですか?

kenty:違うんですよ。僕たちは話したいことがあるからツイキャスをするんじゃなくて、リスナーと会話したいからツイキャスをしているんです。

としやん:そう。特に話す内容も決めずにツイキャスを始めて、リスナーのコメントを拾いながらみんなで盛り上がるイメージです。で、ひと通り盛り上がったらコメントを拾ってまた違う話題で盛り上がる。

とらくん:だから、コメントがなかったら一切喋れないと思います。

三川:みなさん何時頃放送してるんですか?

kenty:んー、遅くて3時とかかな。

三川:眠くないですか?

kenty:眠いです(笑)めったにないですが、放送中に寝てしまう時があるんですよ。そしたら僕のリスナーがとしやんや、とらくんのところに行って「kentyが寝てるから起こしてあげて」ってコメントをしてたり。

としやん:リスナー同士も仲いいんですよ。

kenty:放送中に「みんな、このハッシュタグ使ってTwitterで仲良くなってね」と仲が深まるように誘導してます。みんなが仲いいほうが楽しいですからね。

イケボ界のトレンド

三川:イケボ界でトレンドってありますか?

とらくん:今僕たちがやっていることですが、コラボキャスを使ってみんなで寸劇をします。台本一切なしでリスナーをいかにキュンキュンさせるかを考えてやっているので、僕たちも楽しいです。

としやん:イケボが集まるとすごいよね。イケボパラダイス、イケパラ!

三川:仲良しのみなさんだからこそ、台本なしでも息のあったことができるんですね。

kenty:この4人の仲の良さは誰にも真似できないだろうし、ずっと続くと思います。誰かがトラブルに巻き込まれたときはすぐに助けに行きたいし、配信者だからこその悩み相談も3人には言えます。「Love Desire」としてどんどん活躍したいよね!

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普通の人のような、アイドルのような

三川:みなさんはどこで知り合ったのでしょうか?

kenty:本日はいませんが、「Love Desire」のもうひとりのメンバー、さっくんがきっかけです。僕とさっくんはニコ生主同士で、あるイベントで出会ったんです。みんなも、さっくんがきっかけじゃないかな。

三川:みなさん住んでいるところがばらばらですもんね。リアルじゃなくてネットきっかけで知り合うのがイマドキな気がします。

としやん:ネットだと趣味から入るので、すぐに仲良くなれますね。年齢も住んでいる場所も関係なく知り合えるからいいなぁと思います。

kenty:今じゃ全部ネットからはじまらない?

とらくん:うん。買い物もそうだし、友だちもみんなネットからだなぁ。

三川:これ聞いていいのか分からないのですが、みなさん普段は何をされているのでしょうか?

とらくん:社会人です。実は、今日の午前は仕事をしていました。

としやん:僕も社会人で普通に仕事をしてますね。

kenty:僕は学生です。

三川:朝起きて、仕事か学校に行って、家帰ってきてツイキャス…という生活でしょうか。

とらくん:そんな感じです。

三川:ツイキャスが生活の一部になっているんですね。あの、彼女はいるのでしょうか?答えられる範囲でかまいませんが…

全員:いません!

三川:そうなんですか!?みなさんリアルでもモテそうなのに…

とらくん:欲しいと思うきっかけが今はないですね。リスナーが彼女のようなものですから。

kenty&としやん:それ分かる!

三川:アイドルのような発言…!街を歩いていて声をかけられることもあるのでしょうか?

とらくん:あります。あるアーティストのライブに行った帰り。「あのっ、とらくんですよね!?」と話しかけられて、周りのひとたちも「芸能人のひと?」とざわざわし始めたときはびっくりしました。

三川:本当に芸能人ですね。ファンレターももらいますか?

とらくん:イベントのある時は、ファンレターと差し入れをもらいます。

kenty:3枚くらい手紙を書いてくださる子もいて嬉しいですね。手書きだし、Twitterやツイキャスと違った感じでいいなぁと思います。

ツイキャスをやってよかったこと

三川:ツイキャスをやってよかったと感じられることを教えてください。

kenty:ツイキャスのおかげで世界が一変しましたね。

とらくん:声を武器に、自分がこんなに影響力を持つなんて思ってもみなかったです。

としやん:ツイキャスをやってなければリスナーのみんなにも会えなかっただろうし。なにより、「Love Desire」の3人にも絶対に会えなかったなぁ。

三川:最後に、これからやりたいことを教えてください。

としやん:「Love Desire」でライブをどんどんしたいです!8/15(土)に大阪で、9/5(土)に東京でライブ&CD発売イベントをする予定です。作詞作曲ともにオリジナルです。自分たちで話し合って考えてます。

とらくん:僕たちは事務所に属していないので、ライブ会場を抑えたりチケットを管理したり…何から何まで自分たちでやっています。だからライブのチケットが数秒で完売したのは嬉しかったです。

としやん:今後は、もっともっと大きな箱でライブをしたいですね!リスナーのみなさん、これからも応援よろしくお願いします!

まとめ

ツイキャスには独自の文化が発達しており、終始学ぶことが多かったです。いまの若い世代は、癒しをSNSに求める傾向があり、非日常で癒されることが分かりました。半匿名性のツイキャスだからこそ、リアルでは言えないことをリクエストできたりコメントしたりできるのかもしれません。

もうひとつ感じたこと。若い世代は誰かに教えられることなく、自身で学びながら新しいコミュニケーション方法を築いているなぁと感心しました。ネットで知り合うことが当たり前の世代。趣味の合う人や志の近しい人とコンタクトを取りやすくなった分、今までにない文化を速いスピードで生み出せるのではないでしょうか。

彼らのようにSNS発祥で有名になり、事務所に属することなくCDを発売するような、自分たちの力で世界を切り開く子たちがたくさんでてくることを期待しています。「Love Desire」の4人にはその先導者になってほしいですね!これからのご活躍を楽しみにしています。

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