生きている中で吸収したものが、自然と自分のデザインに反映されている──白水桃花|INSIDEHEAD vol.1

2019 3.7

インターネットが当たり前になった今、SNSを通じさまざまなクリエイターが生み出す作品に出会う機会が増えました。

投稿された作品に出くわしては、笑ったり、感動したり、共感したり、癒されたり……。

人々の感情を揺さぶれる作品を生み出すクリエイターの才能に脱帽すると同時に、このように感じることも多くなりました。

“あの発想力はどこからくるんだろう”
“何にインスピレーションを受けてるんだろう”
“原動力はなんだろう”

作品が生まれるまでの、発想力や企画力が長けているのは間違いありません。では、それらをものづくりへ傾けさせる、原動力は何か。誰でも表現できる時代、活躍するクリエイターには、他の人と異なる何があるのか──。

今回、クリエイターが作品を生み出すまでの過程やアイデアの源泉を覗くために、Pinterestを活用しその“頭のなか”を掘り下げていく「INSIDE HEAD(インサイド ヘッド)」と題した連載をスタートします。聞き手は、ライターのあかしゆか()さんにお願いしました。

第1回目にお話を伺ったのは、クリエイターの白水桃花(しらみず・ももか)さん。

現在はフリーランスとして、サプリメントブランドのLisseやTHE RYOKAN TOKYO等のInstagramのディレクションや名刺や紙面のデザイン、アーティストや商品写真の撮影など幅広く活動。その傍ら、6:00 a.m. ( ロクジエーエム ) というブランドを立ち上げ、オリジナルグッズやハンドメイドアクセサリーの制作・販売といった自主制作も行われています。

その世界観で人々を魅了する桃花さんに、クリエイターとしての“頭のなか”を、たっぷり伺いました。

<プロフィール>
白水桃花(しらみず・ももか)。1997年東京生まれ、茨城育ち。中3で一眼レフを手に入れて写真を撮り始める。高校生のときに始めたiPhoneケースの販売をきっかけにデザインに興味を持ち、美大に進学。20歳の誕生日には、はじめての個展を開催。その後大学を中退し、現在はフリーで名刺や紙面のデザイン、アーティスト写真や商品の撮影、instagramのディレクションなど幅広く活動中。その傍らでオリジナルグッズやハンドメイドアクセサリーの制作・販売といった自主制作も行っている。

ものづくりを始めたきっかけは、「家でもできるアルバイト」を探したことだった

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インタビュー・執筆を担当した、ライターのあかしゆかさん

あかし:はじめまして。今日はよろしくお願いします。

桃花:よろしくお願いします。

あかし:お会いできてうれしいです。桃花さんが撮影を担当されているスキンケアブランドの「kinema」、ずっと愛用してるんですよ。写真が可愛くって、Instagramもついつい見てしまいます……。

桃花:わあ、ありがとうございます(笑)。うれしいです。

kinema

あかし:桃花さんのつくり出す世界観は、なんというか、清潔感の中に儚さと可憐さが同居しているような、不思議な魅力があるなと思っています。今日はそんな桃花さんの頭の中を覗かせていただきたいな、と。

桃花:緊張します……。よろしくお願いします!

あかし:ではさっそくですが、桃花さんが「ものづくり」を始められたきっかけを教えてください。

桃花:小さい頃からずっと、手を動かして何かをつくることが好きだったんです。写真を撮ったり、お菓子をつくったり、お裁縫をしたり、ノートを綺麗に書いたり。原点はそこだと思います。 直接的なきっかけは、高校生の時にLINEスタンプやiPhoneケースをつくって売り始めたことですね。

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あかし:高校生! 早いですね。どうしてつくろうと思ったんですか?

桃花:最初はバイト的な感覚でした。スーパーのレジやファミレスのキッチン、ウェイトレスと色々やったんですが、全部続かなくて…。「家で稼げる方法はないかな」と思ってはじめたのが、LINEスタンプやiPhoneケースをつくって売ることだったんです。

今も昔もずっと変わらない、自分が好きなものをつくること

あかし:最初は「家でもできるアルバイト」として、ものづくりを始められたんですね。どうして最初に売ろうと思ったものがLINEスタンプやiPhoneケースだったんでしょうか?

桃花:当時、iPhoneケースもLINEスタンプも、あんまり自分が「ほしい」と思えるものがなかったんです。ないならつくっちゃえばいいのかと思って検索したら、意外に簡単そうだったので。

あかし:すると、届けたい人を考えて……というよりは、自分自身がほしいものをつくっていたと?

桃花:そうですね。その時から今までずっと、私がものづくりをする時は、「自分がほしいものをつくろう」という思いが最初にある気がします。iPhoneケースも、今つくっているアクセサリーとかもそうですね。逆に、自分が心から「ほしい」と思えるものじゃないと、販売しないようにしています。

「肩書き」がなくても応援してくれる人はいる。武蔵美での大学生活と、退学の理由

あかし:桃花さんは武蔵野美術大学(以下:武蔵美)に入学されて途中で退学されているとのことですが、その経緯を教えてください。

桃花:「武蔵美に行きたい」と気持ちが固まったのは、高3の夏でした。武蔵美自体は知っていたんですが、軽い気持ちで入れないことはわかっていたので、勝手に選択肢から除外していました。

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あかし:名門校ですもんね。

桃花:でも調べてみたら、私が行きたかった学科が、デッサンができなくても数学や小論文だけで受験できる学科だったんです。デッサンは一定期間経験が必要ですが勉強であればできるかもしれない。1%でも可能性があるのならチャレンジしてみようと決意して、そこから勉強をはじめました。

あかし:大学に入学してみて、どうでしたか?

桃花:うーん…。正直、楽しさもある反面、大変さもありました。「一人暮らし」と「大学生活」が同時に始まったので、環境の変化に追いつかず、心身ともにきつかったんです。大学1年生は、ひたすらに課題をこなしていて、とにかく必死に生きていたなと。

たぶん私のTwitterで「課題」って検索すると、その頃は「課題がやばい課題がやばい」しかつぶやいてないと思います(笑)。


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