こんにちは、編集長のえとみほです。バリバリの昭和生まれです。
みなさん、Instagram(インスタグラム)使ってますか?
わたし、一応使ってるんですけど、正直何が面白いのかさっぱりわからないんですよ。リンクも張れないし、拡散もできないし、検索しづらいし…ここだけの話、不便じゃないですか?
だいたいあのリア充臭、なんなんですかね?オシャレ感がハンパないじゃないですか。他人のリア充写真なんか見てなにが面白いんでしょう、ほんとに。
でも、こんなおばさんの疑問とは裏腹に、若い女性を中心にどんどんユーザー数を伸ばしているInstagram。通称「インスタ」。いまや20代女子の間では「ツイッターよりインスタ派」が上回っているという話も耳にします。
これは女子を魅了してやまない「なにか」があるのでは?と思いまして、kakeruで「RINA’S FASHION MAGAZINE」を連載している石井リナちゃんとkakeru編集部のKotona(ともに平成生まれの24歳)に、インスタの何が面白いのか、どんな使い方をしているのか、話を聞いてみました。
ファッションライターの石井リナちゃん。
インスタ世代を育てたのは懐かしのあのWebサービスだった!
えとみほ:こんにちは。二人とも平成生まれですか、ひょっとして?
石井リナ:はい。平成二年生まれの社会人3年目です。
えとみほ:この世代って、生まれたときからインターネットがあったの?
Kotona:生まれたときにはなかったと思うんですが、小3のときに「ホームページ」っていう授業がありました。で、中学から高校くらいのときに「前略プロフ」とか「mixi」とかがめちゃくちゃ流行って。
えとみほ:あぁー、前略プロフ!mixi!流行りましたね。10年くらい前ですか。
Kotona:はい、その頃に自分のプロフィールとか日記とかあげる習慣がついたんだと思います。人気者になった子もいっぱいいましたし。
えとみほ:人気者?
Kotona:一般的な有名人というわけじゃないんですけど、同世代の同じ地域の子たちはみんな知ってるっていう感じのプチ有名人です。川崎市の同学年はみんな知ってる、みたいな感じの。
石井リナ:いまでいうと、Mix Channelに出てるような子たちに近いかな? 向こうはこっちを知らないんだろうけど、こっちは一方的に知ってるっていう。で、勝手に親近感持ってて「あー、あの子ね。知ってる知ってる」って感じで話題にしたりとか(笑)
えとみほ:ああ、なるほど。私たち世代でいうと「はてブ界隈の有名人」みたいなもんでしょうか(違うんですかね?)。ちなみに、Mix Channelは使ってるの?
Kotona:まさか!あれはもはや別世界。世代が違うなーって思いますね。
石井リナ:ついていけません(笑)。
mixiの恥ずかしい日記の話題で盛り上がる二人。
私たちがツイッターよりインスタを選ぶワケ
えとみほ:で、Instagramなんですけど。インスタ以外に使ってるSNSってありますか?学生さんはツイッター使ってる子も多いようだけど。
石井リナ:あー、ツイッターはもうあまり使ってないですね。プライベートではほぼインスタだけ。
えとみほ:なんでツイッターやらなくなっちゃったの?
石井リナ:ツイッターでやってたようなことが全部インスタで賄えてるっていうのが一番大きな理由かも。2つSNS立ち上げるのは面倒なんで、どっちか一方でいいやってなったら、インスタが残ったっていう。
Kotona:周りがみんなインスタに流れてきてるから、っていうのはありますね。
石井リナ:周りの子の話を聞いてると、ツイッターは文字書かないといけないけどインスタは画像だけでもいい、っていうのが気楽でいいみたい。ハッシュタグだけで文章書かなくていいんで。
投稿するのは「インスタジェニック」なもの
えとみほ:ちなみに、おじさんおばさんの憩いの場と化しているFacebookでは、よく子供の写真とか食べ物の写真とか、共感したニュース記事なんかが投稿されるけど、インスタにはみんなどんなコンテンツを投稿してるの?
石井リナ:なんでも投稿します。洋服も、食べ物も、旅先の写真も、自分の気持ちも。リアルライフそのまんまです。ただ、ちょっと美化してますけど(笑)
Kotona:Facebookでも「自分をよく見せる」っていう文化があると思うんですけど、Facebookはマインドの部分をよく見せる場な気がします。「意識高い自分」アピール、みたいな(笑)でもインスタはちょっと違ってて、あくまでよく見せたいのはビジュアルなんです。見た目がいかに美しいか、ということが一番重要で。
えとみほ:なるほどー、ちょっとわかってきた。だけど、なんのためにそういう写真をあげるんだろう?
石井リナ:うーん、自己顕示欲?自己満足?正直、そこはモヤっとしてるんですけど、私の場合は自分のフィードをきれいにしたいっていうのが大きいかも。「私はこういう世界に住んでいる」っていうのを、自分で眺めて満足したいし、ちょっとだけ人にも見てもらいたいっていう。でも、改めて「何のために」って言われたら…なんのためなんでしょう?(笑)
Kotona:私もモヤっとしてるんですけど、強いて言えばセルフブランディング的なものかなと。自分はこんな人間ですっていうアピールのひとつ。だから、汚いよりきれいなほうがいいし、見栄えがいいものをアップしたいんです。インスタジェニックなものを。
えとみほ:インスタジェニック??ってなんですか?初めて聞く言葉ですが。
石井リナ:一言でいうと「インスタ映えするかどうか」ってことですね。
Kotona:私たちの世代って、判断基準の1つに「SNSに投稿するネタとしてイケてるかどうか」っていうのが無意識レベルであると思うんですよ。その判断基準を一言で「インスタジェニック」って私たちは呼んでるんですけど(笑)
石井リナ:たとえば、ランニングイベントに出るとしたら、普通のマラソン大会よりカラーランとかバブルランがいい、っていう。
えとみほ:私も去年東京マラソンに出たけど、そんなこと考えもしなかったな…。ただ弱い自分に打ち勝つとか、健康のためとか(笑)
石井リナ:走るのが好きで走ってる人もいると思うんですけど、カラーランとかバブルランとかはもう完全にインスタに写真載せるためだけに参加するって感じですね。だから写真撮り終わったら「はい、今日の仕事はこれで終了!お疲れさま~」って(笑)
Kotona:だからやっぱりインスタに一緒に映る人も、無意識レベルでインスタジェニックな人を選んでる気がするんですよ。女友達とか、彼氏とか。極論ですけど。
えとみほ:え、人付き合いもそれに左右されるってこと?それはちょっと怖い…。ちなみに、インスタジェニックな彼氏って、いわゆる「イケメン」ってことですか?
Kotona:うーん、ただイケメンであればいいっていうのともちょっと違うと思います。イケメンでも、顔立ちの薄い人よりははっきりした人、おしゃれじゃない人よりはおしゃれな人、ちらっと映る手が綺麗な人、とか(笑)
石井リナ:そうそう、手が綺麗なのはいいよね!
えとみほ:え!ほんとにそんな基準で選んでるの?
Kotona:いや、あくまで無意識レベルの話ですよ!いちいちこういうこと考えてるわけじゃなくて、言われてみれば…って感じです。でも絶対あると思う。
えとみほ:ごめんなさい、だんだん話についていけなくなってきました。
一同:(笑)
ネイルアートは代表的な「インスタジェニック」アイテム。
感動よりも「いいね!」が欲しい?
えとみほ:ええと、わたし、だんだんインスタの何が苦手なのかわかってきた気がします。見るもの見るものが「きれいすぎる」んですよ。汚いものがなんにもないっていう不自然な感じ、わかります?おばさんたちが読む雑誌でいうと「VERY」とか「STORY」みたいな。でてくる人がみんな富岡佳子さんや平子理沙さん、みたいな。現実はそんなわけないでしょ、あんなアラフォーいません、っていう。
Kotona:あー、そうですね。私はツイッターもやるんですけど、ツイッターとは対極の世界だと思います。ツイッターは、人間の普段見せないネガな部分も見えるので。
えとみほ:そうですね、しょっちゅうdisりあったりとか見かけますしね。あんまり「みんなでBBQ行きました~」みたいなリア充な写真は見かけないですね。
石井リナ:そういうものを載せても反応ないからでしょうね、ツイッターは。
えとみほ:インスタではどういう写真に「いいね!」がつくんでしょう?
石井リナ:みんなが行きたい場所にいち早く行って写真アップすると、すごい「いいね!」がついたりしますね。
Kotona:私たちの世代でやたらフェスとか絶景スポットに行くのとか流行ってますけど、あれも「実際に体験して感動したい」欲よりも「SNSに写真あげて”いいね!”してもらいたい」っていう欲のほうが大きいんじゃないかと。
えとみほ:そこまでくると病んでる気もするけど(笑)、「いいなー」っていう羨望というか、「憧れ」みたいな感情を欲してるっていうこと?
石井リナ:憧れの要素はものすごく強いと思います。フォローするのはやっぱり憧れる人だったりしますし。Instagramは憧れでできてるって言ってもいいかもしれません。
ファッション誌化するInstagram
Kotona:インスタに出てるのは、日常のほんとに上澄みの部分だと思うんですよ。リアルライフの中の上澄みの「きれいな部分」だけをすくって、出してるという感じ。さっき江藤さんがあげていらっしゃったような、ファッション誌と同じなんです。
えとみほ:でも雑誌って「虚構の世界」を見せることで、商業的なメリットがあるわけじゃない?広告が入るとか、物を買ってもらえるとか。
石井リナ:それでいうと、インスタもそこに近くなってますね。最近は、インスタの中に自分で作ったアクセサリーとか雑貨とか洋服とかを載せて、ECに誘導してる人がめちゃ増えてます。
えとみほ:誘導って、本文にリンクはれないですよね?どうやって?
石井リナ:プロフィールに一箇所だけサイトへのURLを掲載できるところがあるんですよ。個人の場合はそこから自分のサイトに飛んでもらうんです。
Kotona:あとは「Fanista」みたいなアプリ使うとか。これ使うと、アプリからインスタの画像をみると、その画像に写ってる商品が買えるんですよ。まだ登録されてる商品少ないですけど、これからこういうので物買う人めっちゃ増えると思いますよ。
石井リナ:雑誌とかでもそうですけど、私たちは自分が憧れてる人からものを買いたいんです。おしゃれな人とか、きれいな人とか。「誰が」勧めているかは私たちの世代にとっては、本当に重要で。
えとみほ:なるほどなー、それはわかる気もする。私の世代でいうところの、週アスの物欲番長でスタパ齋藤がお勧めしてるガジェットをついつい買ってしまった、みたいなものですよね。
Kotona:物欲番長って、なんですか?
えとみほ:いえ、忘れてください…。今日は、どうもありがとうございました。
平成生まれ女子は極度の「見た目至上主義」?
いやー、たった二人の話なのでこれを一般化していいものかどうかわかりませんが、日頃ほかの”平成生まれ女子”たちと話をしていも、彼女たちがものすごく「見た目」を気にして生きていることは強く感じます。
彼氏も、友達も、上司も、見た目で「あの人いいね」「あの人ちょっとね」みたいに評価してるんですよね。もちろん自分自身も。
恋人はまぁ理解できなくもないんですけど、友達とか上司の見た目なんて関係ないんじゃない?っていうのが”昭和生まれ女子(ごめんなさい女子ですらありません)”の疑問なのですが、ソーシャルメディア世代にはそんな感覚は通用しないのかもしれませんね。
それでは、また。