こんにちは。kakeru副編集長のDスケです。
今回は「死後のSNS」というテーマについて書きたいと思います。
「SNS」と「リアル」の境界線が無くなりつつある今、SNS上には生者よりも死者の数が多くなることは時間の問題でしょう。もしかすると既に…と思っているのは僕だけではないはずです。
では、僕が死んでしまった時、”SNS上に存在している僕”は、一体どうなってしまうのでしょうか?
その答えを、今回の記事では紐解いていきたいと思います。
死後のアカウント対応について各社に質問してみた
今回調査対象のSNSは、全部で30社。まずは、各社に直接聞くために、次の7つの質問を「広報窓口」や「お問い合わせフォーム」に送ってみました。
- アカウントの所有者が死亡した場合、アカウント削除や凍結のような対処ができるか?
- できる場合、死亡確認はどのように行われるのか?
- 友人や近親者に管理権を移すことはできるのか?
- 死後の「のっとり」に対してはどのような対応がとられるのか?
- Facebookの「追悼アカウント」のような機能はあるのか?
- 前述した機能がない場合、今後対応はされていくのか?
- サービス自体が終了となってしまった場合、ユーザーが投稿したコンテンツ(文章、画像、動画、楽曲など)の扱いは決めているのか?
そして、結果をにまとめました。
回答して頂いた各社のみなさま、本当にありがとうございました。もし、加筆修正の必要があれば、随時更新していくので、ご担当者の方はご連絡ください。
しかし、全ての会社のアカウント対応が分かったわけではないので、30社分の「ヘルプページ」「プライバシーポリシー」「利用規約」などを読み、結果をまとめました。
目次も作りましたので、気になるSNS名をクリックしてみてください。
- Yelp
- mixi
- Ameba
- はてな
- 前略プロフィール
- Google+
- ツイキャス
- Periscope
- Youtube
- ニコニコ動画
- Ustream
- Vine
- MixChannel
- Tumblr
- note
- Medium
- LINE
- SNOW
- Snapchat
- Wantedly
- GREE
- モバゲー
- pixiv
- カクヨム
それでは、ぜひご覧ください。
死後のアカウント対応があるSNS
Facebook/「追悼アカウント」機能がある
Facebookに関しては、ご存知の方も多いと思いますが、利用者は事前に自身が死んでしまった場合「追悼アカウント」と「アカウント削除」のいずれかの設定をすることが可能です。
追悼アカウントについて、Facebookのヘルプページでは次のように説明されています。
追悼アカウントとは、利用者が亡くなった後で友達や家族が集い、その人の思い出をシェアするための場所です。追悼アカウントの主な機能は以下のとおりです。
プロフィールにあるアカウント所有者の名前の横に、「追悼」と表示されます。
アカウントのプライバシー設定に応じて、友達は追悼タイムラインで思い出をシェアできます。
写真や投稿など、アカウント所有者がシェアしていたコンテンツはFacebookに存続し、シェアしていた相手は引き続きそのコンテンツを見ることができます。
追悼プロフィールは、[知り合いかも]の提案、広告、誕生日のお知らせなどの公開スペースには表示されません。
追悼アカウントには誰もログインできません。
追悼アカウント管理人のいない追悼アカウントは変更できません。
管理者が1人しかいないFacebookページで、その管理者のアカウントが追悼アカウントになった場合、そのページに対して有効なリクエストがあればFacebookから削除されます。
ここに書かれている「追悼アカウント管理人」は指定することができます。たとえば、僕が死んでしまったとき、追悼アカウントの管理を編集長の塚岡に頼むことが可能になるのです。
こんな感じに。
これで、管理人である塚岡は僕が死んでしまった旨の投稿をしたり、プロフィール写真を遺影に変更したりできます。また、新しい友達リクエストの対応などもしてくれます。(死後に申請する人がいるかは不明ですが)
ただし、「故人のアカウント自体にログイン・削除」「タイムラインの投稿削除」「メッセージを読む」などはできません。
また、亡くなってしまった方の家族が、アカウントを削除する場合は、肉親である証明書や、死亡証明書などの書類が必要になるようです。
Twitter/故人のアカウント削除対応は可能
Facebookよりも匿名性の強いTwitterですが、今では本名で登録している人も珍しくありません。調べてみると、死後のアカウント対応を行っていました。
次のような説明が書かれていますね。
Twitterユーザーが亡くなられた場合、 Twitterは権限のある遺産管理人または故人の家族とともにアカウントを削除するようにします。
こちらの専用フォームから、故人のアカウントID、氏名、故人との関係など必要な情報を入力し申請すれば、Twitter社から、リクエストを送信した方の身分証明書や故人の死亡証明書などの情報提供の依頼が来るようです。これらの手続き完了後に、アカウントの削除ができるようです。
Instagram/「追悼アカウント」機能がある
InstagramはFacebook同様に追悼アカウント機能があり、第三者(家族や友人)からの申請になります。
これらを入力すれば追悼アカウントに設定ができるようです。
また、故人のアカウントを削除する場合は、次のように行うようです。
故人の近親者であることを証明できる方にかぎり、故人のInstagramアカウントの削除をリクエストできます。
そもそも故人の近親者しかアカウントは削除できないようですね。その証明として、故人の出生証明書や死亡証明書などの文書が必要になるとのこと。
Pinterest/故人アカウントの削除は可能
Pinterestでも死後のアカウント対応は行っていました。ヘルプセンターにアクセスし、「アカウントの解除/再開」で申請できます。
説明文も引用しておきます。
ご遺族からのご連絡があれば、故人の Pinterest アカウントを解除いたします。解除されたアカウントには、今後アクセスできなくなります。Pinterest のユーザーのプライバシーを尊重するために、アカウントに含まれるいかなる個人情報またはログイン情報も提供することはできません。
説明を読む限りでは、第三者によるアカウント運用は不可で、あくまでもアカウントの削除のみのようです。
mixi/近親者の申請により削除・凍結が可能
mixiについては質問状への回答がきていました。Facebookのような追悼アカウントの機能はありませんが、親族からの申し出によって削除・凍結などの対応を行うようです。その際に、除籍謄本などの文書は必須となります。
ちなみに近親者へのアカウントの管理権譲渡は仕様としては可能だが、今までにそのような申し出や対応など行ったことはないとのことでした。
※手続きページはありませんので、個別でお問い合わせとなります。
Ameba/一般人・芸能人で対応が異なる
Amebaサービスは芸能人の利用も多いため、芸能人と一般人それぞれについて回答を頂きました。
芸能人が利用しているオフィシャルブログなどは、本人が死亡場合は事務所確認となり、一般の方の場合は、お問い合わせフォームから、遺族の方のみ本人確認をした上で申請が可能となります。
FacebookやTwitterのように故人アカウント専用の問い合わせフォームは見当たりませんでした。
※手続きページはありませんので、個別でお問い合わせとなります。
はてな/原則死後に管理権の譲渡は不可だが、例外も。
はてなからも回答をいただきました。故人のアカウントへの対応は行っているとのことです。気になった点としては、友人や近親者への管理権を譲渡することは原則として不可と明言している点です。
原則としてできません。
登録時の本人確認手段がメールアドレスの受信のみであり、身分証明書の提示などは受けていないため、アカウントの所有者の死去や、所有者と管理権の移譲を求める方との関係性を証明することができないためです。
ただし、例外として登録メールアドレスが相続されていた場合、メールアドレスの受信が可能ですので、パスワードの再設定を行いアカウントを継続して利用することが可能です。
また、遺言として書面などでアカウントとパスワードが保管されており相続先が明示されていたような場合にも、相続を否定するものではありません。
「はてな情報ガイドライン」にて死亡した場合のアカウントへの対応についても言及がありました。
※手続きページはありませんので、個別でお問い合わせとなります。
前略プロフィール/サービス終了に伴いアカウントも全て削除
今年の7月29日(金)にサービス終了のお知らせがあった前略プロフィール。運営会社のザッパラスからも回答を頂きました。
サービス終了後、ユーザーが投稿したコンテンツにつきましては、弊社で責任をもって消去させて頂く方針です。詳細は下記ご確認ください。http://n.cgiboy.com/info/5765/
故人アカウントについての言及はありませんでしたが、サービス終了に伴い、ユーザーが投稿したコンテンツについては全て削除されるようです。データの抜き出しは個人で行わなければならないようなので、思い出を保存したい人は今すぐやりましょう!
Google+、YouTube/死後には3つの対応がある
Google+やYouTubeからの回答は頂けませんでしたが、元をたどればGoogleアカウント。調べてみたところ…ありました。
上記のように、3つの選択肢から「死んだ場合」の対応を選択することができます。
2つ目の「故人から資金を取得する」という選択肢ですが、こちらはGoogleAdSenseなどが当てはまるようです。つまり、自分の家族がもしYoutuberだった場合は、こちらから譲渡することも可能なのでしょう。
LINE/故人アカウントの削除は可能だが管理権の譲渡は不可
LINE社からは、故人アカウントについては次のような回答をいただきました。
個人から故人のアカウントに関する削除・継承依頼をいただいた場合も利用規約( http://terms.line.me/line_terms/?lang=ja )にて、すべての利用権の第三者への譲渡・相続等ができない旨を記載しており、故人のアカウントを削除・継承することはできかねます。
アカウントの削除はできるようですが、管理権の譲渡は不可のようですね。また、追悼アカウントのような機能も現状はないようです。
LinkedIn/死亡証明書に記載の上、アカウントの削除が可能
調べたところ、LinkedInも死後のアカウント対応をしていました。専用のフォームから、次の死亡証明書に記載の上、申請すればアカウントの削除ができるようです。
ちなみにこの死亡証明書(Word)の全文を見たい方は、手続きページからダウンロードできます。
死後のアカウントへの対応があるかもしれないSNS
こちらは、死後の対応が「あるかもしれない」SNSについてです。
GREE
死後のアカウント対応に関するページは見当たりませんでしたが、調べていると「NAVER」で次のようなまとめを見つけました。
▶▶死んだらどうなる?各ネットサービスアカウントの行方
問い合わせの結果を引用します。
死亡した事実を証明できる公的な証明書と、身分を証明できる書類を用意できる親族からの連絡をもって、利用停止の手続きを行うことができるとの事。
専用フォームはないので、個別で問い合わせという形なのでしょうか。断言はできないので、もしご担当者の方がこの記事を読んでいたら、教えて頂けると嬉しいです。
ニコニコ動画
こちらも明確に死後のアカウント対応について言及するページは見当たりませんでした。
ですが、ニコニコヘルプ内の「家族が登録したプレミアム会員・有料チャンネルを解約したい」にて、次のような説明を見つけました。
ご家族と連絡が取れない、亡くなられた等の理由でご自身以外の家族が登録したプレミアム会員・有料チャンネルを解約したい場合、決済方法により、niconicoへログインしない状態での解約が可能です。
クレジットカード、PayPal、携帯電話払い、AppleIDの4つのパターン別に解説されています。死後のアカウントについて触れているということは、もしかすると死後の対応について、正式な手続きもあるのかもしれません。
Tumblr
こちらも故人アカウントの言及は見当たりませんでした。しかし、検索していると同様の調査をしていたブロガーの方を発見。
次のような回答が返ってきたようです。
お問い合わせをいただきまして、ありがとうございます。アカウントはユーザー側からのアクションがない限りは、ガイドライン違反などがなければそのまま残ります。ご家族の方などがアカウントを削除されたいということでしょうか?確認をしますので、具体的なご要望を教えていただけますか?お手数ですがよろしくお願いします。
具体的な対応については個別で、という形のようですね。こちらももしご担当者の方も読んでいましたら、教えて頂けると嬉しいです。
死後のアカウントへの対応がないSNS
Yelp
Yelpでは死後のアカウント対応に関する情報は得られませんでした。
Periscope
Periscopeでは、故人アカウントの対応については見当たりませんでした。Twitterアカウントでのログインを考えれば、もしかすると同サービスの規約に準ずる形になるのかもしれません。
Ustream
こちらも故人アカウントに対しての言及は見当たりませんでした。有料のプランもあるので、利用している家族が死亡した場合の対応は気になるところです。
Vine
こちらも見当たりませんでした。ツイッター社が買収し、ログインもTwitterアカウントということを考えると、故人の対応についても同じなのかもしれません。
ツイキャス
ツイキャスからは、現在は故人アカウントについてユーザーからも求められたことがないため、具体的な対応については掲載を控える旨の回答を頂きました。
kakeruでも、以前ライブ配信のために利用していたり、メイクキャスやイケボキャスなど話題の人物へのインタビューもしていたりと、同サービスへの関心も非常に高いため、ぜひ正式な対応フローが整った際は、改めてお聞きしたいと思います。
MixChannel
こちらも死後のアカウント対応の言及は見当たりませんでした。kakeruでも以前、共同アカウントについてインタビューなどを行っているので、同サービスの対応については気になるところです。
note
マンガやコラム、小説など様々な分野のクリエイターが自身の作品を投稿・販売できるサービス「note」ですが、故人アカウントへの言及は見当たりませんでした。
収益が発生するサービスですので、故人アカウントになってしまった場合の行方が気になるところです。Googleのように、家族などが取得できるようなフローはあるのでしょうか?
Medium
シンプルなブログプラットフォームとして日本でもアーリーアダプターたちがこぞって利用している「Medium」ですが、死後のアカウント対応の言及は見当たりませんでした。
SNOW
SNOWの日本担当者の方からは、故人のSNSアカウントに関しては「ノーコメント」といただきました。
楽しい、面白いと言うコンセプトを打ち出しサービス展開をさせて頂いておりますので死後と言った悲しい、虚しいイメージは避けたいと考えております。
Snapchat
SNOWとならび、エフェメラルSNSとして代表的なサービスですが、こちらも死後のアカウント対応への言及はありませんでした。
コミュニケーションツールのWeChatですが、こちらも死後のアカウント対応への言及はありませんでした。
Wantedly
死後のアカウント対応への言及は見当たりませんでした。プライバシーポリシーを読むと、次のような文面が確認できました。
当社では、利用者本人又はその代理人より、個人情報の訂正、削除、利用の停止等の申し出があった場合、ご本人であることを確認させていただいた上で、業務遂行上必要な範囲において、合理的な期間で調査を行い、訂正、削除、利用の停止等を行います。
代理人でも可能ということは、故人の家族などからアカウントの削除対応などはできるのでしょうか?
モバゲー
モバゲーには、死後のアカウント対応に関する言及はありませんでした。モバゲー会員規約によると、会員資格の譲渡については、次のように定められています。
モバゲー会員はモバゲー会員資格を第三者に利用させたり、貸与、譲渡、売買、質入等をすることはできないものとします。
故人のアカウントの場合であっても、第三者に譲渡は不可というケースもあるので、今回も同様のことがいえるのかもしれません。
また、モバゴールドと呼ばれる、サービス内で利用するポイントについても、第三者への譲渡は不可と定められていました。
pixiv
こちらも、死後のアカウント対応に関する言及はありませんでしたが、アカウントの譲渡や貸与は規約により禁止されていました。
カクヨム
「KADOKAWA」と「はてな」が共同で提供している小説投稿サイトですが、死後のアカウント対応については「返答見送り」と回答をいただきました。
まとめ
SNSやインターネット上に個人情報を載せることが「当たり前」になっている今、死後の対応については重要なテーマなのではないでしょうか。
家族や友人とが亡くなってしまっても、Facebookの「追悼アカウント」のような機能があれば、楽しかった思い出を残し続けることもできます。しかし、アカウントを残すことで、「のっとり」などの危険性が潜んでいることも間違いありません。
明日からお盆休み。ぜひこの機会にご自身のSNSアカウントについて考えてみてはいかがでしょうか?
それではまた!