こんにちは。kakeruの酒井です。
最近では、企業がマーケティング活動にSNSを利用するケースは当たり前になりつつありますが、まだSNSについて、社内(とくに上長)に価値を感じてもらえてない担当者も多いのではないでしょうか? 理解のない人たちからすると、業務時間中に遊んでいるように見られることもしばしば。
ということで、直近でも公式妄想お絵描き企画など、積極的にSNSを活用している「」の担当者 野際万佐子さんにお話を聞いてきました。
元々は、1日30分程しか作業時間が無かったらしく、今SNS活用に悩んでいる担当者の方にとってヒントになることも多いと思います!
Twitterを運用する方が、広告に予算を投下するよりも効果が出た
――今日はよろしくお願いします! 森田アルミ工業さんはTwitterを積極的に活用されているようですが、目的としてはどのようなことを狙っているのでしょうか?
一番大きな目的は、会社の認知度を高めることですね。弊社は、大阪の端の方にあって全国的にも知られていない企業なので(笑) また、副次的な効果としてエンドユーザーの方々との距離を縮めることも目的としています。
――利用し始めたSNSはTwitterからですか?
いえ、実はGoogle+から始めているんです。当初は、弊社の公式サイトへの流入を目的に実施していました。でも、流入数がなかなか増えなくて……。他に効果的な施策がないか模索している中、まずはFacebookを導入しました。Twitterは、その後に社内に提案したんです。
――実際に流入数は増えましたか?
増えましたね。同時期に、Facebook広告も配信をしていましたが、Twitterで呟き続けた方が効果的でした。とくに驚いたのは、GoogleやYahoo!などのリスティング広告も実施したのですが、Twitterの方が反応が良くて途中で止めてしまいました。
――それは驚異的ですね…….。
もし弊社が販売サイトを持っていたら、リスティング広告なども獲得目的で続けていたかもしれません。ですが、サイト流入が目的だと、Twitterと比べて、費用対効果が見合わなかったんです。Twitterであれば私の人件費だけで済むので(笑)
――サイトの流入数以外に、「認知度が上がった」と感じたことはありますか?
フォロワーさんが、テレビの番組などで「おとうふ」が出てきたときに、弊社を思い出してくれたとツイートしてくれた時ですね。
――おとうふ……? 社名を想起させるキーワードとしては少し変わってますね。
そうですね(笑) 会社としては”シンプルモダン”というコンセプトを押し出す運用を期待されていたんですが、Twitterの文化とは合わないですよね。Twitterは、ゆるくて、趣味でつながっていくコミュニティなので、「そんなコンセプトのまま運用するのは正直どうなの?」と思って(笑)
むしろ、Twitterの文脈に合わせることが大切だと思っていたので、狙ってツイートをした時期があって。
――Twitterの文脈に合わせるために狙ったツイートが「おとうふ」だったと……?
メインで推しているのが”pid4M”という物干しアイテムでしたので、見た目と呼び方と機能のギャップで行こうと。そうしなければ誰の目にも触れず覚えてもらえないと判断したんです。
歩美「どうしたの? コナンくん」
コナン「この おとうふ、壁にくっついてて、しかもワイヤーが出る…妙だな…」— 森田アルミ工業株式会社【公式】 ()
▲今では「おとうふワイヤー」をフックにpid4Mを押し出すことが当たり前化している
(´∞`).。oO(おとうふワイヤーこと「pid4M(ピッド ヨンエム)」がお手元に届いた皆様、よろしければツイートやブログで記事にして頂けるとナカノヒト、上司を説得した甲斐がございますので、よろしければよろしければ…)
— 森田アルミ工業株式会社【公式】 ()
▲社内で説得したことが伺えるツイート
企画を通じて「ものづくり」の会社であることを世間に浸透させたい――エンドユーザーを意識したコミュニケーションのわけとは?
――冒頭で「エンドユーザーとの距離を縮めたい」と仰っていましたが、御社はBtoB企業ですよね? エンドユーザーとコミュニケーションをとっているのには、どのような意図があるのでしょうか?
方法のひとつとして、エンドユーザーの皆さんとも触れ合えるような企画を実施しています。たとえば、毎年「夏休みの宿題」という企画を実施しています。隠れた意図としては、弊社が「ものづくりの企業である」ということや、ものづくりの素晴らしさ、重要さを広められたら、という願いも込めているんです。
【 のお知らせ】毎年恒例夏休み企画♪
今年は「自由部門」とテーマ付「ルーケス部門」の2つ!
個人、団体参加自由、何点でも可!両部門参加もOK♪
ただしいずれも立体製作物に限ります♪(´∞`)詳細は画像にて— 森田アルミ工業株式会社【公式】 ()
Twitterではただ見ているだけでも楽しくて、さらに参加してより楽しい企画をするようにしています。
――この企画拝見しました! 他にもユーザーさんを巻き込んだ企画などありますか?
他には今、Instagramもじわじわ始めています。
――具体的にどのようなことを実施しているんでしょうか?
弊社には施工事例の写真がすごく少ないんです。基本的にパンフレットなどの写真も自社制作なのですが、直接依頼がなかなか出来なくて……。そこで、とてもきれいな写真を撮っている方が集まっているInstagramでご協力をお願い出来ないかなと考えました。
たとえば、私達の素材を使ってできた施工事例の写真を撮影してくれた方に、掲載許可を頂いてリポストや他SNSへの展開、弊社パンフレットにご協力頂いています。
――BtoB企業としては、本当に稀有な存在だと感じてしまいます。なぜ、エンドユーザーとのコミュニケーションを大切にされてるんでしょうか?
BtoBに限らないと思っているんですが、「エンドユーザーさんと直接コミュニケーションができる」というのはメリットだらけだと思うんです。
たとえば、作り手にとってはみなさんの商品に関する“生の声”というのはとても役立つんです。もちろんものづくりをするときには、利用する方々のことを考えて細かい点にも気をつけながら作るのですが、やっぱり利用者の方々が実際に触れてみて気づくことって見落としがちで。良い声も悪い声も含めて、製品の改善の糧にさせてもらっています。
――たとえば、実際にユーザーの声が取引などに役立つこともあるのでしょうか?
実はあります。エンドユーザーの方々が、商品を購入する際に施工業者の方に弊社指定で依頼頂くことも多いんです。
その時に、弊社がフォロワーの皆さんと楽しみながらコミュニケーションを取っているうちに、「この企業面白い!」と思ってもらえたり、愛着を持ってもらえたりしてくれると思うんです。
そういった声や企画活動が間接的にお取引先の企業へのアピールにもなっていて、実際にOEM依頼や取引の数などは格段に増えており、売上に対しても目に見えて成果を出せている実感はあります。
「作業時間は1日30分だけ」――「隙間時間でのABテスト」「各メディアでの掲載」などを経て、社内のSNSへの認識を変えた
――それにしても、最初はなかなか理解されなかったんじゃないですか。SNSを活用するという話は。
そうですね。とくに、他の業務も兼任していることもあったりして、「SNSは1日30分まで!」と制限されていました。
――そうですよね……きっかけはなんだったんでしょうか?
いくつかあるんですけど、「ねとらぼ」さんに、夏休みの宿題企画が取り上げてもらって、Yahoo!ニュースにもその記事が取り上げられたんです。
▶▶森田アルミ工業の夏休みTwitter企画「夏休みの公式宿題」実施中 作品も続々投稿されているぞ
――すごい! 社内も驚いたんじゃないですか?
それはもうみんな驚きまして(笑) SNSについての理解はないですけど、「Yahoo!ニュースにうちが載った!」ということの凄さは理解したんですよね(笑)とくに、費用は私の人件費だけなので、しかも30分。投資対効果で見るとすごいことになったぞ、と。翌年にはフジテレビさんにも取り上げられたりして、メディアへの露出も増えていったんです。
――Twitterの文脈に沿って作った企画だからハネたんですよね。でも上の方は、ゆるい企画やツイートすることに理解してくれなさそう……
そうですね。会社のコンセプトは”シンプルモダン”なので(笑) だから、ゆるいツイートや企画などは事後報告でした(笑)
――結構やんちゃですね!(笑)
実際は、もちろんいきなりゆるくはしなかったんです。ゆるいツイートと、堅い商品訴求などのツイートを全く同じ内容で2パターン投稿してABテストをしていたんです。
で、当然なんですけど前者の方がエンゲージメントも高くて。上長に数字を出して共有して、あまりに明らかな差でしたから、「では今後はゆるく行きますね」と(笑)
――ABテストや、メディアへの露出以外にも何かきっかけとなるようなことはありましたか?
あとは、2年前にシャープさんが来社してくれたんです。もともとTwitter上でゆるく絡んでいて、弊社のサイトがとても綺麗、ということを言ってくれて。実際に会いたい、と。最初はよくあるお愛想かなと思っていたら、ほんとに来られるということで(笑)
――おお!それはまた社内も驚いたのでは?
案の定ざわつきました(笑)通常ではありえない状況ですので。Twitterならではとも言えますが。私だけで対応する予定だったのですが、急遽上司と社長も同席しまして。そこで、シャープさんの“中の人“が、社長と上司に対して、Twitterの運用がいかに大切で、どれだけ大変か、ということをえんえんと語ってくれまして。
そのおかげもあって、少し前から効果は感じてはいてくれたようでしたが、完全に上がSNSの理解や重要さをしっかり捉えてくれた大きな機会でした。
その後からは、何か企画に大きく費用が発生する場合は相談するようにと言われるようになって、色々と企画を展開できるようになりました。
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まとめ
今回お話を聞いて感じたのは、担当者の野際さんの推進力や、各SNSにおける文化についての理解の深さでした。
SNSにおける利点をしっかりと理解し、自分自身も楽しみながら活動を続けることで、影響力のあるメディアで取り上げられたり、アルファユーザーであるシャープさん、同じ中の人同士で仲良くなることで、副次的な効果を生んでいることを実感しました。
今、同じような境遇の担当者の方は、ぜひ森田アルミ工業さんのSNSの動きをチェックしてみるとよいかもしれません。