企業とクリエイターの上手な付き合い方とは?「テサフェスvol.2」主催者の裏話から学ぶイベントのこれから

2018 11.28

こんにちは。kakeru編集部です。

2018年10月13日(土)、10月14(日)に「DESIGN FESTA GALLERY EAST 101」にて開催された「テサインフェスタ vol.2」。

今をときめくクリエイター陣18名が出展したイベントで、2日間で約1,100人が来場するほどの大盛況ぶりだったようです。

各ブースではクリエイターによるグッズ販売や似顔絵作成、アクリルブロックやターポリン製ポスターなども展示されました。kakeru編集部も出展させていただきました(詳細はこちら)。

そんな「テサインフェスタ vol.2」にクリエイターとして出展もしたkakeru編集部のざきよしちゃんが、イベントを主催した画家のさん、漫画家でイラストレーターのさん、今回出展費を負担するという形で協賛したGMOペパボ株式会社が提供するオリジナルグッズ作成・販売サービス「SUZURI」のすっしーさんに「企業とクリエイターがコラボしたイベント」の目的やメリット、課題についてアレコレ聞いてきました。

企業とクリエイターがコラボしてイベントをやるメリットは?

20181022-suzuri (29 - 34)20181119

写真左:ざきよしちゃん、1994年生まれ、会社員兼イラスレーター。
女の子とうさぎとキラキラをテーマに絵を描き、それをSNSに載せている。週末はPLAZAで雑貨を買い漁るのが趣味。
Twitter:

写真中央左:すっしー(鈴木翔太) 、1988年生まれ、GMOペパボ株式会社 SUZURI事業部マネージャー。
音楽観賞や映画鑑賞が趣味のため、表現する人のためのインターネットサービスを運営しているペパボに惚れ込み、2012年に新卒で入社し、現在7年目。

写真中央右:きくちゆうき
漫画家、イラストレーター 漫画連載、イラスト、イベント出展などの活動をしている。 リイド社にて「SUPERどうぶつーズ」幻冬社Plus にて「どうぶつーズの漫画」を連載中。
Twitter:

写真右:福留茜
1987年生まれ、鳥取県出身、東京都在住、画家、年に数回の個展をメインに都内を中心に活動している。
Twitter:

 

ざきよしちゃん:イベントお疲れ様でした。さっそくですが、今回「テサインフェスタVol2」を開催した経緯を教えてください。

きくち:福留さんと以前会ったときに「一緒にイベントやろうよ」って話になったんですよね。ただ、出展費を割り勘してクリエイターだけでイベントをやってもいつもと同じだし、せっかくなら何か違うことをやりたくて。

そこで、ダメ元で「SUZURI」のすっしーに連絡したんですよ。そしたら快諾してくれて、今回のイベントが実現しました。

ざきよしちゃん:イベントのブース代って結構かかりますもんね。クリエイターにとってはそれがネックじゃないですか。そこに関して、SUZURIさんが「出展費を負担してもいいな」って思ったきっかけってあります?

すっしー:もともと、僕らもデザフェスギャラリーで、SUZURIで取り扱っているアクリルブロックとターポリン製のポスターのプロモーションを考えていたことがありまして。お話をもらったときに、自分たちだけでやるよりもクリエイターさんと一緒にやったほうがイベントがうまくいくと思ったので、ぜひ一緒にやりたいなと思いました。

ざきよしちゃん:じゃあ、お互いにウィンウィンの関係だったんですね。出展費を出してもらえるっていうのは、クリエイター側としては本当にメリットありますよね。

きくち:いや、本当に僕らはウィンですよ(笑)。SUZURI側には、僕たちがこれからがんばって何か貢献できたらって思ってます。

すっしー:今回テサフェスと同時に、SUZURIのイベントキットという取り組みも行っていました。(イベントキットの応募は現在終了しています。)2つとも、個展やグループ展などの費用をSUZURIが持つことで、デザイナーさんやクリエイターさんの活動をサポートできるのではないかなと思い、始めた取り組みです。

20181022-suzuri (19 - 34)20181119

ざきよしちゃん:今回の「テサインフェスタVol2」は2日間開催されましたが、実際の集客はどれくらいでしたか?

すっしー:だいたい1,100人くらいかな?2日目のほうがちょっと人数が少なかったんだけど、2日間でだいたいそれくらいだと思います。

ざきよしちゃん:僕がイベントをしたときも、集客は1日目のほうが多かったです。「何曜日の何時頃に開催するのが一番人が集まるか?」はファン層の違いによっても変化しそうですけど……。ちなみに今回、いろんなクリエイターさんの作品を集めてイベントをやったと思うんですけど、自分たちの中で「目的を達成できた」と感じる部分ってありましたか?イベントをやってよかった点とか。

きくち:僕らクリエイター側は今まで自分たちが作ってきたものを、SUZURIの力を借りて出展できたのでありがたかったですね。

福留:協賛があるからこそ、色々なリスクを考えなくていいというメリットはありましたね。協賛してもらっている分、プレッシャーもあるけど。

すっしー:実際にお客さんが並んでいるところを見られたのは達成感がありました。SUZURIのアクリルブロックとターポリン製のポスターのプロモーションとしては課題は残りましたが、イベントとしては成功かなと。

ざきよしちゃん:たしかに、イベントに来てくれたお客さんを見るとモチベーションは上がりますもんね。ちなみに、このイベントで反省点はありましたか?

きくち:イベント自体は滞りなく終わったのでダメだった点はないけど、これから「改善できる点」はありましたね。たとえば、「会場にあったフォトブースの見た目をもっとよくする」とか。「テサフェス vol.2に参加してくれた」クリエイターは18人もいたし、それぞれが影響力も持ってるし。こんなに人数がいるんなら、それを活かせば次はもっとステップアップできるんじゃないかと思います。その点については「もったいなかったかな」と……。

ざきよしちゃん:クリエイターってみんな個性があるじゃないですか。それをどう活かすかは課題ですよね。もっと楽しいイベントにするために。

20181022-suzuri (5 - 34)20181119

今後もイベントは開催する?

ざきよしちゃん:イベントが終わったところですぐ次の話をするのもアレなんですけど、また次「何かイベントやりたいなー」とかあるんですか?

きくち:もしまたこのグループでできるんだったらという前提ですけど、まずは僕らクリエイター側がSUZURIさん側に何かお返しできるようなイベントができたら……と思ってます。今回、かなりお世話になったので。

すっしー:そう言ってもらえるのはありがたいですね。

ざきよしちゃん:関係性がすごくいいですよね。SUZURIさんはクリエイターを支援して、クリエイターは「協賛してくれる会社のサービスを使おう」というお互いの思いやりがあって。直近で、たとえば年内にイベントをやる予定はありますか?

きくち:年内はわかんないけど、「テサフェス2.5」みたいな小さい規模のイベントとかはありえるかもしれないですね。「テサフェスはスズリと協賛」みたいなイメージつくといいよね。

福留:僕はやりたいですね!未定ですけど……。

きくち:やりたいよね。結局、打ち上げをやりたいんですよね。みんなと会いたいの(笑)。みんな有名な人たちばかりなのに、イベント後に飯食って帰るだけってもったいない感じがあって。「せっかく会うんだったらお昼から夜まで何かしようよ!」って思う。

20181022-suzuri (9 - 34)20181119

ざきよしちゃん:打ち上げがメインなんですね(笑)。

きくち:そうそう、イベントは「みんなに会うためのきっかけ」みたいなところがあります。女子会みたいなもんだよ(笑)。

すっしー:クリエイターさんにSUZURIを使ってもらいたいというのは勿論あるんですけど、それよりは僕らは普通に「クリエイターさんと友達になりたいな」と思っています(笑)。

ざきよしちゃん:たとえば、企業がクリエイターさんと仲良くなるにはどうすればいいですか?

すっしー:企業としてというのは正直わからないんですが、きくちさんと茜ちゃんに関しては、忘年会で3次会まで行ったことですかね(笑)一気にフランクに話せるようになりました。

福留:友達になってしまうのが手っ取り早いですよね。

すっしー:「仕事」をとっぱらったうえで話すのは大事ですよね。とはいえ、今回のイベントの企画段階で、「SUZURIは何をしたい?」ってきくちさんと茜ちゃんにに聞いてもらえたのが僕はうれしかったんですよね。

ざきよしちゃん:と言いますのは?

すっしー:「僕らはこれをしたいです」、「そして、あなたは何をしたいですか?」とウィンウィンを意識して話してくれるというか。お互いに「あれしてほしい、これてほしい」って一方的に言うんじゃなくて「あなたたちは何をしたいですか?」とちゃんと相手のしたいことを聞けるのは、企業とクリエイターというよりは、友達同士だからなのかなと。

ざきよしちゃん:たしかに、それはすごく重要なことですよね。すしさんが、クリエイターさんたちとの距離を縮めるために意識してやったことはありますか?

すっしー:知り合ったらイベントや個展があるときには、なるべく顔を出したりしてましたね。距離を縮めるためというよりは、僕の場合知り合ってから好きになっていくことが多いので、結果的に距離が縮まっていることもあるというイメージです。実際に足を運ぶと、クリエイターさんの課題が見えることがあるんですけど、そんなときに「僕ら企業側がサービスとして何を提供できるか」とか「今、どういうアイテムが求められてるか?」が分かるきっかけになるときもあります。SUZURIを運営しているメンバーはそういうことを自然にやっていたりします。

ざきよしちゃん:「クリエイターが必要としているもの」を理解してもらえるのはとてもありがたいですよね。

すっしー:イベントは、クリエイターさんにとってはファンを作る絶好の機会だと思うんですよね。ファンと絆を深める機会でもありますし、だからこそ「そこで何か提供できないか」と思います。テサインフェスタ、SUZURIのイベントキットも普段から活動を観に行っていたから生まれた企画ですね。これは、現場に行かずにサービスを運営しているだけじゃわからなかったことだと思います。

ざきよしちゃん:クリエイターさんと長く一緒にいることが増えると、考え方や重要視するところが変わってきたんですね。

クリエイターが「一緒にイベントをやりたい」と思う企業は?

20181022-suzuri (12 - 34)20181119

ざきよしちゃん:クリエイターとして、「こういう企業とだったらイベントをやりやすい」というのはありますか?

福留:分からないことを「分からないから教えてくれ」とちゃんと言ってくれる企業かなぁ……。「企業がイベントのことをあまり知らない→何をどうしたらいいか分からない→イベントがやりにくい」というのは事実としてあるので、そのあたりも相談してもらえると、こちらも事前に対応ができるんですよね。でも、聞いてくれなかったらクリエイター側も「どこまで説明すればいいか」が分からないから、少しやりにくく感じてしまうかもしれません。なので、素直な意見をぶつけてくれる企業さんのほうがやりやすいです。

ざきよしちゃん:具体的に、企業側は何について知らないことが多いんですか?

福留:たとえば展示ですかね。展示をしたことがないからそれは仕方がないんですけど、「展示物の扱い方」とか、「キャプションは用意した方がいいのか」とか、そういうのを聞いてくれた方がいいですね。

きくち:そうだね。今回はSUZURIさんがLINEでやりとりしたり、下見を何度もしてくれたからうまくいったんじゃないかと思います。

ざきよしちゃん:勢いだけでイベントをやってしまうと現場で「これないじゃん!」「すみませんでした」みたいなこともありますもんね……。僕自身も「展示をやりたいなら、展示のことを知ってほしいなぁ」と思うことも正直あります。他に、「イベントをやりやすい企業」について何かありますか?

福留:これは双方に言えることなんですけど、お互いを「コマ」みたいに使うのはダメだなと。利用しているというか「情がない利用」というか。そういう関係性は冷たいし、互いに伝わるのでうまくいかないかなと。

20181022-suzuri (7 - 34)20181119

ざきよしちゃん:それは透けて見えちゃいますもんね……。あと、すしさんが他企業の方に、クリエイターとのコラボイベント実施をお薦めできるポイントを教えてください!

すっしー:クリエイターさんが、ファンの人と話せる場所を提供できることですかね。クリエイターさんはとにかくファンと話せるのがモチベーションになるんだなって、見てて思うんですよ。僕たち企業にとってもそれは一緒で。自社のサービスを「これおもしろいじゃん」って言うクリエイターさんの生の声を聞けると嬉しいので、共通点はあるのかなと。企業とクリエイターさんの仲も深められるし、良い機会だと思います。

ざきよしちゃん:実際に会って話すと、かなり素直なフィードバックが返ってきますもんね。今後のためを考えて、本気でやりとりできるというか。なかなかない機会ですよね。最後に、クリエイターさんから企業に対して何か言いたいこととかないですか?

福留:個人的な意見ですけど、正直、場所代がなんとかなるならなんでもやります。あっ、でもこんなこと言ってもし担当さんこわかったら嫌だなぁ。「インタビューでなんでもやるって言ってたよね?」とか言われてもこわいし……(笑)。

きくち:まぁそれも含めて「仲良くなりましょうよ、飲みに行きましょうよ」っていうことですかね。3次会まで一緒に行ったからこそ、SUZURIさんとも仲良くなれたので。

ざきよしちゃん:やっぱり飲みに行くことは必須なんですね(笑)。今日はありがとうございました!

まとめ

修正

インタビュー中、ずっとSUZURIとクリエイターの距離感が近くてお互い信頼し合っているなと感じました。その距離感はもはや恋人同士のよう。

企業とのやりとりはビジネス感が強く、依頼をされて描くだけ…というような関係だと思っています。

今回のテサフェスのようにお互いのことをよく知り、信頼し合って楽しいイベントを企画するということはお互いにWin-Winで、より良いクリエイティブが生まれるんじゃないかと期待しています。

企業はクリエイターの力を借りて宣伝、クリエイターは個人ではできないことを企業の力で実現させる。また、相手をただ利用するのではなく、お互いのことを知り信頼し合うことが大切だということがわかりました。

これからも、こういった事例が増えて欲しいと切に願っています。

Interviewer:、

Writed by:

Photo by:

Design by:


PAGE
TOP