ゲイ友だちはTwitterで作る?やる気あり美に聞く、知られざるLGBTの世界

2015 5.14

こんにちは、副編集長の三川夏代です。

「LGBT」という言葉をご存知でしょうか。「レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー」の頭文字をとった総称です。つい先日『東京レインボープライド2015』が開催されたように、LGBTが差別や偏見をされることのない社会を実現しようとする運動を目にするようになりました。

自分らしく前向きに生きるきっかけになればと、今回は「ゲイ×Twitter」をテーマに太田くんにインタビューをしました。

「やる気あり美」を立ち上げた太田くん

太田くんはつい先日、自身のFacebookにてゲイであることをカミングアウトしたばかり。その投稿は、3,500いいね、300シェアと多くの方に拡散されました。

また、4月からLGBTに関するWebメディア『やる気あり美』を立ち上げ、運営しています。

「やる気あり美」のみなさん

彼は私の友だちでもあるのですが、今日はゲイのTwitter事情について掘り下げます!

三川:ゲイの方ってTwitterアカウントをどうしてるんですか?リアルの友だちに自分がそうであることを打ち明けていない方も多い気がするのですが。

太田くん:ゲイのひとは、「ノンケアカウント」と「ゲイアカウント」と呼ばれる2つのアカウントを持っていることが多いですね。「ノンケアカウント」は対ノンケ、つまり、社会的な自分を出すアカウントとして持っています。一方で「ゲイアカウント」は、”モテアカウント”とか、色こいてるという意味で”コキアカ”とか揶揄する人もいるけど、ゲイの出会いの延長として持っている人が多いと思います。

三川:みなさん、複数のTwitterアカウントを利用してうまく使いこなしているんですね。

太田くん:ゲイの友達としゃべっていたら、「ゲイアカ」や「ノンケアカ」という言葉が普通に出てきますね。

三川:どういうときに「コキアカウント」でツイートするのか、具体的に教えてほしいです。

太田くん:「目の前にイケメンいる!」っていう気持ちを誰かに伝えたいけど、周りのノンケ友だちには言えないんですよね、共感してもらえないですし(笑)。「ヤバイ、マジイケメンいる!マジイケメン、ヤバイ!」とか、なかなか人には言えない興奮を、みんなゲイアカでツイートします(笑)。

器用な人は、ゲイアカウントを「コキアカ」と「ブスアカ」に分けていることもあります。ブスアカは、自分のほんとうに言いたいことだけ言い散らかしてるアカウント。よくない言い方をすると、グチなどを呟くアカウントですね。

たとえばコキアカでは、「おはようございます」と爽やかなツイートをしている裏で、ブスアカのほうでは「ババアの多い職場希望」とか、本音をツイートする、そのような使い分けをしている人もいますね。僕の周りにも結構います。ブスアカとコキアカ、色恋してるアカウントと、ブスな自分を出してるアカウントとって。

三川:「ブスアカ」って随分ストレートな表現ですね(笑)

太田くん:ゲイの友だち同士では「ブス」はよく使いますね。「ブスだねーっ」「あんたブスだねーっ」て言い合っています(笑)

三川:日常に関するツイートはノンケアカとゲイアカ、どちらで呟くのですか?

太田くん:僕もそうでしたが、リアルの友だちにゲイであることを隠している人がやはり多いです。なので身バレしないように、コキアカでは日常の自分について触れないひとは多いんじゃないかな。好きな芸能人の話や、日常の出来事はツイートしない、とはっきりボーダーをひいています。

「やる気あり美」のみなさん

三川:ずっと気になっていたのですが、太田くんはなんでそんなにオープンなのでしょうか?

太田くん:自身がゲイだということを苦しいと思ったことはあるけど、恥ずかしいと思ったことはないからですね。他人になんと言われようと「僕は恥ずかしいとは思ってないんで」っていう強めな”ブス性”を持っているから(笑)

日本はアメリカと違って「個を称賛する文化」ではなく、周りに認められて一人前、周りがいいって言ってくれたら、自分も自己肯定するような文化があると思うんですね。だから、周りが「ゲイは気持ち悪い」って言っていたら、「俺は気持ち悪いんだ」って昔は思っていました。今はもうそんなこと思いませんけどね。

三川:太田くんはFacebookでカミングアウトをしましたが、ソーシャルメディアが登場して変わったことはありましたか?

太田くん:そうですね、ソーシャルメディアが登場して1番変わったことは「ブランディングがしやすくなった」ことでしょうか。数年前までソーシャルメディアが浸透しておらずゲイ専用のアプリはほとんどなかったので僕らは掲示板とかに「会いませんか?」という文字情報だけが頼りでした。でも実際に会うのはかなりの勇気が必要で・・・。

でもソーシャルメディア、特にTwitterのおかげで相手のプロフィール情報が大幅に増えました。相手がどんな人物なのか想像しやすくなったため、「この人に友だちになりたい!」と思いやすくなりましたね。

三川:Twitterは相手の素性がつかみやすい分、自分と相性のよい人が見つけやすくなったということですね。

太田くん:Twitterは文字のほかに写真もツイートできるので、その人に関する情報量を多くキャッチできます。ツイートしている写真を見ながら、この人の服オシャレそう、雰囲気良さそうとか、ツイートから「あっ同じ歌手が好きなんだ」「ネコが好きなんだ」とか読み取ることができるのがTwitterの魅力ですね。自然と相手の素性がわかるから、会いたいなぁーって。

三川:実際にTwitterでこの人いいなーって思った人とリアルで会ったことありますか?

太田くん:あります!!リプライして「会いません?」て。Twitterって気軽に話しかけられるから会話してみて、気が合いそうだなぁって思ったら、軽く「今度会いましょうよ」ぐらいの返信をして。「じゃあみんなで飲みましょうよ」という返信が返ってきたり、共通の友達がいたら、「今度あの人も入れて飲みましょう」てなって。そうして、Twitterのフォロワーからリアル友だちになります。

三川:そんな素敵な出会いがあるとは!LGBTの子たちにとって、Twitterが救いの手になるといいですね!

太田くん:そうですね。何度も言ってますが、リアルな友だちに「私はゲイです」と伝えるのは非常に勇気がいります。周りから嫌われるんじゃないか、自分は異常なのではと不安がる子たちをたくさん見てきました。世界にはいろんな人がいます、存在していいんです。Twitterを通して仲間を見つけて、前向きに生きてほしいなぁと思います。


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