こんにちは。エフェメラルSNSラボ所長・飯塚みちかです。
2016年、女子高生を中心としたミレニアル世代から爆発的な人気を得たエフェメラルSNS「SNOW」。少し前には「サラリーマンのおじさんたちもSNOWを使い始めているらしい」という噂を聞きつけ、実際に調査してきたのですが、最近は企業がマーケティング施策の一貫としてSNOWを活用する動きも加速しているようです。
しかし、その効果についてはあまり明らかにされていません。SNOWのスタンプ配信には、一体どのような効果があるのでしょうか?
お菓子メーカーのロッテでは、2016年末から2017年3月ごろまで、コアラのマーチのSNOWスタンプを3種類配信していました。今回はロッテの本社にお邪魔し、SNOW企画の担当者・柏原成美さんから直接お話を伺ってきました!
「コアラのマーチ」のロイヤリティ向上が目的だった
飯塚:SNOW内でスタンプを配信しようと思った、きっかけは何だったのでしょうか?
柏原さん:「コアラのマーチ」は1984年から発売しているロッテの看板商品なのですが、ここ数年、ゆるキャラなどを筆頭にさまざまなキャラクターが台頭してきたこともあって、少しずつ顧客ロイヤリティが低下していたんです。その状況に対する危機感から、もっとコアラのマーチを身近に感じてもらえるような施策を行いたいと考えていました。
当初、会社ではFacebookを活用してユーザーとの接点を創出していこうとしていたのですが、Facebookは私たちがターゲットとしている10代や親子との親和性が高くない。では若い世代から人気を得ているSNSってなんだろう、と考えた時に、SNOWが良いのではないかと思ったんです。
飯塚: 実際にスタンプを配信してみて、いかがでしたか?
柏原さん:スタンプを配信したタイミングがSNOW自体の認知度が拡大している時期だったこともあり、反応はとても良かったです。企業が配信したスタンプが「HOT」タブに入ることはなかなかないのですが、「コアラのマーチ」スタンプは毎回HOTタブの上位に入っていました。
柏原さん:また、「10代と親子に使ってほしい」という思いが、そのまま結果に反映されている、と感じました。親子のコミュニケーションに使われたり、実際に商品を持ちながらの自撮りをユーザーがTwitterやInstagramに自由に投稿してくれたり、こちらが期待した通りの反応を得られたのは良かったです。
ぐへへへへ
— ゆりか♡4/30 ()
柏原さん:社内的には、今回の企画によってデジタルシフトへの関心度や各ブランド担当者の理解度が上がったと思います。これまでは、「10代が何を考えているか分からないから…」と、なかなかターゲットに歩み寄ることができていなかったのですが、SNOWを活用すれば10代とも接点を持てることが分かり、会社の自信にもつながりましたね。
ダウンロード数は他社事例の倍近い数値に
飯塚:現在、シリーズものとしていくつかリリースされてると思うのですが、特に反応が良いと感じたスタンプは何ですか?
柏原さん:一番最初に配信した「受験応援コアラ」の時点で、他社事例の倍近くのダウンロード数だったようです。スタンプ自体の可愛さもあったと思うのですが、クリスマスやお正月などのイベントがひと段落したタイミングでスタンプを配信したので、ユーザーから受け入れてもらいやすかったのかな、と思います。
柏原さん:2つ目のシリーズはバレンタイン向けのスタンプだったのですが、他のバレンタイン系スタンプ配信とかぶってしまい、数値的には少しだけ下がってしまいました。それでも通常の企業スタンプより多いダウンロード数だったと聞いています。
柏原さん:3つ目の「おひなさまコアラ」はLINEの公式アカウントを開設したタイミングでLINEでも情報を配信したのですが、連動性の威力がすごくて……。一時、サーバーがダウンしてしまうくらいアクセスが殺到しました。この「おひなさまコアラ」が最もダウンロード数が多かったです。
飯塚: たくさんのユーザーに使ってもらえて、満足度は高いですか?
柏原さん:自分が想像していた以上に、多くのユーザーに使っていただけていると感じることができたのはとても嬉しかったです。コアラのマーチ自体は多くの人に知っていただいている商品ですが、今回の取り組みを通じてさらにお客様の接点を増やすことができた。中でもSNOWやLINEスタンプを活用して、特に若い世代に親近感を持ってもらえるようにアプローチできたのはすごく良かったと思います。この成功事例をもとに、もっといろんなことにチャレンジしていきたいですね。
飯塚:ちなみに、SNOWのスタンプ配信を行うことで、コアラのマーチの売上は上がったのでしょうか…?
柏原さん:SNOW自体が売上にどれくらい寄与しているかは分からないのですが、「久しぶりにコアラのマーチを食べた」「わたしはコアラのマーチが大好きです」といったSNS上での口コミを多く見かけるようになりました。実際、Twitter上での「コアラのマーチ」への言及数は、去年の同じ時期に154件だったものが今年は374件と、約2.5倍も増加していることがわかりました。ユーザーがどんな思いで購入したかは普段あまり知ることができないのですが、SNOWのスタンプ配信を行ったことで、ユーザーの気持ちを可視化できて良かったです。
飯塚: 最後に、今後の展望があればお願いします。
柏原さん:ただ闇雲に新しいことにチャレンジしていくのではなく、ロッテがこれまでに積み上げてきた歴史も融合させていきながらデジタルシフトを進めていければ、と思っています。そういう意味では、今回のSNOWのスタンプ配信はひとつの良い事例になったと思っています。
飯塚: ありがとうございます!裏側の話が聞けて、すごく勉強になりました!
今回お話を伺ったロッテのように、既にある程度知名度のあるキャラクターやブランドを持つ企業の場合、SNOWスタンプの配信を通じて顧客ロイヤリティの向上や、SNS上での口コミの増加を期待できるのではないでしょうか。
テレビや雑誌などの既存の媒体では、徐々に接触が難しくなりつつある若年層。SNOWスタンプを通じてユーザー同士のコミュニケーションに自然に入りこむことで、彼らをターゲットとしたブランディングを加速させることができそうです。
それでは、また!飯塚みちかでした。