東洋経済オンラインに聞く、チャットボットサービス「FB Messenger bot」導入1ヶ月の実情

2017 6.6

こんにちは。kakeruの酒井です。

2016年4月に、Facebook社がを発表してから1年が経ちました。

すでに国内でも企業が利用し始めており、特に人材業界(転職市場)などでリード獲得を目的にしている活用事例が見受けられます。チャット上でサービス紹介から悩み解決まで一気通貫で行えることや、ビジネス層との親和性が高いことが理由なのでしょう。

そんな中、パブリッシャーサイドでも導入しているケースが出始めました。国外ではCNNを始めとする大手メディアはこぞって利用しているますが、国内ではまだまだ稀有な存在ではないでしょうか。 「FB Messenger botは知っているけど、目的や効果に疑問がある」という声もちらほら聞きます。

ということで、最近Messengerボットを導入した国内大手メディアである、東洋経済オンラインの導入チームの坂野さん・五味さん・児島さんに、導入背景や現在の効果などを聞いてきました。

Messengerボット導入1ヶ月の効果は?

さっそくですが、東洋経済オンラインでのMessengerボットの活用方法を教えてください。

坂野さん:東洋経済オンライン上でも告知ページを設けておりますが、2つの機能をメインで活用しています。一つ目は毎朝7時すぎに新着記事を配信。二つ目はユーザーが知りたい情報を「キーワード」「アクセスランキング」「ジャンル」ごとで検索できるようにしています。

なぜ、Messengerボットを導入したんですか?

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写真中央:デジタルメディア局事業開発部メディアソリューションディレクター、坂野さん

坂野さん:一つは、新しいチャネルを開拓するためです。東洋経済オンラインでは、非会員でも記事を閲覧できるオープンモデルをとっていて、記事への流入経路も読者の利用スタイルに合わせて柔軟に対応すべきと考えています。ユーザーとのタッチポイントが増え続けている中、今後のMessengerの普及率に期待して、ボットという選択肢にチャレンジしようと思いました。

五味さん:もう一つは、ロイヤルティ向上のためですね。これまでは、メルマガという手段で対応していましたが、Messengerボットの場合は一方通行ではなく、双方向のコミュニケーションが成立するので、読者の方々と密接に繋がることができると考えました。

坂野さん:それに、これは東洋経済オンラインというメディアのスタンスですが、新しいチャレンジには積極的に取り組みたいんです。もちろん、手当たり次第になんでもやる、というわけではないですが、今回は期待する効果に対して、導入ハードルも低かったこともあり、すぐに取り組みました。

実際に運用し始めて、効果はどうでしょうか?

坂野さん:正直なところ、まだ1ヶ月目なので効果が良いとは言い切れません。ですが、今後期待できる効果はいくつか出てきています。たとえば、Messenger経由で流入してきた読者の一人当たりのPVは、他のチャネルと比べて約2倍となっています。

メルマガでも同等の数値は出せているのですが、Messengerという新しい流入経路を開拓した上で、この数値を出せているところが最大の魅力だと思っています。

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写真右:デジタル企画局デジタルマーケティング部ビジネスプロデューサー、五味さん

五味さん:読者一人ひとりの顔がイメージしやすくなったことも成果のひとつだと思います。普段は月間約3,000万人という訪問者をひとかたまりで見ているので、属性や閲覧行動だけでは読者のニーズが見えづらいんですよ。

One to Oneのコミュニケーションというのを理屈では分かっていたのですが、Messengerボットを導入したことで体感できたような気がします。

たとえば、Messengerボットで読者の方々が入力するキーワードを見て、「あぁ、この人はこんな記事が読みたいんだ」といった具合に、より読者に寄り添うことができると感じています。

今後の課題は、「啓蒙」と「読者視点での改善」

運用し始めて感じている課題などありますか?

坂野さん:いくつかありますが、Messengerへの登録者数がまだまだ少ないので、先程お話した効果などにリアリティを感じきれていない、というのが正直なところです。

東洋経済オンラインのFacebookページのいいね数は約21万なので、まずはMessengerボットに登録してくれる読者を増やすことが先決だと感じています。その後、Messengerボット経由でのユーザーの行動を多角的に見ていく必要があると思っています。

児島さん:まだMessengerボットの価値が一般の方々に浸透していないことが大きいと思うんですよ。Messengerボットの強みは、メルマガと違って、読者自身が能動的に読みたい記事を取得できるところなんですが、まだまだ「Messengerボットって何?」という方々が多いと思います。

今後、浸透させていくにあたり、検討していることなどはありますか?

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写真左:デジタルメディア局事業開発部、児島さん

児島さん:まずはすでに登録をして、積極的に利用してくれている読者の方をがっかりさせないことが大事だと考えています。配信された記事や、検索結果で表示された記事が求めているものと違っていたら、その後使ってもらえなくなると思うんです。そのためにも、読者視点でMessengerボットへの機能追加などをしていく必要があると思っています。

具体的にはどのような対策が考えていますか?

児島さん:Messengerボット上での滞在時間を伸ばしたいので、もっと会話形式にしていきたいですね。今のままですと、読者に記事が配信されて、そこで終わってしまうことも多いんですよ。たとえば、記事を配信した後に、読者の方がもっとMessengerボット上で記事を探してくれるように、配信するメッセージを工夫したり、細かいところですと、メッセージの口調も柔らかくするなど試行錯誤していきたいです。

五味さん:あとは、すでに休眠してしまっているボット利用者の方々もいるので、東洋経済オンラインのMessengerボットならではの価値を出して、再度利用してもらうすことも必要だなと思っています。その一つに配信される記事への評価を工夫してはどうか、ということも検討しています。

たとえば、SNS上で話題になっている記事でカテゴリを作ったりするのも打ち手なんじゃないかなと思っています。

坂野さん:私たちとしては、まずはボット登録者数を増やすこと、その次のステップとして、細かい改善をしていくことを想定しています。ただ、これは業界全体の話になりますが、まだまだ啓蒙の段階だなと感じています。海外だと、Messengerの利用者はとても多いですし、ニーズにごとに他のメッセンジャーアプリと利用方法を分けているんですよ。

まだまだ、日本ではMessengerの普及率に疑問を持つことも多いですが、分散型と言われるように、ユーザーと接点を持てる場所は常に変化しています。私たちのようなパブリッシャー側としては、その変化に柔軟に対応していくことが求められるんじゃないかなと。だからこそ、まずは始めてみる、その後に読者視点で細かい改善を行って、ファンの方々が気持ちよく東洋経済オンラインを使ってもらうことを目指していきます。

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運用開始1ヶ月ということもあるため、まだまだ長い目で見ていく必要があると感じました。今後、担当者の方が話していた「リアリティのある数値感」が出始め、具体的な対策なども実装され始めたタイミングで、改めてお話を聞きたいと思います。

 

▶▶東洋経済オンラインが導入したMessengerボットについては、以下のリンクからご参照ください。

Chat with(チャットウィズ)/株式会社オプト開発


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