フェイスブックジャパンと振り返る2018年のInstagram前編「ストーリーズ広告とIGTVの活用法」

2018 12.20

こんにちは、kakeru編集部の鵜ノ澤です。

2017年から2018年にかけて、Instagramに新機能が続々と登場しました。しかし、マーケターのみなさんがその機能を活用しきれていないのが現状です。
今回はフェイスブック ジャパンの担当者にお話を聞く機会をいただきました。『Instagram ストーリーズ広告』、『IGTV』の2つの機能に焦点をあてて開発背景や成功事例をお聞きしながら、Instagram活用の可能性を深掘りしていきます。

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■フェイスブック ジャパン
丸山 祐子(まるやま ゆうこ)写真右
高校卒業後、2003年にアメリカへ留学。カリフォルニア州立大学フラトン校を経て、インターコンチネンタル大学へ入学。主にファッションマーケティング専攻。2007年、同大学卒業後帰国。人材会社で法人広告営業担当に就き、その後、広告会社でソーシャルメディア営業を担当。主に、Twitter, Facebookをはじめとする新規海外メディアの日本での広告ローンチに従事。
2013年5月より、フェイスブック ジャパンのClient Solutions Manager Leadとして主に広告主向けのデジタルマーケティングに関わる。現在、社内におけるプロジェクトメンバーの中心的存在として、Instagram広告をより多くのお客様に活用していただくための取組みにも携わる。

■kakeru編集部
鵜ノ澤直美(うのざわ なおみ)写真左
新卒でオプトへ入社し、様々な企業のSNS活用支援に従事。現在はInstagramマーケティングを中心に担当。オプトのオウンドメディア「kakeru」のライターとしても活動しており、若年層のSNSの使い方や、スマホ撮影術の記事を執筆。

ストーリーズ広告誕生の背景

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鵜ノ澤:まずは、ストーリーズ広告誕生のきっかけからお聞きしてよろしいでしょうか。

丸山:普段からInstagramを使っていらっしゃる方は実感があると思いますが、ストーリーズの利用は引き続き成長を続けており、世界で4億、日本ではデイリーアクティブアカウントの7割が利用するまでになりました。利用者のあいだで活用が盛んなことを受けて、広告がスタートしたという感じです。

鵜ノ澤:アクティブ率がかなり高まっていますね。たしかに、利用者とのタッチポイントとしてもストーリーズ広告の導入は有効ですね。

丸山:利用者が多いだけではなくて、視認性も高いんですよ。

鵜ノ澤:スマートフォンの全画面で視聴できるのはストーリーズ広告の強みですよね。

丸山:広告主からしてもスマートフォンのフルスクリーンを活かせる広告フォーマットは魅力的なのではと考えています。

ストーリーズ広告のクリエイティブ事例

鵜ノ澤:ところで以前、ストーリーズ広告を視聴している利用者は音声をオンにしている人が6割もいるとデータを発表されていましたよね。意外だなぁと。音声を活用したストーリーズ広告の事例をお聞きしたいです。

丸山:BOSEの事例で、モバイル最適化動画(ここでは、ストーリーズに最適化された動画のことを指します)があります。8ビートの音に合わせてクリエイティブが変化する仕掛けになっているんですよ。

▼BOSE Facebook広告(TVCMをそのまま利用)

▼BOSE Instagramストーリーズ広告(TVCMを編集し、ストーリーズのフォーマットに最適化)

鵜ノ澤:イヤホン必須ということですか?

丸山:音がない状態で視聴しても分かるクリエイティブを制作されていますが、音と一緒に視聴することによって、よりインパクトを感じられるようになっています。

鵜ノ澤:この事例(BOSE)もそうですが、ストーリーズ広告はブランディングに効果的なのでしょうか。

丸山:はい、ブランディング目的では他にも多くの成功事例が出てきています。あるブランドでは同商品を静止画と動画を使ったそれぞれのクリエイティブを制作し、それらの態度変容を比較する調査を実施しました。すると、モバイルに最適化した動画を最後まで視聴した人数は2割増加、TVCMと比較した際のブランド想起率も10%上昇した結果となりました。

鵜ノ澤:ストーリーズ広告はBGMなしが多い印象ですが、つけたほうがいいのでしょうか?

丸山:先ほども話に出ていたように、Instagram利用者の6割が音声ありで見ているというデータもありますし、音とビジュアルを合わせて活用することで、さらに面白いクリエイティブができるのではと思っています。BOSEのように、音がない環境で見てもパワフルなクリエイティブだとより良いと思います。

また、Instagramはブランディング活用のイメージが強いかもしれませんが、ダイレクトレスポンスにも貢献している事例も多くあります。

鵜ノ澤:そうなんですか!

▼Wantedly People Instagramストーリーズ広告

丸山:こちらはWantedly Peopleの事例です。当初はFacebook及びInstagramのフィードだけで広告を配信していましたが、ストーリーズ広告も配信面に加えたことでCPI単価が大幅に下がりました。また、ストーリーズ広告の効果が非常に高く、キャンペーン全体のインストール数の4割がストーリーズ経由です。

工夫されている点としては、ストーリーズ広告のコールトゥーアクションを「インストール」に変更し、「上にスワイプ」と表記したクリエイティブで誘導しています。

鵜ノ澤:Instagramは若年層に特化したプラットフォームで、ビューティーやファッションに関する商材と相性が良いという印象が強かったのですが、幅広い業界で広告が利用されているんですね。

丸山:おっしゃる通り、当初はビューティーやファッション企業の活用が先行していた印象です。しかし、実はInstagramを利用する層が多様化しており、日本の利用者における男女比を見ると男性が4割以上を占めているんです。

鵜ノ澤:また、ストーリーズでカルーセル広告が配信できるようになりましたよね。活用ポイントを教えてほしいです。

丸山:たとえば、15秒尺のコンテンツがあったとします。そのままストーリーズ広告で配信してもいいのですが、それを3分割して5秒尺コンテンツにすると、各コンテンツの冒頭にメッセージを入れることができるんですよ。15秒を利用者に視聴してもらうのはハードルが高いのですが、5秒尺を3シーン視聴してもらうと考えるとクリエイティブも豊かになります。

▼GAP Instagramストーリーズ広告

鵜ノ澤:なるほど、伝えたいメッセージを伝わりやすくするために、5秒尺コンテンツを3シーン作るんですね。今後は冒頭に伝えたいワンメッセージを入れてみます。

Facebookが推奨する、広告の目的設定とターゲティング

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鵜ノ澤:ここからは広告の目的設定やターゲティングについて深掘りしてきたいと思います。最近、Facebook広告をそのままInstagram広告として流用するケースが増えてきましたね。

丸山:自動配置(プレイスメントオプティマイゼーション)のことですね。Facebook、Instagram、Audience Network(※)間で最適な配信面に効果的に広告を配信することができる機能です。おっしゃる通り、活用が増えていますね。

※FacebookとInstagramだけではなく、Facebookが提携している外部のパブリッシャーに広告配信できる仕組みのこと。

鵜ノ澤:自動配置をすることで、せっかくストーリーズ広告を配信していても素材が見切れてしまうなど、残念なケースも見られます。自動配置で広告を配信する場合、クリエイティブのトンマナをFacebookとInstagramどちらに合わせたらいいのか広告主側が悩んでいるんじゃないかと。

丸山:自動配置の場合、クリエイティブのやり方としては2つあります。

一つ目はクリエイティブを複数制作する方法です。
クリエイティブを制作するリソースと予算のある企業の場合、掲載面別にクリエイティブを指定することをお薦めしています。
配置先アセットのカスタマイズ機能と呼ばれており、それを利用することで掲載面ごとに最適なクリエイティブを配信することができます。

二つ目はフルスクリーンサポート機能を活用する方法です。
これは、掲載面別にクリエイティブを制作できない場合に便利な方法です。たとえばFacebookのフィード広告用の素材から、自動的にストーリーズ広告の9:16フォーマットに合わせて自動生成してくれます。
広告設定をするときにプレビューできるので、ぜひ試していただきたいですね。

鵜ノ澤:さらにターゲティングについてもお聞きしたいのですが、FacebookとInstagramで、広告にエンゲージメント率が高い利用者に優先して配信できるって本当ですか?

丸山: そうなんです。Facebookのアルゴリズムによって、配信される広告は利用者それぞれに最適化されています。広告配信の意図に沿ったアクションを利用者がおこなえば、エンゲージが高いとみなされ、該当する広告が配信されやすくなります。
たとえば 「リンククリック」という目的を選んでいただくと、広告をよくクリックしている利用者に配信されやすくなりますし、動画視聴目的というのを選んでいただくと、動画をよく視聴する利用者に配信されやすくなります。

鵜ノ澤:普段からInstagramで動画を視聴している利用者は、動画広告が配信されやすいということですね!

クリエイティブ制作で心掛けるべきこととは?

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鵜ノ澤:クリエイティブ制作にあたって事前に知っておいたほうがいい知識を教えてほしいです。よく御社がおっしゃる 「親指を止める」というのがあると思うんですよ。

丸山:ついつい親指を止めてしまうような、たとえば冒頭にアテンションを高める仕掛けがあったり、利用者が”なるほど”と思うような発見やワクワクがあったりするクリエイティブのことですね!

鵜ノ澤:クリエイティブを制作する側に解釈の違いがあるのでは感じることがありまして。たとえばLINEやInstagramDMが立ち上がったように見せかける広告クリエイティブをときどき見かけます。利用者の親指を止めることができても誤認させてしまう可能性がありますよね。

丸山:まず大前提として、広告ポリシーに違反しないクリエイティブを制作いただきたいです。さきほどのWantedly Peopleを例にあげると、特別なギミックがあるわけではありませんが、次から次へと画面に名刺が出てくるテンポの良さが心地よくて、思わず親指を止めたくなるのではないでしょうか。あとは、企業からの投げかけメッセージから始まるクリエイティブもついつい親指を止めたくなりますよね!

鵜ノ澤:最初の3秒で利用者の心を掴めるか、というのが重要なんですね。

丸山:そうですね!成功事例にみられるクリエイティブのポイントとしては、「企業として何を伝えたいのか」「利用者は何を見たいのか(知りたいのか)」の両者の視点を持って広告制作されているものが多いですね。ただし、クリエイティブにおいて一貫したセオリーはないので、ABテストを繰り返しながら、キャンペーン目的とあうクリエイティブを見つけていってほしいです。

鵜ノ澤:企業からの一方的なメッセージにならないように、利用者のベネフィットも考えてクリエイティブに落とし込むことを意識したいと思います。

IGTVが誕生した背景と、今後の展望

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鵜ノ澤:さて、ここからはIGTV誕生の背景をお聞きしたいです。24時間で消えるストーリーズ機能がある中で、どうしてIGTVをリリースしたのでしょうか。

丸山:スマートフォンでの動画視聴が当たり前になりつつありますが、その動画の多くは横長フォーマットだと思うんです。普段はスマートフォンを縦長画面で利用しているのに、動画を見ようとするといちいち横向きにしないといけないのは、利用者にとっては不自然ですよね。

今後、さらにモバイルでの動画視聴が伸びていくと考えたとき、よりシームレスに視聴できる縦型動画が主流になっていくと考えたんです。Instagram全体で見ても、動画の投稿数や視聴時間は急成長しています。IGTVは、利用者のトレンド、そして時代に合わせて生まれたアプリなんです。

ストーリーズは最長15秒の動画をシェアできるのに対して、IGTVは最長60分までシェアできます。お気に入りのクリエイターや企業が投稿するコンテンツなら、15秒よりも長い動画を見たいというニーズを持った利用者も多くいると考えています。IGTVは、そのようなニーズを満たせるサービスでもあります。

鵜ノ澤:IGTVが登場したことで、Instagramで築きあげた自分の世界観とは異なる表現を楽しめる場所ができた感覚です!

丸山:そうですね。短尺の動画や静止画がテンポよく再生されるストーリーズは、隙間時間などにサクッと視聴するのに適しています。対してIGTVは、長尺動画ということで、自宅などリラックスした環境で視聴している利用者が多いのではないでしょうか。内容がしっかり詰まったボリューミーなコンテンツでも受け入れられやすいと思います。

鵜ノ澤:IGTVを開くと、「おすすめ」タブが表示されますよね。この「おすすめ」に表示されるコンテンツはどういうアルゴリズムで表示されるのでしょうか。

▼IGTVの「おすすめ」タブ

丸山:IGTVはInstagramアカウントに紐づいているので、利用者がInstagram上でよく閲覧するアカウントや、「いいね!」したコンテンツなどをもとに、その人の好みに合わせてパーソナライズされたコンテンツが表示されます。つまり、InstagramのExplore(発見)タブに出てくる投稿と同じように、おすすめに表示されるコンテンツはみなさん違うんですね。

鵜ノ澤:ということは、意図的に「おすすめタブにコンテンツを表示させたい」と思っても、難しいということですね。

丸山:色々なシグナルをもとに、複雑なアルゴリズムによって設計されているので一概に言うのは難しいですね。ただ、先ほどもお伝えしたように、Instagram上でのエンゲージメントや、利用者の友達がどのIGTV動画に「いいね!」したかなども作用してくるので、積極的に動画をアップして、利用者にエンゲージしてもらうのが重要だと思います。

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鵜ノ澤:今後、利用者がIGTVをもっと視聴するような機能アップデートは予定されていますでしょうか。

丸山:利用者やコミュニティの声は常に注目していまして、要望が高いものはどんな機能を追加するかの参考にさせていただいています。
また、IGTVのローンチ時から構想しているのは、動画を投稿するクリエイターが収益を上げられるようなシステムを導入するという点です。広告主や代理店からテレビのスピンオフコンテンツをIGTVにアップしたいという声をいただくことも多く、将来的に活用方法が広がるのを楽しみにしています。

鵜ノ澤:今後に期待ですね。個人的に欲しいのは、縦型動画を編集と加工できるアプリです。クリエイターとして IGTVコンテンツを作りたいのですが、縦型動画フォーマットで簡単にフレームを作ったり、日本語フォントで縦に文字を入れられたりするアプリがほとんどなくて…。

丸山:作っちゃおう!いいビジネスアイデアだと思います!

鵜ノ澤:ありがとうございます!それではこの辺で締めさせていただいて、つづきは2本目の記事でお話したいと思います。

インタビュー後記

念願のフェイスブック ジャパンにインタビューということで、2018年の新機能を軸に開発背景、現在の使われ方、展望をお聞きしました。
これまでInstagramは若年層女性が使っているメディアであり、ブランディングに効果的という印象が強かったのではないでしょうか。
今回のインタビューを通して、女性だけでなく男性も利用するメディアであり、ダイレクトレスポンス広告にも効果的ということが分かりました。

そして、さまざまな利用者がいるということは、Instagramの使われ方も当然変わってきます。
これからのInstagramマーケティングでは、詳細なターゲットの選定とターゲット層がどのようにInstagramを使っているかを知り、コミュニケーション設計をする必要があります。

Instagramにおけるコミュニケーション設計のお手本として、モバイルクリエイティブアワード(※)の受賞作品をみてみましょう。

※ブレーンとフェイスブック ジャパン主催のInstagram広告クリエイティブアワード。146点の応募の中から7点受賞作品が選ばれた。

▼グランプリ受賞作品
コンバースジャパン、コンバースフットウェア
「コンバース創業 110 周年『SHOES OF THE DEAD』キャンペーン」

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【企画概要】ハッシュタグ「#ゾンビコンバース」をつけてボロボロのシューズを投稿すると、新作シューズが当たるキャンペーン。今までコンバースを愛してくれたユーザー に、ヤンチャで自由なコンバースらしい恩返しができないかと考えました。ボロボロのシューズがイケてるというシズルはコンバースならでは。くだらないハッシュタグのもと、集まった「死ぬほど愛されているシューズ」たちはブランドと人の強い絆そのもの。ブランドロイヤリティを向上させると同時に新商品の告知にもなるキャンペーンを目指しました。

【審査員コメント】愛用してボロボロになったコンバースを『ゾンビコンバース』と名づけ、愛着のあるカッコいいものと再定義した上で、Instagram上でユーザーの投稿を促す取り組みは、ビジュアルコミュニケーションを主体とする Instagram というSNSで展開する必然性のあるキャンペーンとして頭一つ抜けた企画だったと思います。コンバースを愛用する一人としてもとても共感できるキャンペーンだと感じました。(クラシコム代表取締役 青木耕平)

▼準グランプリ受賞作品
面白法人カヤック「退職届スロットメーカー」

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【企画概要】エンジニア向けの採用広告です。採用広告はとっつきにくいものもあり、パッと見ただけでスルーされてしまいがち。そこで、見ようと思えるユニークなクリエイティブを目指しました。止めたくなるスロットと、転職者がドキッとする退職理由を掛け合わせて、遊べる工夫を施しています。退職理由のコピーは、カヤックの自由な社風を感じてもらいつつ、エンジニアが共感しそうなものや、そんなことあるの?と思えるもなど20種類以上こしらえ、ターゲット以外も楽しめるように心がけました。

【審査員コメント】クリエイティブギミックとして、評価が非常に高かったです。ストーリーズを一時停止させると、退職のイイワケがルーレット的に生成される。他にも同ギミックが使用された作品はありましたし、これを実際イイワケにそのまま使うわけはないのですが、『こういうものを好む人を求めているよ』というカヤックのブランドアティチュードにも合致していて、企画として美しいなーと感じました。好きです! (PARTYクリエイティブディレクター/ファウンダー 中村洋基)

記念すべき第1回目のアワード受賞作品は、ブランドの価値をしっかり伝えつつも、ターゲットとなる利用者がしっかりアクションしてくれるところまで落とし込んだ企画が多かったように感じます。
ぜひこれからの企画設計で活かしてみてくださいね!

インタビュー後編では、ショッピング機能とアクションボタン(レストラン予約機能)を深掘りしていきます。お楽しみに!

 

design:會川誠也
photo:きょーいち

 

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