こんにちは、kakeru編集部の堀口です。
いまや、月間のアクティブユーザー数が1,000万人を突破(※ 2019年1月時点)し、クリエイターと読者をつなぐためのプラットフォームとしての地位を確立しつつあるnote。テキスト、動画、音声など、さまざまなコンテンツが、日々noteを通して世に出ています。
その中でも、テキストコンテンツはよく目にするもののひとつ。noteを通して自分らしい発信や強みを見つけている人の姿も多く見かけます。そんな姿を見ると「自分でもnoteを活用して発信してみたい」と感じる方も少なくないのではないでしょうか。
ところが、noteのコンテンツをちらりと覗いてみると、内容が濃く充実したものだったり、ボリュームたっぷりで読み応え抜群のものだったりに、ついつい目が行ってしまいます。すると、「こんな良い内容書けるかな…」と発信のハードルが高くなってしまうことも。私自身そのひとりです。
そこで今回は、「noteってどうはじめたらいいんですか」という問いをぶつけるために、自身もnoteをフル活用している、note運営のピースオブケイクでクリエイター支援を担当しているディレクター・平野さんを取材。悩みを相談しながら、note活用のコツを聞いてきました。
noteで「誰に」「何を」届けたいのか?
堀口:平野さん、今日はよろしくお願いします。
平野:こちらこそよろしくお願いします!
堀口:普段から、クリエイターさんのnoteのコンテンツを拝見しているのですが、みなさんとても熱量が高いですよね。コンテンツを見ているだけで、なんというか、圧倒されてしまって。noteを書きたいなとは思うものの、何から始めたらいいか……と思ってしまうんです。そんなときは、どういったことをnoteに書けば良いのか。今日はそんな話を聞かせてください。
平野:なるほど。まず、noteを書くときには「誰に何を届けたいのか?」を考えるのがよいと思います。noteを書く目的は、人それぞれ。学びになる情報を届けたいだけでなく、文章力を高めたい、好きなものを多くの人に知ってほしい、備忘録などなど……。本当に多種多様です。
堀口:たしかに、人によって目的がありそうですね。
平野:“目的”があるから、そのための“ツール”としてnoteを活用するんですよね。だから、まずは目的を定めることが重要だと思います。その前提の整理をしておかないと、書き続ける上でモチベーションもブレますし、読者も書き手の伝えたいことを汲み取れませんから。
堀口:平野さんはどういった目的でnoteを活用されているのですか?
平野:僕は、忘れっぽいのでメモがてら書き留める場として使っています。それを多くの人に読んでもらえているのが現状なので、すごく嬉しいなと。僕も、もともとはテーマを決めず、興味のあることをいろいろと書いていたのですが、よく読まれているものを「必要とされているテーマ」だと認識して、書き続けている感じです。それが、ITツールに関わる記事ですね。反応を見て、だんだんと書くテーマを寄せた感じです。
堀口:バシッとテーマを決めていたわけではないんですね。
平野:むしろ、いろいろと書いている方かもしれないです。一時期は、毎日noteを書くことに重点を置いていたので「毎日note」というマガジン(noteで利用できる特集機能)を作ったのですが、5日ほどで飽きてしまって。マガジンごと消して、無かったことにしたこともあります(笑)。
堀口:そのくらいライトに始めてみるのが良いんですね……。
平野:誰かのコンテンツを見てしまうと、自分が書くためのハードルもグッと上がってしまいますよね。
堀口:そうなんですよね。あと、noteには、編集部が厳選したコンテンツを公式アカウントでピックアップしてくださる「編集部のおすすめ記事」があるじゃないですか。それを読んでいると、あまりに良質なものばかりで……。質の低いコンテンツを公開するのは、と思ってしまうんですよね。
平野:わかります。ただ、note編集部のおすすめ記事では、とくに良い記事のみを選定させていただいていて、1日あたり10,000件近く公開されるコンテンツのほんの一部でしかありません。選ばれたらラッキーな枠くらいに捉えてもらえた方がよいかもしれません(笑)。
堀口:あとは、毎日更新していらっしゃる方も多いので、継続できなかったらどうしようとも思ってしまいます。
平野:毎日書くって、僕はできないのですごいなと思います。もちろん「毎日書く」を目的にするのは、目標のひとつとしてアリです。ただ、むやみに毎日書こうとすると、すべての投稿に本気になれない可能性もあります。
いずれにしても、noteを書くためには、周りではなく自分と向き合うことが大切だと思います。
noteを書けないときは、まず自分と向き合うこと
堀口:たしかに……結局、誰のために書くかというと自分ですものね。noteを書くためのハードルが少しだけ下がったような気がします。ただ、実際に私自身が「何を書くのか」を考えると、一体何がいいのか少し悩んでしまいます。
平野:そうですよね。noteの勉強会などにいらっしゃる方も、「自分のテーマといわれても難しい……」と思われる方もいらっしゃいます。そうしたら、今日はせっかくなので、堀口さんのテーマを一緒に整理していきましょうか。
堀口:ぜひ!お願いします。
平野:まず、noteはその言葉通り真っ白で、誰もが好きなことを書いていい場所なんです。落書きを書いてもいいし、日記を書いてもいい。だからこそ、自分の中にある書けるネタを引っ張り出す必要があります。たとえば……取材前にいただいたプロフィールを見ると、堀口さんはラジオがお好きなんですね?
堀口:そうですね。今はスマホがあるのでいつでもどこでもラジオが聞けますが、昔はAMラジオのチューナーを持って、音がよく聞こえる場所を一生懸命探してラジオを聞いているような学生でした。
平野:どうしてラジオがお好きなんですか?
堀口:内輪っぽいノリが、空間の中にあるからでしょうか。ラジオって、決まった時間に決まったチャンネルで配信しますよね。パーソナリティの方の決まり文句のようなものもあって。閉鎖空間の中で、リスナーだけがわかるコミュニケーションが行われている特別感が昔から好きなんです。
平野:好きなラジオの番組やパーソナリティの方もいらっしゃるんですよね。
堀口:はい、今もFMラジオの「J-WAVE」が好きで通勤時には聞いています。パーソナリティとしては別所哲也さんかな。朝からテンションが高くて、パワーを分けてくれるんです。
平野:なるほど。それだけすらすらと話せるくらい思いがあるのであれば、ラジオを軸のひとつとして発信しても良いかもしれませんね。
堀口:ラジオですか。たしかに、人に話せるネタはたくさんあるかも知れません。
平野:たとえば、堀口さんが好きなラジオの番組をまとめてnoteに書くとか。10個くらい番組をピックアップして、公式URLとおすすめする理由とを合わせて書くのでも良いかもしれませんね。あとは、好きな決まり文句をまとめるとかも、僕であれば読んでみたいです。
ラジオの話だけでもこれだけ広がります。ほかにも趣味があれば、その分、noteに書けるネタは多いように思うのですが、ラジオ以外にも何か思いつきますか?
堀口:そうですね、テレビショッピングとか……?
平野:え、テレビショッピング!? どうして好きなんですか?(笑)
堀口:さまざまな切り口で、ひとつの商品を紹介する様子がすごく面白いからですね。テレビショッピングで購入することが好きなのではなく、紹介する様子に感心してしまうんです。とくに、お気に入りの「QVCジャパン」のテレビショッピングでは、1時間にたったひとつの商品しか紹介しないんですよ。あの手この手を尽くして、商品のあらゆる側面を切り取る……すごい技法だなと思うんです。
平野:アツいですね!それでは、テレビショッピングもnoteのネタにしてみてはどうでしょう。「テレビショッピングから学ぶ、商品の魅力的な伝え方」まで昇華できたら、ビジネス層の読者にすごく刺さりそうですね。
「たくさん読まれるコンテンツを作りたいのか?」と自答すると、書き出すハードルは下がるはず
堀口:そのくらいライトで良いんですか?以前「【年末特別号】どんなnoteが読まれた?2018年を飾るnote20選」を読んだことがあったので、読まれるためにはボリューミーでなければならないのか、と感じてしまったんですよね。
平野:「トップ20に入るほど読まれるコンテンツを書きたいのか?」と考えてみるのはどうでしょう。読まれるためのコンテンツを作ると決めて一球入魂するのもひとつの方法ですが、相当な労力を使うと思いますし、継続するには相応の努力が求められるとおもいます。
堀口:たしかに……。読まれる方が嬉しいものの、一球入魂の記事を作るのはちょっと違うかもしれないです。
平野:まずライトに始めてみて、読まれたらラッキーだと思うくらいのほうが、続ける上では気が楽だと思いますよ。あと、お題選びに迷ったときには、noteから定期的に発表している「お題企画」に参加するのが良いと思います。比較的始めやすいものだと「#とは」とか。好きなものに対する愛を語ってもらうために作ったお題なので、ラジオの話題にもぴったりですし。
堀口:こういったお題は、読者目線ではなく、クリエイターの目線で作っているんですか?いつもお題ごとに上がってる記事を遡ってみていたので、読者のためのものだと思っていました。
平野:基本的にはクリエイター目線ですね。何を書こうかと迷ってしまう方は多いので、書くためのフックとなれば良いなと思っています。最近だと、キリンビールさんとのコラボで開催している「#あの夏に乾杯」という投稿コンテストもすごく人気で、開始数日ですでに100件以上の記事が集まっています。
堀口:先ほど、平野さんはこれまでテーマを絞らずにいろいろ書いてきて、後で絞ったと教えてくださったのですが、絞ったほうが良かったなと感じることってあるんですか?
平野:いや、どちらでも良いと思います。僕自身、ツールの話が主にはなりつつ、なんだかんだいまだにいろいろと書いていますからね。日常のなんでもないこと、便利なツールの紹介とかを自由に書いて、マガジンで分けれればいいやと考えています。さきほどのテーマ設定にも言えることですが、どっちの方がいいのかではなく「自分はどうしたいのか」次第。僕の場合は、それでいいと思ってるだけですよ。
クリエイターと読者をつなぐ「note」の機能をフル活用せよ
堀口:少しずつnoteを書くために必要なことが見えてきた気がします。あとは、少し細かいことを聞いても良いですか?noteを毎日書くことを考えると気になってしまうことがいくつかあって。
平野:なんでしょう?
堀口:まず、noteのアカウント名って実名とハンドルネームのどちらが良いのでしょう。
平野:先ほどと同じで「どっちが良いですか?」と自分に問いかけるのが一番だと思います。僕に関しては、特別なことを考えずに実名で始めてしまったんですよね。今さら変えづらいので、ずっと実名です。
堀口:私の場合は、こういったメディアの仕事を実名で行なっているので、紐づけたい。ということは、実名で始めるのが良いかもしれないですね。
平野:そんな風に、自分のやりたいことを考えて、方向性を定めていくのが良いですね。
堀口:あと、最初の画像ってみなさんどのように選んでいるんでしょうか。どのコンテンツもすごく写真が綺麗なのですが、そんなに良い写真はスマホの中には無くて……。
平野:「みんなのフォトギャラリー」の機能ってご存知ですか?
堀口:……? みんなのフォトギャラリーですか……?
平野:画像選択の際に「みんなのフォトギャラリー」をタップすると、クリエイターさんたちが撮影した写真を検索できるんです。ラジオの話題を書いたなら「ラジオ」と検索して画像を探す。お気に入りの画像が見つかったら、選択。そうすると、撮影クレジットと共に見出し画像として配置されます。
堀口:すごいですね!
平野:写真を使ってもらったクリエイターさんに通知が届くので、記事を読んでもらえるきっかけにもなりますしね。ちなみに、僕のおすすめは「フィルム」や「写ルンです」と検索して写真を選ぶ方法。良い写真が多いので、ときには、お気に入りの写真から連想したテーマでnoteを書くこともあります。
堀口:それ面白いですね。写真から、コンテンツのテーマを連想する。
平野:あと、機能の話で言うと、「リアクションの設定」は是非やってみてください。noteには読了後に良かった記事や面白かった記事に対する称賛を送る「スキ」の機能があります。このとき、クリエイター側は、スキに対するお礼を「リアクション」として設定できるんです。スキに対するリアクションがあるのは、読み手にとって嬉しいですから。
堀口:ぜひ設定してみます! noteで発信を行なっていく中での基本的になスタンス、テーマ設定の方法、noteを使いこなす上でのポイント。正直、いろいろなことが気になってしまっていて、踏み出せないと感じていました。今回のようにご相談していく中で、抱えていた不安が少し晴れた気がしました。さっそく試してみます!
平野:繰り返しになりますが、noteでは「誰に何を届けたいのか?」を一番に意識して書くのが良いと思っています。つい誰かのコンテンツを読んで影響されてしまうこともあると思いますが、自分と向き合いながら心地よい使い方を見つけてくださいね。
取材後記
noteでの発信を見るごとに「これは、限られたクリエイターのみに与えられた特権」だと感じていました。ブログサービスとはどこか異なり、深い考察や知見を必要とするものだと。
今回、平野さんのお話を伺って感じたのは、誰かの顔色を伺うのではなく自分の主観を大切にしながらnoteを活用することが重要であることでした。もしかしたら、それこそがnoteの望む「クリエイターと読者をつなぐ」プラットフォームのあり方なのかもしれませんから。
たくさんの相談に乗ってもらった今回、もうnoteを始めずにはいられません……! まずは1カ月継続して発信をしてみようと思います。
■発信テーマを考えるポイント
Tips:まずは「誰に」「何を」届けたいかを考えよう
Tips:自分と向き合い、私だからこそのテーマを考えよう
Tips:お題も活用してみよう
Tips:飽きたらやめて、次々と試してみよう■noteを使う上でのポイント
Tips:オススメ記事は万に一。載ればラッキーくらいの気持ちで考えよう
Tips:アカウント名は実名でも、HNでもOK。目的に合わせて使おう
Tips:読者に向けたお礼だから、リアクションは設定しよう
Tips:写真は、みんなのフォトギャラリーを活用しよう
Interview 堀口恵理
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