こんにちは。石井リナです。
年末に気になるニュースが飛び込んできました。ヘアサロン「AFLOAT」が昨年11月からオンラインサロン「GENECTION(ジェネクション)」を始動したというもの。
(ニュース:https://www.wwdjapan.com/beauty/2015/11/19/00018748.html)
オンラインサロンとは、有料でノウハウなどの情報をシェアしあうクローズドコミュニティのこと。応募人数の200名は即日集客されたということもあり、業界の中でもかなり注目されている様子が分かります。
美容業界のオンラインサロンといえば、「air(エアー)」の木村直人氏と「grico(グリコ)」のエザキヨシタカ氏が共同主宰する「Multiverse(マルチバース)」が有名です。個人でオンラインサロンを運営されているケースが多いですが、美容業界初のヘアサロン運営ということもあり、オンラインサロン開設に至った経緯を「AFLOAT JAPAN(アフロートジャパン)」代表の西岡卓志氏と、そのきっかけとなった「air」の木村直人氏の対談形式でインタビューさせて頂きました。
充実した講師がいないとオンラインサロンは成り立たない
石井リナ:オンラインサロンの構成は、どうなっているのでしょうか。
木村直人:僕のサロンは、僕とヘアサロン「grico」のオーナーであるエザキヨシタカの2人で運営しています。
西岡卓志:僕達は個人ではなく、ヘアサロン「AFLOAT」での運営になるので、CEOや代表、店長、トップスタイリストなど幹部メンバーがおよそ10人ほど携わり、コンテンツを提供しています。
石井リナ:そもそもオンラインサロンを立ち上げたきっかけを教えて下さい。
木村直人:美容業界ってなんでもかんでも無料でやろうとするところがあって、それに違和感を覚えていたときに、堀江貴文さんのサロンを知ったことがきっかけでした。そのタイミングでパートナーと出会い、一昨年の9月中旬にスタートしました。
西岡卓志:AFLOATのスクール事業が全然動いていなくて、今後どうしようかと話していたんですよ。僕も木村さんのサロンに入っていて、去年の7月にお話する機会があって、AFLOATでやったらいいじゃないかと言われて、確かにオンラインサロンという手もあるなと思ったのがきっかけです。
木村直人:美容のオンラインサロンって、充実した講師陣がいないと成り立たないんですよ。AFLOATであれば、講師として納得のいく人物が揃っているのでという点でおすすめしました。
石井リナ:美容業界の中でのオンラインサロンというものは前例がなかったかと思いますが、抵抗はありませんでしたか?
木村直人:僕は、全く無かったですね。興味ある人は入ってくれば良いし、興味のない人はスルーすればいいと思っているので。
西岡卓志:僕達の中のリテラシーの問題とかで不安な部分はあったのですが、とりあえずやってみて、僕達も成長出来る部分があるだろうってことで動き始めました。
オンラインサロンの目的は「開放」と「成長」
石井リナ:オンラインサロンの目的はどのようなところにあるのでしょうか?
木村直人:僕らの場合は「開放」ですかね。割と閉鎖的な業界であるので、気付きをたくさん与えられたらいいなと思っています。
西岡卓志:参加している方の成長かなと思います。お互いの中でシナジーが生まれたら理想的だなと思っています。AFLOAT自体、世界1のカリスマ美容集団と標榜しているので、コンテンツを翻訳していって世界展開できたらいいなあとも思っています。
石井リナ:なるほど、コンテンツの内容はそれぞれどうなっているのでしょうか。
木村直人:うちに関しては、一緒にやっているパートナーが経営者なので、彼は美容室の経営論を、僕はお店の幹部的ポジションとして組織の中での在り方やマインド論などについて発信しています。僕もパートナーも、共通で技術の話は提供出来るので、そうした内容も発信しています。
石井リナ:中でもどういったコンテンツが需要ありますか?
木村直人:うちのサロンメンバーは参加者からは、スキルに関するコンテンツを提供してほしいという要望が多いです。」です。
西岡卓志:AFLOATの講師は多種多様なので、お互いに得意な分野を発信するようなコンテンツ内容ですね。まだ始まって3ヶ月ほどなので模索しているところです。
サロンメンバー同士のコミュニティが盛り上がっている
石井リナ:オンラインサロンの立ち上げにあたり、社内を説得することも大変だったのではないでしょうか?
西岡卓志:社内では何回かプレゼンをしましたが、何もしないことは衰退だと思っているので、やってみようって動きになりましたね。
石井リナ:サロンを始めてから、社内での変化はありましたか?
西岡卓志:講師陣が慣れてきた部分もありますが、コンテンツ内容の提案を見ても、積極性が増したように思います。
石井リナ:社外以外の影響だけでなく、社内にもプラスの影響があるのはいい動きですね。
木村直人:社内ではないですが、うちのサロンは、メンバー同士のコミュニティが出来てたりするんですよ。特に大阪のユーザー同士のコミュニティが強くて。知らない間に出来てたんですけど、その中でセミナーなども開催されていて。(笑)
石井リナ:吸収力があるんですね。
木村直人:そうですね。僕達としてはどんどんやってくださいという感じです。
アウトプットの意識、集客力、継続力がなければ運営は難しい
石井リナ:では、オンラインサロンの良い点は何でしょうか?
木村直人:そうですね、美容業界にはびこる「無償提供」を正しい形でマネタイズ出来る所ではないでしょうか。情報やノウハウを共有する分、きちんと対価をいただくという点で。
石井リナ:なるほど。オンラインサロンの難しさはどこにありますか?
木村直人:運営する上でのオンラインサロンの難しさは3つあると思っています。1つ目はアウトプットする意識、2つ目は集客力、3つ目は継続力。それがクリアできれば運営出来ると思いますよ。
石井リナ:そのすべてがクリア出来る人となると、なかなか少なくなってしまいそうですね。
今後オンラインサロンは加速するのか?
石井リナ:今後オンラインサロンは増えていくと思われますか?
木村直人:美容業界でいうと難しいと思います。
西岡卓志:組織でやるとなると、社内で波が立たない組織かというところと、それくらいコンテンツを発信できる人間がいるのかという問題が生まれやすいですよね。
木村直人:もしやるとするならば、フランチャイズを抱えているサロンは多いので、フランチャイズへのコンテンツ共有をオンラインサロン化してしまうっていうのはありかなと思います。
西岡卓志:それ面白いですね。
木村直人:フランチャイズの店舗は絶対加入が条件で、その中で情報共有などもするというシステムであれば運用可能かなと。
石井リナ:美容業界限らず、フランチャイズを抱えているような飲食店などでも展開できそうですね。
今後の目標は?
石井リナ:お2人の今後の目標を聞かせて下さい。
西岡卓志:自社のことでいうと、60歳まで1つの会社に務め上げるって難しいと思っているので、1スタッフ1法人みたいな動きができたらと思っています。例えばメイクの商品開発をメイクに長けているスタッフが責任を持って、社内新規事業みたいな形で責任者をするという様な形が出来ないかなと思っています。
石井リナ:面白いですね。サービスとポストを増やしていくイメージですね。個人的な目標はありますか?
西岡卓志:美容業界のインバウンド需要を活性化させること携わりたいなと思います。日本の美容はレベルがかなり高いと思うので、海外からお客様が増えるような動きを作りたいです。
石井リナ:「美ンバウンド」などの言葉も流行語に入っていましたよね。木村さんの方はいかがですか
木村直人:個人としてやりたいことはもうないんですよね。プレイヤーとしてすべてクリアしたというか。ただ、自分の歴史の中に育成をしたという過去がないので、そこは注力してやっていきたいなと思っています。それができれば俺、最強だなと思うので(笑)
一同:(笑)
木村直人:美容師としては、美容の業をいかによくしていくのか。あとは、身近な人をいかに幸せにできるのかというのが目標です。
石井リナ:いいですね、やりきったからもうやることないって私も言いたいです(笑)。本日はありがとうございました!
最後に
様々な業界で流行りつつあるオンラインサロンですが、業界それぞれに運用のコツや、難しさがあるように見受けられます。今回は美容業界にフォーカスをしてお話を伺いましたが、特有の文化やクローズドな環境から、どんどん拡大していく、という様な単純な未来は無いのではというお話を伺い、意外さを感じました。
手段が同じ、「オンラインサロン」であっても、2人の目的や実施背景が違うことも大変興味深かったですし、美容業界を変えていこうとする2人のパワーに刺激を受ける1時間でした。オンラインサロンの参加メンバーの中でも、さらにマーケットが出来上がり、その中でお金が動いている様子は、とてもおもしろい流れだと思います。
情報にお金を払わなくなっている今、コミュニティにお金を払うという形が、ユーザーの中でも今後浸透していくのでは、と個人的に思っています。どのようなコミュニティや在り方であれば、オンラインサロンは拡大していくのか、そもそも拡大していかないのか、など、更に深掘ってみたいです。
木村さん、西岡さん、お忙しい中お時間を頂き、ありがとうございました!
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【右】木村直人(air/ LOVEST)
air&LOVEST SN.Div.Manager。ヘアカラーのスペシャリストとして数々の芸能有名人を顧客に持ち、かたやアレンジのアドバイザーとしても高い評価を得る。 雑誌やタレントのヘアメイクにも深く取り組んで幅広い仕事をこなす。 【著書】「air/LOVEST 木村直人のハラドキ☆ヘアスタイルBOOK」はAmazonヘアケア部門ランキング第一位獲得。
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【左】西岡卓志(AFLOAT)
アフロート銀座ローラン池袋代表。都内1店舗を経験。サロンワーク中心に多岐にわたる活動を展開。 女性らしいふんわり柔らかく、扱いやすいパーマスタイルや、大人女性に定評がある。 「すべての女性に 喜んでいただけるデザインと感動を」をモットーに、ものごしの柔らかいアシスタントとの接客はAFLOAT内でも最高の居心地の良い空間を演出。
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