【突撃】トルコのSNS事情ってどうなってるの?直接聞きに行ってみた

2016 6.2

はじめまして、kakeruライターの加藤友史郎です。

最近、東京オリンピックに向けて訪日観光客が増えてきましたね。みなさんも、街中で外国の方をよく見かけるんじゃないでしょうか?

”ソーシャルメディアの可能性を探求するkakeru”としては、外国の方がどのようにSNSを利用しているのか?というテーマも取り上げるべきだと考えています。

そこで、まずは「トルコ人のSNS利用」について調査してみようと思い立ちました。

なぜトルコ人のSNS事情を調査するのか?

みなさんは、トルコのインターネット・SNS事情についてどんな印象をお持ちですか?
ほとんど知らないという方が多いと思いますし、私もつい先日まではそうでした。しかし、少し調べてみるととても興味深いデータが…今回の調査を思い立った3つの理由をご説明します。

1.トルコは近い将来SNS大国になる可能性を秘めている?

2013年の調査データですが、トルコのスマートフォンの普及率はアジアの新興国のタイ(31.0%)とほぼ同水準の29.6%と、かなり高い数値となっています。しかも、トルコはインターネット利用者の約85%がFacebookを利用しており、近い将来SNS大国になるのでは、と考えています。

2.トルコでは政府によりSNSの利用が禁止されたことがある

もう一つ、トルコのSNS事情で抑えておきたいのが政府による検閲についてです。トルコでは、これまでに何度か政府によりSNSへのアクセスを禁じられたことがあります。最近だと2015年4月7日のこちらのニュースをご存知でしょうか?

[blogcard url=”http://www.cnn.co.jp/world/35062803.html”] [/blogcard]

当局がSNSなどを含む少なくとも166サイトについて、アクセス遮断の裁判所命令を要請するという事件が起きていました。

3.トルコ人の国民性に興味がある

私の自宅の近所にケバブ屋があり、いつも店主のおじさんがハイテンションで話しかけてくれます。国民性の違いなのでしょうか? もしかすると陽気な国民性がSNSの使い方に反映されているかもしれません。

気になって、居ても立ってもいられません。一体トルコ人はどのようにSNSを活用しているのでしょうか?

ということで、まずは「アメ横」にやってきました。

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ケバブ屋の激戦地区といえば上野「アメ横」。陽気なケバブ屋のおじさんなら、突撃取材をしても快く受けてくれる、そんな期待を胸にアメ横にやって来ました。

 

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この日はあいにくの雨。しかし、そんなことは関係ありません。私はケバブ屋のおじさんのことを、そして「トルコ人のSNS利用調査をする」という使命感に燃えているのです。

 

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さて、ケバブ屋を探しながらアメ横を歩いていると、道行く人にハイタッチを求めている外国人を発見。

ケバブ屋「ビッグドネルケバブ」の呼び込みをしていたので早速突撃取材を申し込みました。

トルコではソーシャルメディアを「見るだけ」の人が多い?

加藤:トルコ人……ですか?

ザザさん:そうだよ!!

加藤:(やはりテンションが高い)トルコの方にSNSの利用について取材してるんですけども……ケバブ食べるんで、取材してもいいですか?

ザザさん:もちろんだよ!!!

加藤:じゃあ早速ですが、ザザさんって普段どんなSNSを使ってますか?

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ザザさん:ん~、スマホに入れてるのは、FacebookInstagramTwitterでしょ、あとLINETangoBip、WhatsAppもやってるね!

加藤:たくさん使ってるんですね。TangoとBipは初めて聞いたのですが、どういうSNSですか?

ザザさんTangoとBipは、なんとなくLINEに似てるかな。トルコではLINEと同じように使ってるし。WhatsAppも同じような使い方をしてるよ。

加藤:そうなんですね! SNSの使い分けってどのようにしているんですか?

ザザさん:Facebookをやってない友達とはWhatsAppで、WhatsAppもやってない友達とはTangoやBipでコミュニケーションを取ってるね。

加藤:なるほど、相手の利用しているSNSに合わせて複数のSNSを持っているんですね。

ザザさん:そう! いろんな友達がいるからね!

加藤:日本とトルコで、SNSの利用方法に違いはありますか?

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ザザさん日本にいてもFacebookやInstagramの使い方はほとんど同じかな。遊んだり、ご飯食べたときの写真をアップしたりするよ。だけど、トルコ国内では政治的な自分の意見を言う人が多いね。

加藤:そうなんですか!

ザザさん:でもね、政治的なコメントをすると政府に捕まることもあるんだよね…

加藤政府の検閲で何度かFacebookやTwitterの使用を禁じられたことは話題になっていましたが、捕まることもあるんですね……

ザザさん:そう。過激な発言も多いからだと思うけど。だから、ソーシャルメディアは投稿せずに見るだけの人が増えているよ〜。

ケバブ屋1軒目「ザザさん」のまとめ

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TangoとBipという初めて耳にするSNSを使っていたザザさん。利用しているSNSを表でまとめるとこんな感じになります。

店名 ビッグドネルケバブ
名前 ザザさん
国籍 トルコ共和国
年齢 30代
来日 5年前
デバイス iPhone
利用しているSNS Facebook、Instagram、WhatsApp、LINE、Twitter、Skype、Bip、Tango

政治的背景からトルコ人の方は日本人よりもSNSでの発言に気を配っているように感じました。また、多くのSNSを活用できる器用さは、歴史的にも貿易の要所として発展したトルコの国民性を反映しているように思いました。

それにしてもトルコの人って、みんなこんなに気さくなのかと驚きました。もちろんケバブも美味しく頂きました。ザザさん、ごちそうさまでした! 

トルコのソーシャルネイティブ世代に流行のSNSは?

さて、「ケバブを食べる」というアイスブレイクが有効であることを知った私にはもう何の迷いもありませんので、2軒目の方にはすぐに声をかけました。

加藤:お兄さんは……トルコ人ですか?

メメットさん:そうですよ。

加藤:ケバブを食べるので、取材してもいいですか?

メメットさん:オーケー。 いいよ!

加藤:というかお兄さん若いですよね? おいくつですか?

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メメットさん19歳だよ!

加藤:ソーシャルネイティブ世代じゃないですか! よく使うSNSは何ですか?

メメットさんFacebookとLINEとInstagramとWhatsAppだね。

加藤:トルコの友達とのコミュニケーションにはどれを使いますか?

メメットさんトルコの友達との連絡はほとんどFacebookだね。たまにWhatsAppかな。トルコではWhatsApp使ってる人が多いからね〜。

加藤:日本にいるトルコ人の友達とはどうやって連絡取ってますか?

メメットさん:やっぱりFacebookだね!

加藤:では、LINEはどういうときに使ってますか?

メメットさんLINEは日本人の友達と連絡を取るときが多いね。日本ではほとんどの人がLINEを利用しているからね。

加藤:他にSNSの流行に関して、トルコと日本での違いはありますか?

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メメットさんトルコではTVスターがInstagramでたくさんポストしていて、日本よりポピュラーな印象だね。その影響で友達もほとんどInstagramを使ってるよ。

加藤:芸能人のInstagram利用が進み普及率が高まっているという点は日本もトルコも同じみたいですね。

メメットさん:うん、Instagramは今一番勢いのあるSNSだと思ってるよ!

ケバブ屋2軒目「メメットさん」のまとめ

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ソーシャルネイティブ世代どまんなかの声を聞かせてもらいました。ちなみに、中央のおじさんは、なんとその場でオリジナルソースを作ってくれました。すごい美味しかったです。

店名 オスカーケバブ
名前 メメットさん
国籍 トルコ共和国
年齢 19歳
来日 2年前
デバイス iPhone
利用しているSNS Facebook、LINE、Instagram、WhatsApp、Viber         

メメットさん曰く、トルコでは若い世代を中心にInstagramの利用が進んでおり、平行して若者を含めてほとんど全員Facebookアカウントを持っているそうです。

日本では10代のFacebook離れが進む一方で、トルコの若者の多くは基本の連絡先としてFacebookアカウントを持っているようです。

さて、2軒のケバブ屋さんへのインタビューを終えて、私はふと我に返りました。取材の目的は、「ケバブ屋さんのSNS事情」ではなく「トルコ人のSNS事情」の調査であったと。

より深く調査するため「トルコ文化センター」へやってきました

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ということで、ケバブ屋さん以外のトルコの方にもお話を伺うべく、新宿にあるトルコ文化センターへやってきました。

 

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※左から、ケマーレッティンさん(41歳) エリフヌルさん(22歳) 加藤 エルヴァンさん(25歳)

中に入ると、早速3人のトルコ語の先生がお出迎えして下さりました。元々人見知りの私も、ケバブ屋への突撃取材でメンタルを鍛えられたのか、自然と会話を楽しむことができました。

 

祖国を離れてから、よりFacebookを使うように

加藤:いきなりですが、みなさんが一番よく使うSNSは何ですか?

エリフヌルさん以前はWhatsAppがメインでしたが、今はFacebookです。特に日本に来てよく使うようになりました。

加藤:なぜFacebookに変わったんですか?

エリフヌルさんリアルな友達とつながっていて、ニュースフィードで近況を報告し合えるからですね。トルコから離れていても、故郷の家族や友人の近況が知れるので、ピッタリなSNSだと思います。

Twitterで大学教授と連絡をとっている

加藤:他の方はどうでしょうか?

エルヴァンさんTwitterです。トルコ語、英語、日本語でツイートします。色々な人と繋がっているので、一日中タイムラインを見ていても飽きませんね。

加藤:多言語でSNSを使ってると情報量も増えそうなのにすごいですね。たとえばどんな人と繋がっているんですか?

エルヴァンさん大学の教授ともTwitterで繋がっています。授業の情報などについて連絡をとったりしますね。

加藤:Twitterで教授と連絡ですか!あまり想像つかないですね…

エルヴァンさん:私も教授もよくTwitterを使うんですよ。なので、教授ともTwitterで連絡できるのは楽でいいですよ。

加藤お互いが一番よく使うコミュニケーションツールで連絡を取り合えるのはいいですね!

新しいSNSを自然に使い分けている!?

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加藤:ケマーレッティンさんはどうですか?

ケマーレッティンさん:私もFacebookをよく使っていますよ。トルコから来日してすぐは、WhatsAppやViberが中心でした。

加藤:そうなんですね。みなさん様々なSNSを利用していますが、何か使い分けは意識されていますか?

ケマーレッティンさん:う~ん、なんとなく自然にわけちゃうんですよね(笑)

エルヴァンさん:そうですね、私も自然とそうなります(笑) 日本人と連絡する時はLINEを使って、トルコ人とはFacebookやWhatsAppを使っています。あと、トルコにいたときに電話は、カカオトーク使ったりしてましたね~。

エリフヌルさん:わかります!私も同じです!

ケマーレッティンさん:私は家族や友人との連絡にはFacebook、そしてビジネスではWhatsAppを中心に使います。

加藤:それぞれ、場面ごとに感覚でSNSを使い分けているんですね。

ケマーレッティンさん:そうですね、結局は必要になったから使ってるんですよね。私は最近、日本人とコミュニケーションをとるためにLINEを始めました。

加藤:なるほど、新たなコミュニティに参加する度に、みなさん新しいSNSを抵抗なく使いこなしているんですね。

「トルコ文化センター」のまとめ

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普段はトルコ語の先生という先生3人は、終始流暢な日本語を話しながら笑顔でインタビューに答えてくださりました。

取材場所 トルコ文化センター
名前(年齢) ケマーレッティンさん(41)、エルヴァンさん(25)、エリフヌルさん(22)
国籍 トルコ共和国
   
来日 16年前、3年前、3年前
デバイス iPhone
利用しているSNS Facebook、LINE、Instagram、WhatsApp、Viber、カカオトーク、Facebookメッセンジャー、Twitter         

トルコ文化センターの先生方へインタビューを通して、次々に新しいソーシャルメディアを使っていくことへの抵抗感が無いことに驚きました。彼らにとって、新しいソーシャルメディアを使うことは、新しい社会に踏み入ることなのではないでしょうか。

トルコ人は年代問わず、複数のSNSを使い分けていた(まとめ)

取材を受けてくれたトルコ人の方々は、Facebookを中心に複数のSNSを使い分けていました。

特に印象的だったのは、コミュニティによるSNSの使い分けです。国内外に多国籍の友人がいる彼らは、それぞれの国のトレンドとメディアの特性を踏まえ、上手にSNSを使い分けています。

日本では、プライベートでのやりとりはLINEの一強状態になっていますね。私の周りでは、仕事ではFacebookメッセンジャーを使っているという方もいますが、今回取材をしたトルコ人の皆さんほど、使い分けをしていない印象です。

ひとつには、日本国内で日本人と連絡をとる分には使い分ける必要がないということもあるでしょう。

しかし一方で、ツールを使い分けることによって新しいコミュニティとの繋がりを開拓できる可能性を捨ててしまっているような印象もあります。

今、日本でもソーシャルネイティブ世代では複数のSNSをコミュニティ別に活用することが当たり前になってきています。今回取材した日本在住のトルコ人のみなさんのように、日本でも複数のSNSを使いこなし、様々なコミュニティと繋がりを持てる時代も近いはずです。

今回、初めて聞く名前のSNSもあったかもしれませんが、みなさんも積極的に使い分けることで世界を広げてみてはいかがでしょう?

次回も、私が気になる外国人のSNS利用について調査していきます。

それではまた。


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