With the community 001:社会とメディアの進化によって変わったコミュニティの姿 #1

2020 6.17

新型コロナは、私たちが驚くほど「つながっている」ことを教えてくれました。同時に感染リスクを減らすため、「つながれない」生活を私たちに強いています。

そこに現れてきたのが、ネットを使って「つながりたい」人々の強い欲求。LINE、Facebook、Twitterのアクセス数は軒並み増えています。(下図参照)、#おうち時間や#STAYHOMEなどのハッシュタグ、本や筋トレの投稿リレーで人々はつながりを実感。Zoomの利用人数は急拡大し、YouTube、InstagramLIVEを使ったコンサートや飲み会も生まれました。

※出典:https://k-tai.watch.impress.co.jp/img/ktw/docs/1245/562/html/01_o.png.html
※出典:https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00182/033100035/

「自立とは依存先を増やすこと」東京大学先端科学技術研究センター准教授の熊谷晋一郎先生の言葉です。サブスク型ファンコミュニティを構築できるプラットホーム「OSIRO」を提供している杉山博一さんによると幸福度の高い北欧の国々では、一人が4~5つのコミュニティに属しているのだそう。

きっと、「つながる」欲求は、社会性を持ち助け合うことで環境変化に適応し、厳しい自然環境の中で生存競争を生き延びてきた原始からの本能なのでしょう。

社会の進化によって変わってきた「つながり」とコミュニティの姿

交通・通信手段が未発達の頃、「つながり」は血縁・地縁しかありませんでした。経済が発展してくると運命共同体「会社」が生まれ、人々は「会社」に通いながら、大型連休のたびに血縁と地縁のつながりの強さを確かめに出身地へと戻る生活。高度経済成長期は会社・血縁・地縁が、依存できる大きな存在でした。

バブルが弾け30年近く続く経済低迷の中で「会社」は依存できない存在に。「核家族化」「転勤」「転職」によって、血縁・地縁・会社の「つながり」は、精神的に依存するには心もとなくなりました。

かく言う私も転勤族の息子で親戚とはほとんど連絡をとっていません。地元は一体どこなのか自分でもわかりません。幸いなことに今は大きな企業に属していますが、VUCAなこの先の世界で、特定の企業に依存するほどのメンタリティは持てません。

インターネット前は、それぞれの人が地元、家族、会社、趣味でそれぞれの顔を持つのは当然のことで、リアルな付き合いでは、会社でも家族の顔や趣味の顔が漏れ出てくるのは当たり前のことでした。

インターネットが登場し、SNS上でのコミュニケーションは活発になりましたが、それは人の部分的一面を映し出すものでしかありません。Facebook、twitter、Instagramでは趣味と公のアカウントを使い分け、趣味アカウントで接する人には会社の顔や家族の顔は決して見せません。そのような人間関係は安心して依存する先としては少し心もとない。

地縁・血縁・会社が依存先として頼りない社会背景と、SNS上での一面しか見せない薄い関係、一つの役割でしか人と関われない関係に疲れてきた人々は、自分の多面性を認めてくれる濃い関係性や、価値観や趣味といったemapthy(共感)を元にした関係性を求めてクローズドなコミュニティに魅力を感じるのでしょう。しかし、そこは血縁や地縁程の強制力はありません。

これからは個々人のライフステージの変化によって悲しみを薄めるため、喜びを増幅するために、多様なコミュニティに属したり離れたりしながら、幸福度の高い人生を送っていくのでしょう。

メディアによって変化してきた「コミュニティ」

メディアが情報を介して人と人をつなげるものだと考えると、メディアはコミュニティを作る道具と言ってもいいのではないでしょうか。

真ん中の列にあるのはアナログな旧来のメディア。一番右はデジタルなインターネット上のコミュニケーションプラットフォームです。

左の列の〇対〇とは、コミュニケーションの相手となる人数。

手紙/電話/LINE/メールは、主に1対1の親密なやりとりをするためのツール。

新聞・TV・雑誌・ラジオは発信する側は1で、情報を受ける側は多い1対nの関係が特徴で、メディアが大きな存在感を示していました。

デジタルの1対nの関係は、はじめの発信は1からですが、情報を受ける側の人も、発信者になにがしかのリアクションをリアルタイムにできるのが特徴になってきました。デジタルにおいては個人のアイデンティを強化するブランドやアーティストがこれからのコミュニティを形成してきました。

n対nの会報、掲示板、メーリングリスト、mixi等では、不特定多数の人が一つの共通点を軸にして集まり、それぞれが自由に発言をします。中心的な人はいるでしょうがあくまでも軸は共通の趣味・テーマ・目的です。

1対n対nはインターネット上に現れた新たなコミュニティの姿。Amazon Web Serviceや、Adobe、楽天大学等、サービスの習熟度があがればあがるほど、顧客満足が上がるSaasの分野でいち早く発展してきました。Saasの分野でコミュニティをうまく活用できると、継続率が改善し、ブランドロイヤリティが向上し、ユーザーとユーザーの会話に耳を傾けることでその製品へのアイディアや改善要望が得られたり、顧客のニーズがわかるからです。ユーザー同士が助け合うためサポートコストが減るメリットもあります。最近はD2Cやコモディティ化された商品の場合は、ユーザーと共に価値共創できる点を重視しているコミュニティもあるようです。

ここ2~3年で特徴的なのは、DMM、CAMPFIRE、note、OSIRO等の有料でのクローズドなオンラインコミュニティが生まれてきたこと。この流れは先述したSNS疲れ等から、より安心できる関係や共感を求めてのことなのでしょう。

さらにコロナによって、急速に広がったのがZoom、Remo、SpatialChat等のオンラインmtgツール。ここからまた新たなコミュニティの姿が生まれそうな予感がします。

コミュニティを形成し届けたいメッセージを効果的に伝えたい時、達成したい目的がある場合、1対n、n対n、1対n対n、どの形態が良いのか。それはオープンであるべきか、クローズドであるべきか。匿名であるべきか、実名であるべきか、どのツールを使い、どういう順番でコミュニティを形成していくのが好ましいのか。真剣に検討してから始めるのが良さそうです。

次回はコミュニティの具体的事例をご紹介しながら、目的・ツール・コミュニティの形を分析していこうと思います。コミュニティに興味をお持ちの皆様のお役に立てますように。

Writing 山口岳
Design 會川誠也
Support 塚本祥穂 今城加奈子


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