Pinterestで体験する、多様性の面白さ。「ZOZOテクノロジーズ scrum #2」イベントレポート

2019 5.9

ZOZOグループは、変革期を迎えています。

2018年10月1日、社名を「スタートトゥデイ」から「ZOZO」に変更。それに伴い掲載された「拝啓、前澤社長。」とはじまる新聞の一面広告を目にした人も多いのではないでしょうか。

ZOZOグループの企業理念「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」を実現するために大きく変わろうとしているのは、ZOZOグループのサービス運用・技術開発を担う株式会社ZOZOテクノロジーズも例外ではありません。

ZOZOテクノロジーズは総社員数263名のうち、約3分の1にあたる86名が新入社員(2019年3月時点)。さらに本社のある青山(渋谷区)だけでなく、幕張(千葉市)、福岡(福岡市)と3つの拠点に分かれています。会社の成長に伴い、急速に社員が増えていくなかで、社内のコミュニケーションを活性化させることが新たな課題となりました。

そこで社内の結束力を高めるために「ZOZOテクノロジーズ scrum #2」(以下、scrum)が開催されました。scrumは、今回で2回目。会社主催のイベントではなく、「やりたい」と手を挙げた社員が中心となり、自発的に実施された社内イベントです。

今回のscrumは、kakeruの記事「チーム力を高めるためにPinterestを使ってみたら、社員同士の相互理解が深まった」を参考に開催されたもの。

プロジェクトマネージャーを務めた、イノベーション推進部の中村友香さんを中心に運営チームのみなさんにお話を伺いました。

263名のうち86名が新入社員。会社の成長とともに見えた課題

左から、scrumの運営メンバー:千葉さん、田神さん、中村さん、白木さん

――まず、今回のscrumをやりたいと思ったきっかけや、課題解決の手法としてPinterestを選んだ理由をお伺いしたいです。

中村:私は中途で入社しましたが、新入社員も増えて組織も変わっていくなかで、プロダクトマネージャーとして仕事をうまく進めるためにはどうしたらいいのかを考えていました。社員同士がより深くお互いを知ることができる機会を作ってみるのはどうかな、と思ったんです。

そんなときにkakeruさんの記事を見て、Pinterestを使えばもっと交流が深められると感じました。

――肩書きや仕事内容だけじゃなくて、自分の興味関心で自己紹介しあえる点が魅力ですよね。企画を進めていく上で、大変だったことはありますか?

中村:経営陣に本企画の目的や意図を、明確に伝えるのが難しかったことです。

Pinterestを使ったワークショップは多様性を尊重しやすく、ZOZOっぽくて向いてそうだなと思っていたんですが、それを言語化してうまく伝えられなかったんです。

経営陣も社員の相互理解の機会は必要だと思っていたようですが、このやり方でそれを達成できるのかという疑問があったようです。

――提案が通ったきっかけは、なんでしょうか?

中村:会社のロゴがきっかけかもしれないですね。ZOZOのロゴは、○△□のマークを使っていて、それぞれ色もかたちも異なりますが、面積はすべて同じです。

中村:会社が掲げているスローガン「みんな違うけど、みんな一緒(Be unique. Be equal.)」の思いが、ロゴで表現されています。

さらに、名刺のロゴマークは自分で好きな色を決められるんです。自分が選んだ色について、誰かに何か言われることはありません。

このように多様性を認め合う考え方は、ひとつのテーマに沿って多様にアウトプットできるPinterestの企画も一緒だと気が付いたんです。それをうまく言語化できるようになったら、提案が通りました。

――今回のscrumは、Pinterestを通じて社員同士の相互理解を図るもの。そのために、どういうテーマでPinterestを活用したのでしょうか?

中村:社内の結束力を高めるためにはどんなテーマが良いかを、運営メンバーでプレワークショップをしたり、試行錯誤しながら考えました。そんななかで、企業理念の「世界中をカッコよく」をテーマにしてみたら、お互いの距離が縮まる感覚があったんです。なので最終的に、この2つのテーマになりました。

中村:会社の理念に通じるからか、それぞれの個性や会社への価値観がより浮き彫りになってよかったと思います。

――自己紹介を兼ねた最初のテーマについても、徐々に会場が盛り上がっていくのが印象的でした。

中村:そうですね。バックボーンや知らない一面をビジュアルから知ることができたので、表面以外の深い部分も知ることができたような気がします。

プレワークショップを4回開催。scrumを成功に導く準備

――実際にscrumに参加して、参加者だけでなく、運営メンバーのみなさんの空気感も良いなと思いました。全部で何名で運営していたのですか?

中村:コアメンバーは6名ですね。まず、私が「やりたい」と手を挙げてから、少しずつメンバーを巻き込んでいきました。

コアメンバーとは別に、各グループで「ファシリテーター」という役割の人も設けたので、結果的には50人近いメンバーで協力・運営をしました。

――ファシリテーターの方達は当日どんな役割をしていたんですか?

中村:チームリーダーのようなポジションで、Pinterestの使い方やワークショップの進行をお願いしたんです。当日は263名を47チームに分けたので、社歴や職種が偏らないように配慮しました。いきなり「ファシリテーターをやって!」とお願いすると引いちゃうので、ファシリテーターの役割を3つに絞ってお願いしました(笑)。

▼依頼時にファシリテーターに送った画像

中村:運営メンバーとファシリテーターで、青山と幕張で2回ずつ、合計4回のプレワークショップを開催し、当日の流れを練習したり、課題点を抽出したりしながら準備を進めていきました。

プレワークショップのフィードバックを受けて、Pinterestの使い方マニュアルや、ワークショップが開始する前に確認する事項や・グループの会話が詰まった時にサポートするための「お助けカード」が記載されたリーダー用マニュアルも用意しました。

ZOZO愛溢れるscrumのこだわり

――scrumを運営していく中で、一番こだわったことはなんですか?

中村:「社員同士がより深くお互いを知ることができる」ためのコミュニケーション設計です。「イベント終了後、どういう状態になっていれば成功か?」を定義するため、イベントのキックオフ前に、白木とアンケートを設計しました。その時、大きく2つの軸でイベントの成功度を図ろうという風に決めました。

1つめは、「社員の意外な一面が発見できるかどうか?」

2つめは、「初対面の人も、気兼ねなく交流できたかどうか?」ということです。

千葉:イベント終了後、このような状態を実現できるようチーム編成は出来る限り、普段仕事上関わりのない人などを調べて、その人達が一緒にならないように散らばせました。

――知らない人同士でグループを組んで盛り上がるのかな、と不安もありますが、コミュニケーションが生まれるように工夫されていらっしゃったんですね。

中村:はい。そのために、ワークショップルールも作成しました。

面識のない人同士でグループを組むので、気恥ずかしさが出てきてしまいますよね。一人ひとりの発表ごとにちゃんと盛り上がれるよう、3つのルールを決めていました。

田神:他にも、名札からコミュニケーションが発生するように、あだ名を記入する欄を設け、呼び合いやすくしました。記念に取っておいてもらえるように厚紙で作成したり、所属や日付を入れたり、細部まで工夫しています。

思い出として、名札を机に飾ってくれている人もいるので、見るたびに嬉しくなりますね。

――資料やスライドがとてもわかりやすいなと思いました。

中村:最初はもっと長かったんですよ(笑)。

だけど、プレワークショップをやるにつれて「数字を前に出した方がいい」「もっと短くした方がいい」と田神がアドバイスをくれて。回を重ねるごとにブラッシュアップしていきました。

十人十色の「カッコいい」を共有

――「世界中がカッコいい状態」として、「世界平和」や「笑顔」のボードが多い中、仮想現実が舞台のアニメ『ソードアートオンライン』を挙げていたチームもありましたね。世界中で見た目や国籍年齢性別に囚われることなく対等に話せることが「カッコいい」と。話を聞きながら私もワクワクしました。

中村:同じテーマでも、チームによってボードが違うので面白いですよね。今回、Pinterestを使ったことで、効率的にコミュニケーションをとれた気がします。

中村:テーマについて話をしたり、紙に書いたりするやり方だと、得意不得意の影響があると思うんです。でも、Pinterestを使えば、既に存在している画像から直感で選んでいくだけ。ビジュアルで表現できるので、より伝わりやすいなと感じました。

中村:一人あたりの発表時間が5~6分と伝えたときは「長い!」と笑いが起きていたけれど、実際に発表がはじまり交代するころには「もう?」と聞こえてきたのも印象的でしたね。

――トラブルなどはあったんでしょうか?

白木:それが奇跡的にほとんどなくて。時間が押してしまうかなと心配していたんですが、逆に巻いてしまってワークショップ終了後の懇親会を早めたくらいですかね。この規模で、こんなにスムーズに進められるのかとびっくりしました。

中村:懇親会でのテーブル分けもワークショップと同じにしました。誰一人、他のテーブルに移動することもなくチームのメンバー同士で盛り上がったまま終われて良かったです。

「社員がやりたいこと」をかたちにする文化をつくる

――実際にやってみてどうでしたか?

中村:やってみてよかったなと思います。

「意外な一面を発見できた」や「初対面同士でも気兼ねなく話せるようになった」という感想が出たら、成功だと運営メンバーで話していて。終了後に実施した社内のアンケートでは、どちらも90%前後で「そう思う」という結果が出ました。

数字だけじゃなくて、社内でも「よかったよ」と声をかけてもらうことがあって嬉しかったです。

――狙いは達成できたということですね。

中村:はい。オフィスが青山、幕張、福岡の3箇所にあるので、今まではなかなかお互いを知る機会はありませんでした。青山勤務の私が幕張にいくと、知り合いが少なく不安な気持ちになることもありました。でも、イベントを開催して以来、他拠点にいる社員ともコミュニケーションが取りやすくなった気がします。

――今回それだけスムーズにできると、次回はもっと…と期待してしまいそうですね。第3弾のscrumも決まっているのでしょうか?

中村:まだ決まっていません。そもそもこのscrum自体、担当者が決まっているわけではなくて、社員が自発的に起案してかたちにしていくものです。そこがZOZOらしいなと思っています。

なので、次の企画担当者が進めやすい仕組みを前担当者として作りたいなと考えています。

――定期的に開催されているものではないんですね。

千葉:はい、タイミングも全く決まっていないんです。「会社が決めたイベント」よりも「社員がやりたいこと」をかたちにするほうが良いものができると思いませんか。

――イベントを実施してみてどうでしたか?

中村:長年所属する人は、新入社員が増えたことで会社が変わったと感じるかもしれません。そして新入社員ももちろん、前の会社と文化が違うと感じていると思います。

だけどZOZOグループとして“良いものを届けたい”という気持ちは、みんな同じ。みんな違うけど、みんな一緒。多様性を認めあうことがZOZOグループのスローガン『Be unique. Be equal.』に繋がるし、今回のscrumがそのきっかけになればいいですね。

みんな違うけど、みんな一緒。同じ方向を見ていれば、違いがあってもいい

「かっこいいを突き詰めていくと理念にたどり着く」

scrumの最後に挨拶を任された代表取締役社長・久保田竜弥さんはそう語ります。


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