こんにちは。kakeru副編集長の三川です。
「はるかぜちゃん」こと春名風花さんをご存知でしょうか。
彼女は子役タレントとしてバラエティ番組やドラマ、映画で大活躍するなか、9歳の時にTwitterを始めました。
東京都の青少年育成条例問題やいじめ問題について言及し、大人顔負けの鋭い発言が大きく注目されるようになり、一時期は17万フォロワーを抱えていたほどです。
2015年2月、大手芸能事務所に移籍。同年7月、ブログに移行することを発表し、Twitterでの活動は休止状態に。
それから半年を過ぎた2016年の2月、Twitterを再開しました。
※『はるかぜちゃん』2期閲覧の際のご注意※ はるかぜちゃんに話しかけたり、はるかぜちゃんについてつぶやくと、屁理屈かまってちゃんに絡まれます。屁理屈かまってちゃんは2人います。構うとエスカレートする構ってちゃんなので、見かけたらそっとブロック&ミュートしてください☆
— はるかぜちゃん2期(何かしら食べてる) ()
そして2/29に「芸能人卒業宣言」という記事をnoteに公開し、大手芸能事務所を卒業することを明かしました。
春名さんはもうすぐ高校1年生。デジタルネイティブ世代の彼女は、Twitterを通して何を感じ、何を学び、どう生きようとしているのでしょうか。
前編は「Twitterを通して成長してきた春名さん」について、後編は「デジタルネイティブ世代の春名さん」についてお聞きしています。
ブログは、思い通りのコミュニケーションができなかった
三川:2/29付けでnoteに公開した「芸能人卒業宣言」を拝見しました。読んでいて気になる表現がありまして。
けれど大勢の方が「この子は管理するよりも、自由でいた方が生きるのでは?」と、何度も会社中で話し合って下さって(笑)”はるかぜちゃん”はまた、帰って来ることとなりました☆
(芸能人卒業宣言)
三川:「自由に生きたほうがいい」って、どういうことでしょうか?
春名さん:2015年の2月に大きな芸能事務所へ移籍しました。その時に事務所のみなさんと話し合い、Twitterをやめてブログに移行することを決めました。私も事務所に馴染もうとしたし、事務所も私を今までのイメージに近い形で売り出そうとしてくださいました。でも、ファンの方々の反応が変わってしまって。
三川:どう変わったんですか?
春名さん:ブログに移行することをTwitterでお知らせしたので、たくさんの方がブログに来てくれるのかなって思っていました。でも、更新してもあまりコメントをもらえなくて。しばらくブログを続けて分かったことは、人によって利用しているコミュニティが違うし、SNSによって好まれる情報も違うんだなって。
インスタはやってないけどTwitterはやっている人がいるように、それぞれ好きなSNSがあって。Twitterをやっている人が必ずしもブログを見てくれるとは限らないんだと感じました。
三川:ブログではどのような情報が好まれましたか?
春名さん:本当に本当のファンの方が多く、私自身が好きな人が多い印象でした。だから本の感想を書くよりも、私が考えることを書くと喜んでもらえた気がします。
三川:Twitterでやっていたような、ユーザーとのコミュニケーションが少なくなったのでしょうか?
春名さん:テンポが悪くなりました。私が一方的にブログを書いて、それを見たファンの方がコメントを書いて。Twitterのような、スピード感あるコミュニケーションがとれませんでした。
三川:時間差のあるコミュニケーションになってしまったんですね。
春名さん:ファンの方にコメントを頂いてから十数時間後にようやく返信することもありました。正直、ブログだと自分の日常を一方的に伝えているようで、私には合わなかったです。Twitterのように、人の話に便乗して話を膨らませるということができなかったのが辛かったです。
三川:ブログだと春名さんらしさが出せなかったんですね。自由じゃなくなったような。それで2016年2月に、Twitterに戻ってきた?
春名さん:戻ってきました!(笑)
三川:ひさしぶりのTwitterはどうでしたか?
春名さん:すっごく懐かしく感じました!そうそう、Twitterを再開する時にTwitterの公式アプリをインストールしたら、機能とかデザインとかめっちゃ進化してて、よく分からなくて(笑)
三川:アンケート機能やGIFアニメ投稿機能がついたり。
春名さん:初めて見る機能がたくさんあって、びっくりです!それと、芸能人を卒業したのでツイキャスもできるようになりました!友だちのツイキャスにたまに参加して、楽しんでいます!
三川:春名さんの性格的に、Twitterがいちばん…
春名さん:合ってましたね!(笑) 気軽に呟けるし、一方的な発言にならずにいろんな人と会話できますし。うん、やっぱりTwitterが1番です。
原動力はファンの支えと、負けたくない気持ち
三川:Twitterで嫌なことも経験してきたじゃないですか。
春名さん:そうですね、たくさん経験しました。
三川:心を傷つけられても、炎上してしまっても、春名さんは自分の考えを発信し続けたいという気持ちは変わらなかったのかなと思います。その原動力って一体なんでしょう?
春名さん:私の原動力は2つあるような気がします。まず1つは、ファンの方々です。嫌なことはたくさんあるけどTwitterをやっていて楽しいし、私のツイートを楽しみにしてくださっている方もたくさんいます。ファンのみなさんともっと話したいなって、繋がっていたいなって気持ちが最終的に勝ちます。
もう1つは、誹謗中傷に負けたくないという気持ちです(笑) 学校のイジメって、いじめられた側が教室を退室して、いじめた側は教室に残るんですけど、それっておかしいと思うんですよ。それと同じで、誹謗中傷や執拗な批判をもらう私がTwitterからいなくなるのは、なんか違うなって。逃げたくないって気持ちが溢れてきます。
リアルとTwitter、どちらも私。
三川:一時期、Twitterのフォロワーが17万人いましたよね。発言の影響力が増すにつれて、発信することに対する意識も変わっていきましたか?
春名さん:Twitterをはじめたきっかけは、出演したドラマの宣伝をするためでした。それが9歳の時。だから当時はドラマの宣伝ツイートがメインで、私の日常的なことをたまに呟いていました。ほんとに、なんでもないことを。
フォロワー数が増えていくにつれて、「あ、私のツイートを楽しみにしてくれる人がこんなにいるから、みんなにウケることを書かなきゃ」と思うようになり、ネガティブなツイートをあまりしないように意識した時期もありました。でも、そう抑え込むと変な感じになっちゃって。私の素直な気持ちや真面目な意見を聞くことが好きな方もいたので、思ったことについては多少かためでも言うようにはしています。
三川:春名さんが過去の日記で書かれていた「自分は相手のことを知らないけど、相手は自分のことをよく知っている」という言葉が頭に残っています。
(参考:観客のマナー)
春名さん:中学生になったばかりの頃、クラスのみんなが私の周りに集まってきました。私が芸能人だって知ってる子もいましたが、それよりも「Twitterではるかぜちゃんをフォローしてるよ!」と寄ってきた子が多くて。もちろん嬉しかったんですが、その時、「リアルの私に失望しちゃうんじゃないか」って怖くなりました。
三川:Twitterのはるかぜちゃんを知ってる子に、リアルの私を知られたくない?
春名さん:Twitterでは私、強気でべらべら喋っていまけどリアルでは…。奥手でまったく話せず、相槌打つくらいがやっとな時があります。はるかぜちゃんだと思って話しかけたら、雰囲気が違う。そういうギャップを同級生に知られて、どう思われるのかが怖かったです。
三川:その怖さをどうやって乗り越えたんですか?
春名さん:リアルな「人見知りの私」を否定するつもりもないし、Twitterの「強気の私」も、私。だからTwitterのはるかぜちゃんを知っている人と実際に会った時は、リアルの私”も”知ってもらおうという気持ちに変化しました。Twitterの私はいろんな人に知ってもらっているけど、それは私のほんの一部。リアルとTwitterでは、ふるまいが違うかもしれないけどどちらも私だよ、と伝えたいです。
三川:Twitterのはるかぜちゃんは自分自身の一部で、すべてじゃない、ということですね。
春名さん:見せたくない部分は見せないようにしてます。それは決して、自分を作るということではないです。
1年前に大きな事務所に入った時、びしっとしなきゃと気を引き締めました。そしたら、ぶりっ子というか、キレイ目なことしか言えなくってしまって(笑) そんな私の心を見透かしたかのように、ファンの方から「つまらないね」という反応をもらいました。アンチは減ったんですけど(笑)、ファンの方もだんだんと離れていったような気がしました。
三川:それは、春名さんが演じていたことが原因ですか?
春名さん:そうだと思います。自分のすべてを見せないのはいいけど、だけど演じちゃだめ。
三川:「演じる」と「見せない」かぁ。春名さんが見てほしい自分と、フォロワーに伝わっている自分にギャップを感じることもあったかと思います。そのようなことで生じるストレスとはどのように向き合っていますか?
春名さん:スルースキルを高めました。リプライで批判的なことを言われ続けて、すべての人に分かってもらう・認めてもらうことは不可能なんだな、と気付いたんです。それからは、批判的な意見で悩むことが少なくなりました。賛同してくださった意見や嬉しい言葉に自然と目を向けるようになり、気持ちがラクになりました。
まとめ
3月初め、春名さんにリプライで取材を申し込み、その日のうちに取材日が決まりました。いざ取材が始まると驚くことばかり。私の質問に対してひとつひとつ言葉を丁寧に選びながら受け答えをし、力強い目で主張するその姿勢に圧倒されました。私のなかの「はるかぜちゃん」は”大人顔負けの子ども”だったのですが、目の前にいる春名さんはすっかり、“大人の女性”になっていました。
春名さんはTwitterで老若男女を問わず、日々会話を毎日続けてきました。そのなかで、発信することの責任や人との繋がりについて学んだり、失敗や誹謗中傷で傷ついたりと様々なことを経験されています。そんな実体験を通じた彼女の主張に説得力があるのは、納得です。デジタルネイティブ世代にとってSNSは、世の中を生き抜くスキルを学ぶことのできる存在なのかもしれません。
前編はここまで。
後編は「デジタルネイティブ世代のSNS事情」を中心に、これからの春名さんについてお聞きします。