SNSマーケティングを欧州サッカーから読み解く(前編)

2015 10.19

こんにちは。小川 ナオキです。

10月に入り寒くなり、あっという間に秋一色となっていきました。欧州サッカーでいうと、ビッグサマー(夏の移籍市場)が8月31日をもって締め切られ、シーズンも中盤、欧州サッカーが楽しくなる季節になってきました。欧州の移籍期間は夏と冬の年2回に分かれており、主要リーグが全て休暇に入るビッグサマーは大物プレーヤーの移籍が頻繁に行われることで有名です。

今年は例年以上にビッグネームの移籍が目立ちました。また8月31日23時59分59秒のギリギリまで行われるクラブ同士の攻防は、欧州サッカーファンの楽しみのひとつだったりしますよね。

先日、スカイ・スポーツ(Sky Sports)およびBTスポーツ(BT Sports)が、2016年から2019年のプレミアリーグの放映権を51億ポンド(約9300億円)で獲得したことを発表し、その規模は規格外のものとなっています。当然世界での視聴者数も規格外であり、プレミアリーグは世界中で約10億人以上に視聴されていると言われています。

その人気を支えるのは各チームのビッグプレーヤーの華麗なプレーの数々であることは間違いありませんが、それだけではこれだけのファンを虜にすることはできません。クラブ運営の堅実さや圧巻のスタジアム、サッカーファンを巻き込み楽しませるマーケティングは単なるサッカーチームという存在を超え、いちグローバル企業として目を見はるところばかりなのです。

2015年ビッグサマーにおいても試合がない期間、SNSとハッシュタグを駆使することでファンを巻き込み世界に情報を素早く届ける施策を行っていました。

今回はそんな欧州人気サッカーチームの「ハッシュタグマーケティング」事情をビッグサマーでのニュースに合わせてご紹介します。

1、退団編

レアル・マドリード⇒FCポルト:カシージャス

移籍市場においてサッカー界での最もセンセーショナルなニュースといえば「カシージャス、レアル・マドリーを退団」ではないでしょうか。

下部組織に入団したのは9歳。

それから約25年間世界最高のチームのゴールマウスを守り続けチーム象徴であった彼の退団は多くのサッカーファンに衝撃を与えました。そしてその衝撃的なニュースを最も早く伝えたのはクラブの公式Facebookページでした。


「#ThankYouIker」(※本名はÍker Casillas)のハッシュタグと彼が獲得したタイトルカップの画像のみで発表し、多くのファンから別れを惜しむ声がSNSより集まっていました。

SNSとハッシュタグを駆使し、一方的な情報発信だけではなくファンを主役に共に盛り上げるこの取組みは国内のスポーツチームだけではなく、企業のデジタルマーケティングの参考事例にもなるのではないでしょうか。

2、入団編

チェルシー⇒アーセナル:チェフ
世界最高のゴールキーパー、ペトル・チェフのアーセナル移籍も大きなニュースとなりました。

チェフの移籍はアーセナルの公式Facebookページより発表されました。多くは語らず、「#WelcomeCech」と題しFacebookのカバー画像を変更することで、一目見たら分かるような簡潔な形式で発表しました。

アーセナルのFacebookページには3300万人以上のファンがおり、世界中の人たちがいいね!をしています。世界中のファンたちにチェフの加入をいち早く伝えるためにはノンバーバルなコミュニケーションが最適となります。

このようにハッシュタグに合わせて、カバー画像にアーセナルのユニフォームに袖を通したチェフの画像があれば、自ずとアーセナルが何を伝えたいのか簡潔にわかりますよね。このような効果もあり、シェア数は12,372とチェフの移籍情報は瞬く間に世界中へ拡散されました。

3、監督編

ドルトムント監督⇒リバプール監督:ユルゲン・クロップ
10月9日、リバプールの指揮官に就任したクロップ監督。独ドルトムント監督時代での手腕は世界中のサッカーファンを驚かせ、また多くの若手の逸材を見出してきました(香川真司もそのひとり)。

そんな彼が、約4ヶ月の休養から復帰しリバプールの監督に就任した際、リバプールは公式Twitterを多用し、世界中のレッズ(リバプールファンの通称)たちに向けて発信しました。


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