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さて、今回は昨年中国に訪れた際に「中国にいる人とのやりとりには必須だよ!」と言われ、アプリをダウンロードしたWeChat(微信)に迫りたいと思います。中国国内ではFacebookやTwitter、LINEなどを使うことができないので、連絡をとる際には必須のツールです。
WeChatは、中国の企業 テンセント(騰訊)社が提供するメッセージアプリ。日本ではLINE株式会社がメッセージに加え写真撮影、ゲームや音楽などのアプリを提供していますが、WeChatの機能はそれ以上に多岐にわたります。
2011年にリリースされてから中国国内でユーザーを増やし、現在はMAUが6億人。世界で200カ国以上の人に使われています。
と、データを調べてみたり、メッセージのやりとりをしたりしてみたものの、メッセージができること以外にどんな特徴があるのかいまいち掴みきれない雰囲気。そこで、中国などでビジネスをしている友人が普段からWeChatを使っていると聞いたので、どのように使っているのかを聞いてみました。
お2人の持っている携帯カバー「Palmo」を、中国で製造し、日本をはじめ世界で販売されています。2015年のグッドデザイン賞も受賞したそう。おめでとうございます!
メッセージだけじゃない!どんどん追加されるWeChatの機能
福田:WeChatは、私からするとLINEやFacebookのメッセンジャーのような、メッセージができるツールにすぎないイメージなのですが、違いなどはありますか?
松浦さん:WeChatはまず、中国発のアプリという点が特徴だと思います。日本ではLINEもFacebookも使えますが、中国では一般的には使えません。でもWeChatは約6億人ものユーザーがいて、LINEのグローバルのユーザー数約2億人を超えています。
開発に関しても、中国のトップエンジニアが日本の10倍の人数で取り組んでいるので、機能もどんどん発展しています。グループ音声通話、グループ動画通話も最近追加されて、ますます便利になってきました。仕事で使うファイルの取り扱いも楽です。
WeChatにもFacebookやLINEのタイムラインと同じような機能「モーメンツ」があります。みんな活発に投稿していますよ。Facebookとちょっと違うのは、例えば福田さんが私の投稿に「いいね!」やコメントをしても、他の人にはその行動が見えないところです。Facebookだと誰がいいねしているかとか、コメントのやりとりも全部見えますよね。その辺のプライバシー対策はされていると感じます。
福田:私も他の人のコメントが見えないことに最初驚きました! Facebookではむしろそれで他の人との議論が広がったり、情報が拡散することもあるくらいですからね。
注目の機能は、決済ツール「WeChat Payment」
福田:どんどん便利になっているWeChatですが、どのような機能をよく使っていますか?
松浦さん:機能は本当にいろいろあって、画面を見せるとこんな感じです。中国では、公共料金の支払いをはじめ、病院の問診受付、出国手続きの予約、運転免許の交通違反記録の検索、ETCサービス、車両の検査サービス、交通カードの残高確認などもできます。
地図を使っての待ち合わせもよく使いますが、あとは配車アプリ「Didi(滴滴出行)」ですね。配車アプリを使わないと、北京や上海ではタクシーが拾えません。タクシーは日本では電車に乗るくらい気軽に日常的に使うのですが、使う人が多く、なかなか乗れないんですよ。社会問題になっています。
飯田さん:最近注目している機能は、WeChat Paymentという決済ツールです。WeChatで決済ができるようになっていて、中国ではこの決済がかなり定着してきています。2月に中国のお正月があって、日本でいうお年玉「紅包(ホンバオ)」を渡す習慣があります。親戚などの子どもだけではなく、日頃お世話になっている人や友達などにもあげるんです。このタイミングで、お金のやりとりをWeChatで気軽にできるということで、登録が一気に増えました。
飲み会の費用のやりとりや貸し借りの送金も楽なので、WeChatを使う人が多いです。今後は、すでに始まっている電気・ガス・水道などの公共料金の支払いから、保険や金融商品、あらゆる個人購買活動が一層充実していくと思います。
「出会い系」としての使い方も……!?
福田:他におもしろい機能はありますか?
松浦さん:実は出会い系機能があるんですよ!
「発見」から、「近くにいる人」を探すことができます。「女性のみ」に絞って「●m以内」の横にカラーのマークがついている人がモーメンツを投稿しているので、モーメンツの写真を公開している人の中から声をかける人を選びます。
そういう人の方がコンタクトをして返ってくる確率が高いんです。最初はかなり使ってアプリを研究していました!(笑)
目的?もちろんコミュニケーション促進です。中国の友達を作りたいときや、中国語を勉強するのにも使えますね。 問題ももちろん起きていますが、日本ほどセンシティブではないように感じます。
ビジネス利用でインバウンド需要にそなえる
福田:WeChatはビジネスには使えますか? FacebookやLINEだと、企業アカウントがすぐに出てきたり、広告もありますが、WeChatではアプリ内で企業アカウントをあまり見かけません。中国語で検索して初めて表示されますが、わざわざ検索する人はいるのでしょうか?
松浦さん:中国ではほとんど全ての企業がWeChatのアカウントを持っていると思います。
日本で使うなら、インバウンドマーケティング(訪日外国人向け)でしょうね。WeChatでアカウントを取得して運用し、WeChatのアカウントをフォローしたら割引するなどのサービスが考えられます。QRコードでアカウントを追加できるので、店頭でO2Oにも使えます。検索よりはQRコードなどで追加している人が多いのではないかと思います。
アカウントは、単なる宣伝やコミュニケーションのためだけではありません。中国ではWeChat Paymentでモバイルでの支払いが普通に行われているので、中国人には日本でも同じサービスを求められています。私の取引先にスマホケース屋さんがあり、そこの原宿店もWeChat Paymentに対応しています。決済機能の導入により、中国人にとっては母国と同様の方法で支払いができ、お店にも来やすくなります。
飯田さん:インバウンドだと、WeChat Paymentが9月30日から大丸松坂屋の8店舗で使えるようになっています。中国国内で当たり前のことが日本にも上陸してきていると感じます。これからもっとモバイル決済が広がると思います。
松浦さん:銀聯(中国のクレジットカード)も最初は珍しかったですが、今はどこでも使えるようになりましたよね。世界的にも、銀聯の決済額はVisaを抜いています。日本だけでなく、どの国でも中国人が増えているので、WeChat Paymentが使える場所も世界で今後もっと加速すると思います。
QQの機能も実装していく? 拡大するWeChatの機能
福田:中国ではQQというサービスも仕事で使うと以前に聞いたのですが、QQはどんなサービスなのですか? QQとWechatの使い方の違いはありますか?
松浦さん:仕事ではQQを使うことが多いですね。QQは、Wechat同様テンセントという会社が運営をしていて、チャットや電話ができるツールです。それぞれ番号があるのですが、名刺にはQQの番号が書いてあって、電話番号以上に使われるほどです。WeChatとの違いは、QQはPCをベースにしたサービスであるのに対して、WeChatはモバイルを優先にサービスを提供していることですかね。
中国でのコミュニケーションにはQQを使っています。会社では製品を作っているので工場とのやりとりがあるのですが、画像データや3Dデータのやり取りにはやはりパソコンを使う方が便利なので、社内ツールとしてQQを使っています。Googleのクラウドのような機能があるんですよ。音楽や動画、スマートテレビやショッピング機能もあって、このあたりはWeChatにはない機能ですが、今後WeChatも実装していくでしょうね。
さいごに
メッセージツールとして使っていたWeChatですが、他にもさまざまな機能があることがわかりました。個人的に興味を持ったのが映画のチケットが買える機能。さまざまなアプリで分散して使っていたサービスも、一つに収束していくのではないかと感じました。メッセージツールもたまに使うのですが、その機能の多彩さにも驚きます。
日本国内ではLINEが利用者の多くを占めていますが、最近は電車で海外(特に中国)からの観光客を見ない日はないくらい多くの方が日本に訪れています。そして、その「爆買い」とも言われる買い物や食事の場所は「クチコミ」の効果が大きいと言われています。WeChatのグループ機能などでその情報がやりとりされることも多いそう。その基盤として、WeChatのアカウントをもつことは有効なのではないかと思いました。
中国の習慣や最近の流行の話、アリババとテンセント2大企業の買収やアプリ開発の話なども聞けて大変学びの多いインタビューになりました。ありがとうございました!
まとめ
・中国に行くならWeChatアプリのダウンロード必須!
・日本で中国人の友達づくりならWeChatで!
・日本にいても、来日中国人にプロモーションしたいならWeChat!
・WeChat Paymentでの決済の準備もお早めに!