こんにちは、えとみほです。
老体にムチ打ってインタビューを連投していますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
ところで皆様、こちらの本の表紙に見覚えはございますでしょうか?
はい、いま話題の「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」通称「ビリギャル」の表紙ですね。
では、こちらの本はいかがでしょうか?
はい、ビジネス書の金字塔「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」通称「もしドラ」ですね。
ここで問題です。この2つの書籍の共通点はいったいなんでしょうか?
1. タイトルがやたら長い
2. 女子高生が主人公で映画化されている
3. 表紙の装丁家が同じである
…はい、実は全部正解です!
というわけで、本日は「もしドラ」「ビリギャル」などのノンフィクション系ベストセラー本の表紙を多数担当されている売れっ子装丁家の萩原弦一郎さんに「ヒットを飛ばすコツ」「ソーシャルメディアとの付き合い方」などについてお話しを伺ってまいりました。
えとみほと萩原さんの意外な接点とは…?
えとみほ:萩原さん、こんにちは。今日はよろしくお願いします!
萩原さん:よろしくお願いします。何年ぶりですかね?
えとみほ:えーと、たぶん私がペンネームでこっそり書いた本以来ですから…10年ぶりくらいですかね?
萩原さん:もうそんなになりますか。思えば、あの本が自分のデビュー作だったんですよね。ブックデザイナーとしては。
えとみほ:はっ?!私の本がデビュー作だったんですか?
萩原さん:たしかあのとき、他のデザイナーさんに発注してたんですけど、なかなか出版社からOKが出なくて。時間もないんで、自分でササっと作って出してみたらOKが出たんで、そのまま納品しちゃったんですよ。
えとみほ:まじですか!(爆笑)。まさかそんな裏話があったとは…。
萩原さん:まあ、江藤さんには申し訳なかったですけど、正直あれはひどかった(笑)
えとみほ:いやー、あー、やっぱりそうだったんですね。ぶっちゃけ私も最初に見たときに「は?」って言っちゃったんですよ。でも担当編集者に「今回はあえてチープな感じでいこう!っていうことになりまして」って言われて。やけに自信満々な感じだったんで、そういうものかなと思って納得したんですけど…。まあ、よくわからないけど売れたんで結果オーライですが。
萩原さん:売れましたよねぇ、あれ。10万部くらいですか?
えとみほ:緑の表紙の本が13万部くらい。続編入れて20万部以上売れました。
萩原さん:おー、自分で言うのもなんですけど「持ってる」なぁ(笑)
えとみほ:いやー、ほんとですね。私も萩原さんのデビュー作に当たってラッキーでした(笑)
キャリアの出発点は書籍編集者
えとみほ:…あれ?ということは、萩原さんはもともとデザイナーさんだったというわけではないんでしょうか。私の本の頃はもうベテランの風格が…
萩原さん:そうですよ。最初は秀和システムっていうPC書の出版社にいて。そこで編集やってたんです。
えとみほ:え、じゃあデザインの勉強をされたっていうことは…?
萩原さん:学校に行って勉強したという経歴はないです。会社で編集やりながら、DTP(デスクトップパブリッシング)もやってたんで、本の中身のレイアウトは仕事をする中で覚えました。表紙をやったのは、江藤さんの本が最初でしたけど。
えとみほ:じゃあブックデザインは完全に独学で?
萩原さん:そうですね、師匠もとくにいないですし…。ただ、本屋さんとかでいろんな本を見て、研究はしています。アイデアもらったり。
えとみほ:そうなんですね。デザイン系の仕事って美大行ったり専門学校出たりしないと難しいのかなーって思ってたんで、完全に独学でもやれるっていうのを知ってびっくりしました。
萩原さん:うーん、そうですね。なんとかなるもんですね(苦笑)。
売れる本は編集者の世界観が確立している
えとみほ:ところで、「もしドラ」とか「ビリギャル」とかって、表紙がすごく印象的ですよね。萌え系っぽいイラスト使ってたり、素人っぽいモデルさん使ってたり。これって、誰のアイデアなんでしょうか?
萩原さん:こっちからアイデア出すこともあるんですけど、この2冊に関しては編集者のアイデアですね。「もしドラ」は加藤さん(※現・株式会社ピースオブケイク代表の加藤貞顕氏)が「こういう感じにしたい」というイメージを持っておられて。
えとみほ:ビリギャルもそうなんですか?
萩原さん:そうですね、モデルさん使ってやりたいっていうのは担当編集者の意向です。優秀な編集者っていうのは、だいたい「こういう本にしたい」っていう世界観があるので、デザイナーとしてはやりやすいんですよ。その世界観を壊さないように形にするだけでいいので。
えとみほ:いやいやいやいや。簡単におっしゃってますけど、そこが一番難しいと思うんですよ。念入りに打ち合わせしても、ぜんぜん思ったものと違ったものが出てくるっていうのはザラにあるんで。
萩原さん:うーん、そうですね。編集者のリクエストがふわっとしている場合は、そのふわっとしたものをつついて引き出してあげないといけないとは思いますけどね。
えとみほ:それ、うまいデザイナーさんと、そうでない人がいますよね。
萩原さん:最低でも、何が欲しいのか。カレーなのかラーメンなのか、そこははっきりさせないといけないと思います。たとえばラーメンが食べたい相手に、めちゃくちゃうまいカレーを作っても「なんか違うんだよね」ってことになる。
えとみほ:そうそう!たまに経験の浅いデザイナーさんとかディレクターさんとかで、クライアントの要望を全部聞こうとする人に当たったりするんですけど、一見ありがたいようで一番迷惑なパターンだと思うんです。そもそもこっちは、デザインのセンスも知識もなにもないからプロにお願いしているわけで(笑)。
萩原さん:そうですね、希望を出してもらうにしても、最低限「囲い」は用意してあげないといけないとは思いますね。
えとみほ:囲い…とは?
萩原さん:こっからここは出ちゃダメっていうか、出なくていいですよっていう。(変えるのであれば)「フォントだけ」とか「色だけ」とか。
えとみほ:なるほどー。それなら頼むほうが素人でも混乱しなくていいですね。参考になります!
ヒットを飛ばす秘訣は「時間をかけすぎない」こと
えとみほ:ちなみに、いま相当お忙しいと思うんですけど、月にどのくらいの装丁を手がけていらっしゃるんでしょうか?
萩原さん:一ヶ月だと…20〜30冊くらい。
えとみほ:え?というと1日1冊以上ですか?すごい!
萩原さん:そうなんですよ、売れてるものにばかりスポットが当たるんですけど、もちろん売れなかった本もたくさんあるんです。死屍累々(笑)。だから、ヒットのコツを教えて欲しいって言われると、そりゃもう数をこなすということに尽きるんじゃないかと。
えとみほ:え、そんな答えなんですか?!…うーん、でも、真理かもしれないですね。大ホームランなんて、狙って打てるものでもないですし。たとえばブログの投稿にしたって、月に5本しか書かない人と100本書いてる人だったら、打率はともかくホームランの数は100本の人のほうが普通は多くなりますし。
萩原さん:ですね。ここまでやってきて、時間をかければいいものができるというわけでもないということはわかってきたので、もうちょっと粘りたいなぁと思ってもさっと切り上げるようにはしています。コツがあるとすれば、そういうところでしょうか。
萩原流、ソーシャルメディアの使い方
えとみほ:ところで、私がこのインタビューを載せる「kakeru」って、ソーシャルメディアとなにかの掛け合わせで化学反応を起こすっていうコンセプトのメディアなんですよ。
萩原さん:ええ。
えとみほ:というわけで、ちょっとソーシャルメディアについても語ってもらおうかと思うんですが(笑)
萩原さん:ソーシャルですかー。ツイッターはたまにつかってますね。
えとみほ:フェイスブックは?
萩原さん:フェイスブックは…怖くて見れないです。しばらく見てないと、メッセージとか友達申請とか溜まってるんだろうな…と思って。申し訳なくて見れない(笑)
えとみほ:そっちですか(笑)。ちなみにInstagramとかPinterestとかはどうですか?
萩原さん:Instagramはちょっとやってますね。会社のなんですけど、ひたすらブックデザインをアップしていくっていくっていうシュールなアカウントがありまして。
えとみほ:へぇ〜、こういう使い方もあるんですね。
萩原さん:ちなみにInstagramといえば、最近この本の表紙デザインを担当しました。
えとみほ:あ、これは!!!うちの山田智恵さんの「Instagramマーケティング入門」ではないですか!
萩原さん:はい、こちらとあとこちらも…。
えとみほ:これは、kakeruでPHOTO LABO連載中の小川由衣ちゃんの「ソーシャルメディアでいいね!をもらうスマホ写真撮影術」ですね!!
萩原さん:…こんな感じでよろしいでしょうか?
えとみほ:はい、バッチリです。ありがとうございました。
ビジュアルマーケ三姉妹本、売れてます!
最後はちょっと宣伝みたいになってしまいましたけど(みたい…っていうか思いっきり宣伝ですがw)、萩原さんの最新作はなんと、うちのビジュアルマーケ三姉妹の電子書籍なんです!おかげさまで、既刊の二冊は順調に売れております!!
そして、この二冊にピンタレスト本を入れた「ビジュアルマーケ三姉妹」による出版記念イベントはいよいよ来週、7/7開催です。残席わずかとなっておりますので(実はもう満席なのですが少し増やしました)、ご興味のある方はぜひ書籍をお買い求めのうえお越しくださいませ(1冊でも書籍をダウンロード購入された方は入場無料です)。
以上、ネイティブアドの申し子、えとみほがお伝えいたしました。