本当にソーシャルメディアの活用は売上に繋がるの?調査してみた

2019 5.22

こんにちは。kakeru編集部の大野です。

最近、色々な企業の方と仕事をしていて、売上に繋げることを前提にソーシャルメディアを使っていこうと考える担当者が多くなったなと感じています。

複数のWEBメディアで「Twitterでバズって売上爆増!」といった事例が紹介されたり、Instagram内で決済ができるようなアップデートが発表されたり、ソーシャルメディアを有効活用してモノを売るという感覚が当たり前になっているからだと思います。

一方で、「ソーシャルメディアをどのように使ったら売上に繋がりやすいのか」という法則はまだまだブラックボックスです。そこで今回は、実データを用いて確認しようと思います。

マクロミルの購買パネルデータを使って検証

データに関してはマクロミルに協力してもらい、「各種ソーシャルメディア(Twitter・Instagram)の閲覧頻度」「キャンペーン参加状況」と「購買内容」を掛け合わせたデータを用いて、ソーシャルメディアの利用者がどういう商品を買っているのか、購買傾向を明らかにしました。

今回はサンプル内の特定のユーザー群とサンプル全体の購買金額を比較し、購買傾向の特徴を判断しています。

▼検証条件

<集計条件>
パネル:マクロミルMHS(家計調査サービス)
購買期間:2017年10月01日~2018年9月30日
エリア:全国
有効モニタ数:19,383(購買期間有効のMHSモニタ)
年齢:15歳~59歳(※一部60代含む)
集計値:1人あたり購入金額の全体との比較倍率(各分析軸1人あたり金額÷全体の1人あたり金額)

購買期間:2017年10月01日~2018年9月30日
エリア:全国
有効モニタ数:19,383(購買期間有効のMHSモニタ)
年齢:15歳~59歳(※一部60代含む)
集計値:1人あたり購入金額の全体との比較倍率(各分析軸1人あたり金額÷全体の1人あたり金額)

<有効モニタ数詳細>
2016年 (平成28年) 人口推計をもとにウェイトバック処理を実施

<ソーシャルメディア利用頻度の条件>
・利用頻度に関してはパネラーに対してアンケートを実施
・特徴を分かりやすく捉えるため、ソーシャルメディアに頻度高く接している人を切り口にして分析
・Twitterをよく見ている人=1日5回以上Twitterを閲覧(アンケート調査にて聴取)
・Instagramをよく見ている人=1日1回以上Instagramを閲覧(アンケート調査にて聴取)

<キャンペーン参加有無の条件>
キャンペーン参加有無に関してはTwitterに限定し、2018/8/1-2018/10/31のツイート実績から各種キャンペーンに参加したと推測できるユーザーを対象としています。

検証結果サマリ

  • Twitterをよく見ている人は男女ともに20代以下が多い。「教養・娯楽・趣味」といったエンタメ系商品の購買傾向が強く、特に「映画・演劇・音楽ライブ鑑賞」に全体の2倍の金額を使っている
  • Instagramをよく見ている人は20代以下の女性が多い。「衣服・ファッション」カテゴリの商品購買傾向が強く、特に「女性服」や「女性シューズ」に全体の1.4倍の金額を使っている
  • Twitter上で飲料系企業のフォロー&RTキャンペーンに参加したユーザーは、飲料系商品に全体の1.3倍の金額を使っているため、フォロー&RTキャンペーンの参加者は優良顧客といえる

以下、検証結果の詳細です。

Twitterをよく見ている人はエンタメ系の消費が多い

<デモグラ>
男女ともに20代以下がメイン

<購買傾向>
Twitterをよく見ている人は、「教養・娯楽・趣味」カテゴリにおいて全体の購買金額よりも115%と高く、最も購買特徴があると言える

▼Twitterをよく見ている人の購買カテゴリ

「教養・娯楽・趣味」カテゴリの中でも、全体の購買金額と比較して「映画・演劇・音楽ライブ鑑賞」が222%、「映像・動画サービス」が188%、「CD・楽器・音楽サービス」が181%、「ゲーム」が165%の順で高くなっている。

※Twitterを見る割合が月に1回未満の人だと「教養・娯楽・趣味」カテゴリの中でも、全体の購買金額と比較して「映画・演劇・音楽ライブ鑑賞」が91%、「映像・動画サービス」が47%、「CD・楽器・音楽サービス」が67%、「ゲーム」が68%と続く。

▼Twitterをよく見ている人の「教養・娯楽・趣味」内の購買詳細

Twitterをよく見ている人はエンタメ系商品の消費傾向が高いことが見て取れます。Twitterといえば動画やアニメなどのコンテンツを消費している人たちが多いイメージですが、実際そうなんですね。Twitterを使っていれば使っているほどその傾向が高まるようです。

Instagramをよく見ている人はファッション系の消費が多い

<デモグラ>
20代以下の女性がメイン

<購買傾向>
Instagramをよく見ている人は、「衣服・ファッション」カテゴリにおいて全体の購買金額よりも124%と高く、最も特徴があると言える

▼Instagramをよく見ている人の購買カテゴリ

「衣服・ファッション」カテゴリの中でも、全体の購買金額と比較して「女性服」が143%、「女性シューズ」が142%、「その他衣服・ファッション」が142%、「女性下着」が129%の順で高くなっている。

※Instagramを見る割合が月に1回未満の人だと「衣服・ファッション」カテゴリの中でも、全体の購買金額と比較して「女性服」が85%、「女性シューズ」が90%、「その他衣服・ファッション」が87%、「女性下着」が93%と続く。

▼Instagramをよく見ている人の「衣服・ファッション」内の購買詳細

Instagramをよく見ている人のメインは20代以下の女性であることも一因でしょうが、やはり女性ファッションに対する消費傾向が見てとれます。アパレル企業がこぞってInstagramアカウントを立てるのも納得です。Instagramといえば女性ファッションというイメージも強いですが、とはいえ、最近では男性ユーザーの利用者数も増加傾向にあり、今後は男性の消費傾向にも注目をすべきでしょう。

Twitterのフォロー&RTキャンペーンも売上に繋がる

企業が「Twitterを利用しよう」となると、真っ先に思いつくのがキャンペーン。フォロー&RTキャンペーンは多くの企業が実施していますが、それって消費行動に繋がっているの?もしくは、ちゃんと購買の可能性がある人に情報が届いているの?という疑問が出てきます。
そこで、特定の商品カテゴリのキャンペーンに参加したユーザーが関連商品の購買に至っているのかを見てみました。

今回は特徴を捉えるため、Twitter上でも実施頻度が高い「飲料系メーカー」のキャンペーンに参加したユーザーについて分析しています。

結論、飲料系のキャンペーンに参加したユーザーは全体に比べて酒は130%、通常の飲料は127%高く購買していることが分かりました。Twitter・Instagramをよく見ている人や、他のカテゴリのキャンペーンに参加したユーザーよりも数値が高いことからも、Twitter上の飲料系キャンペーンに参加しているユーザーの飲料購買傾向がいかに高いかが分かりますね。

こうなると、キャンペーン参加ユーザーは購買までしてくれる優良顧客である可能性が非常に高いといえます。RTしたユーザーのリストをためておいて広告配信しても良いかもしれませんね。

▼飲料系企業のTwitterキャンペーンに参加した人の飲料購買傾向

Twitter上で特定のアカウントをフォローしている人の購買傾向も確認できる

おまけに、特定のアカウントをフォローしているユーザーの特徴も見てみました。今回はYouTuberやイラストレーターなど、クリエイターのアカウントをフォローしているユーザーを対象にしています。

カテゴリ別で見てみると、「教養・娯楽・趣味」において全体の購買金額よりも112%と最も高くなっています。これはフォローしているアカウントの特徴と一致しますね。

▼クリエイターアカウントをフォローしている人の購買カテゴリ

「教養・娯楽・趣味」カテゴリをさらに細分化して見ると、全体の購買金額と比較して「映画・演劇・音楽ライブ鑑賞」が212%となっており、クリエイターフォロワーはコンテンツ消費に費用をかけることが分かりやすい傾向として出ています。

▼クリエイターアカウントをフォローしている人の「教養・娯楽・趣味」内の購買詳細

Twitter上でクリエイターアカウントをフォローしている人の他メディアでのコンテンツ消費度合いも見てみました。YouTuberをフォローしているだけあって、YouTubeの閲覧頻度が全体に比べて非常に高いですね。1日1回程度以上みている人が51%もいます。そもそも、全体のYouTubeの閲覧頻度も34%が1日に1回程度以上見ていて、YouTubeというプラットフォームの人気が見て取れます。

▼クリエイターアカウントをフォローしている人のYouTube閲覧頻度

【まとめ】ソーシャルメディアは売上に繋げられる場所である

予想通りの部分も多い結果ですが、

  • Twitterの閲覧頻度が高いほど、エンタメへの消費が多い
  • Instagramの閲覧頻度が高いほど、女性ファッションへの消費が多い
  • Twitterのキャンペーンに参加したユーザーはそのカテゴリの消費が多い優良顧客である

ということで、ソーシャルメディアを有効に活用すると売上に貢献できそうです。検証しようと思ったら「特定のTwitterのユーザーが自社の商品をちゃんと買ってくれているのか」が分かるわけですね。まさに、売上に繋がっているかどうかの確認ができるのです。

おまけですが、調査結果から特定アカウントのフォロワーの消費行動や他メディアの利用態度も見られるということも分かりました。

つまり、自社のアカウントフォロワーの購買態度や他メディアの利用頻度を確認することもできるというわけです。自社のフォロワーがどういう商品を購入しているか見えると、日々の情報発信にも生かせそうですね。

以上を見て、Twitterキャンペーンをやってみようという方にはこちら

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最後に、こういったデータの分析は個社別でも実施できるので興味がある方はご連絡ください。


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