コスメは筋トレと一緒?コスメ男子に聞くメンズコスメの実体

2019 11.22

男性がメイクをしていることに対して、あなたはどのようなイメージを抱きますか?かっこいい?少し変わっている?メイクは女性がするものと認識する人が多い中、男性が肌の悩みを解決するためのものとしてメイクをすることが増えてきました。

ヘアケアを含めたメンズコスメ市場は、10年間で約20%伸び、2018年には1,200億円へ到達。今後も市場が拡大すると予想されています。メンズコスメは、今、着実に成長している新たな市場なんです。

実際、CHANELからは男性用メイクアップライン「BOY DE CHANEL」が発表。これは、1924年に初のメイクアップラインを発表して以来初のとのこと。

また、ミレニアル世代向けビューティメディアhis&(ヒズアンド)から生み出されたメンズコスメブランド「NUDO」は発売当日に完売するなど、メンズメイクの需要が高まっていることがわかります。

そのほかにも、THREEや資生堂といった女性向けブランドからメンズラインのスキンケア商品も次々と登場。スキンケアまで含めれば相当な注目度といえそうです。

今回は、このメンズコスメの実体を把握すべく、オプトでコンサルティングセールスを担当する傍ら、個人でメンズスキンケアに関する情報発信や、社内向けに講座などもおこなっている高坂隼之介と、メイクが好きで、男の子にも女の子にもメイクしているryota()さんにインタビュー。

メンズコスメをヘビーユースしている彼らは、何がきっかけでメンズコスメを手に取り、なぜ愛用し続けているのか。SNSをはじめとする情報収集はどのようにおこなっているのか、月にどれくらいお金をかけているのかなどなど……。その実体をkakeru編集部の堀口が伺いました。

ニキビからモテまでを叶えるメンズコスメ

堀口:お二人がスキンケアやメイクを始めたきっかけはなんですか?

高坂:最初は、中学2年生くらいの時にニキビがたくさんできて、それを治したいと思ったことがきっかけです。周りの男友達もニキビに悩んでいて、ドラッグストアなどで買える市販の男性向けスキンケア商品を使っていたのですが、全く治らずで(笑)。

どうしても治したかったので、母親が使っていた女性向けのスキンケア商品を使ってみたところ、綺麗にニキビが治ったんですよね。「化粧品っていいじゃん」と気づき、そこから女性用のスキンケアやコスメ商品を買って試すことにハマっていきました。

男性がメイクをしていることに対して、あなたはどのようなイメージを抱きますか?今回は、メンズコスメの実体を把握すべく、個人発信を続ける二人の「コスメ男子」にインタビューしました!

高坂隼之介

堀口:中学生の時の悩みを解決するためにスキンケアを始めたんですね。メイクを本格的に始めたのはいつからでしょうか?

高坂:大学2年生くらいからです。当時はカッコよくみせるためメイクをしてましたね(笑)。

ryota:僕も、メイクにはまったのはモテるためでしたね(笑)。

堀口:そうなんですね。

ryota:スキンケアは高坂さんと同じで、高校3年生の時にニキビに悩んでいたからです。僕も市販のスキンケア商品を使って治そうと思ったのですが、全然効果がなくて。僕は一旦、そこでスキンケアからは離れたんです。

堀口:そこから、モテを考え、今度はメイクをするように?

ryota:きっかけは、大学生時代にアイドルの握手会に行くようになってからです。どうせ会うなら、できるだけ見た目を綺麗にしたい。そこで、ニキビを消せないかと試しにBBクリームを使ってみたところ、ニキビが消えて肌が綺麗に見せられることに驚いたんです。そのときに「メイクっていいな」と気づき、本格的にメイクをするようになりました。

ryota

堀口:アイドルから好印象を抱いてもらいたいためにメイクを。

ryota:はい。そのあとハマっていったのは、先ほど言った「モテたい」っていう話からです。

今までモテるために、筋トレをしたり高い洋服を買ったり、スケボー、ギターなど色々なことをやってきたのですが、ある時、周りの女の子がみんな韓国の男性アイドルにハマるようになって。

その時「モテるためには韓国人っぽくなるのがいいのかも」と思い、韓国の男性アイドルのInstagramを見てメイクを研究し、ハマっていきました。

堀口:実際、女性からはどのような反応があったんでしょうか?

高坂:スキンケアやメイクをして肌を綺麗にすると清潔感があるように見えるので、良い反応をもらえることも多いですね。

ryota:しかもメイクにハマっていることを伝えると、一緒に話をできたり、悩みを共感しあえることもあります。一緒に買いに行くこともできるので、距離を縮めやすくなることもありますね。

スキンケアからメイクアップまで——コスメ男子の実態

堀口:毎日のメイクアップには、どれくらいの時間をかけていますか?

ryota:スキンケアからメイクアップで1時間以内に収めるようにしていますね。

堀口:結構、しっかり時間をかけるんですね!

ryota:朝起きたら洗顔から始まり、化粧水と日焼け止めを含んでいる美容液を塗ります。そのあとにメイクをしていくので、1時間はかかってしまいますね。メイクだけだと30〜40分くらい。外出するときは、家を出る1時間前にはスキンケアを始めるようにています。

高坂:僕も本気でやると、1時間前後はかかりますね。スキンケアで10〜15分。そのあと美顔器でスチームをあてて肌のハリをよくしてからメイクをします。アイメイクもしっかりやると時間はかかってしまいますね。

ryota:僕も本気でメイクアップするときは美顔器を使います。髪の毛もセットするとなるとさらに時間はかかりますね。

堀口:時間もさることながら、美顔器とかもお持ちなんですね。美容には月どれくらいの費用をかけているんでしょうか?

高坂:平均すると、コスメは月1万円くらいだと思います。つい買い過ぎてしまうので、月に何個まで——という感じで自分で制約はかけていますね。

ryota:僕はコスメ以外に、脱毛やニキビ治療の費用もかかっているので、トータル4万円くらいかもしれません。話題のものは試したくなるので、あとで購入金額を見ると「やばい…」ってなることがありますね(笑)。

コスメ男子の情報収集は女性アカウントから

堀口:なるほど。相当な相当な玄人とお見受けしました(笑)。そんなお二人は、スキンケアやコスメの商品、またメイク方法などの情報はどこから得ているのでしょうか?

高坂:僕は、InstagramやTwitterが主ですね。女性アカウントを中心に見ています。

ryota:僕もInstagramがほとんどです。などの口コミよりも、コスメ系の女性の口コミをよく見ることが多いです。

堀口:雑誌を買ったり、特定のワードで検索することはないんでしょうか。

ryota:雑誌はたまに買いますが、男性用のメイク雑誌はほとんどないので基本はMAQUIA(マキア)や美的といった女性誌です。オンラインは、検索よりもSNSでコスメ系の女性アカウントから情報を得るようにしています。

堀口:なるほど。メンズメイクを知りたくても、女性に向けた情報から得るしかないんですね。

高坂:男性で情報を発信している人はほとんどいないと思います。男性のスキンケアやコスメを紹介しているYouTuberはいるのですが、その人はメンズコスメだけを発信しているわけではなく、おもしろ系のネタもやっていて。コスメ情報を知りたい側としては求めているものではないので、自然と特化しているInstagramやTwitterのアカウントを見るようになりました。

ryota:僕も参考にしているのは、顔面偏差値上たいみーちゃん()、Lee()、くらげゆゆちゃん()など女性ばかりです。

堀口:高坂さんがよく見るアカウントも教えていただけますか?

高坂:僕は、ayanekotan()、jzzzzk()などの女性インスタグラマーをよく見ますね。

堀口:本当に女性ばかりですね。実際に彼女たちの投稿を見て、メイクを真似したり商品を買ったりすることはあるんでしょうか?

ryota:バズっている投稿の内容は、とりあえず試すようにしていますね。ブランドやカテゴリにもこだわりはなく、デパコス(デパートで売っている高級コスメ)からプチプラ(プチプライス)なコスメまで、色々試すようにしています。
高坂さん:僕は逆に、まだみんなが発見できていないコスメを買って試すようにしています。検索数は少ないもののコメントで評価がいいものは、これから話題になる可能性がある。そういうものをSNSで見つけて、自分で試した内容をアカウントで発信しています。

情報発信方法の鍵は「正直さ」

堀口:逆にスキンケアやコスメに関する発信は、どのSNSを使うことが多いですか?

ryota:僕はTwitterとInstagramです。見てくれている人の9割は女性で、男性はメンズメイクで繋がった人ばかりですね。

高坂:僕はInstagramだけですね。やはり女性が多くて、10〜20代の女性がほとんどだと思います。。

堀口:スキンケアやコスメに興味があるのも女性がまだまだ多いんですね。そこではどのような内容を発信しているのですか?

ryota:新しいスキンケアやコスメのアイテムの紹介をしています。まず、買ったら新品のまま写真を撮ってアップしています。使用済みは汚れてしまっていて写真映えしないんですよね。スキンケアを使った肌の経過報告やコスメアイテムの使用感は、ストーリーズにあげて発信しています。

高坂:僕はインスタのフィード投稿がメインですね。使用感を文章でしっかりと伝えるようにしています。それはいいものだけじゃなく、悪いものも載せるようにしていて、生の声を届けることを意識してますね。

堀口:企業案件などもやられてますよね。その場合は、どうしているんですか?マイナスイメージになるような内容は案件だと発信しにくいイメージがあるのですが…。

高坂:事前に「思ったことは正直に書きますが、大丈夫でしょうか?」と伝えるようにしているので、正直な感想を書いてもトラブルになることはありません。自分の発信を見た人が買ってよかったとなるように、正確な情報をしっかりと長文で投稿しています。

メイクは自分を好きにさせてくれるツール

堀口:おふたりの話を聞いていると、男性のスキンケアやメイクも当たり前のように思えてきました。この記事を読んだ人に、メンズメイクの魅力を伝えるとしたら、どのようなメッセージを届けたいですか?

高坂:まずは「男性のメイク=女々しい」というイメージを変えていきたいですね。男性がスキンケアやメイクをすることは、かっこよくなってモテるための手段のひとつ。筋トレで鍛えた身体を見て自信がもてることと同じように、自分磨きをすることで、自分を好きになることができます。自分が変化していく楽しさを知って欲しいなと思います。

ryota:僕も筋トレで自信がついた経験があるので、メイクで変わっていく自分を見る時の嬉しさはよくわかります。そういう気持ちでメイクと向き合える文化が、根付いてくれれると嬉しいなと思いますね。

ただ、スキンケアやコスメについての知識はもっと流通して欲しいですし、しっかり学ぶ必要があると思っています。僕も独学だったので、最初はファンデーションを塗りすぎて顔が真っ白になり、苦労した時期もありました(笑)。なので、僕自身がメンズメイクのノウハウを発信して、自発的にコスメを手に取るような男性を増やしたいなと思います。

高坂:女性は綺麗になるためにメイクをする。男性も女性と同じで清潔感を意識し、綺麗になれれば、自身につながるはずです。そういう欲求や需要をしっかりと表現し発信していきたいですね。

まとめ

男性がスキンケアをしたりメイクをしたりすることは、まだまだ珍しく、市場は伸びているもののコスメ業界全体を見ると女性のものが大部分を占めています。高坂さんもryotaさんも最初デパートでコスメを買う時は女性ばかりで緊張したといいます。

ただ、女性がメイクをして自分を好きになるように、男性もメイクをすることで自信を持てる。今回インタビューしたお二人が、自分が好きな見た目をメイクをすることで追求し、理想に近づく工程を楽しんでいる様子を見て、今後は、メイクは性別の垣根を超えた1つのコンテンツになり得るのではないかと思いました。

Interviewer 堀口恵理
Writer 
Editor 
Photo 加藤甫
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