こんにちは。kakeru副編集長のDスケです。
最近、民泊関連のニュースが多いように感じませんか?
民泊とは簡単に言うと、ホテルや民宿などではなく、一般の民家に泊まることを指します。僕の周りでも、この1年くらいで「海外旅行に民泊を利用したよ」という話もよく聞くようになりました。
普通よりも安く泊まれたり、少し変わった場所に泊まれたりと、民泊だからこそできる体験が魅力となっているようですね。
でも……泊まった側の意見しか聞いたことがないんです。
そこで、部屋を貸している側の人に直接話を聞いてみることにしました。
Airbnb(エアビーアンドビー)ってなに?
本題に入る前に、Airbnb(エアビーアンドビー)ってご存知でしょうか? 民泊の火付け役といっても過言ではないサービスです。知らない方のために、紹介文を引用します。
Airbnb(「エアビーアンドビー」2008年8月創業、本社・カリフォルニア州サンフランシスコ)は、世界中のユニークな宿泊施設をネットや携帯やタブレットで掲載・発見・予約できる信頼性の高いコミュニティー・マーケットプレイスです。
アパートを1泊でも、お城を1週間でも、ヴィラを1ヶ月でも、Airbnbはあらゆる価格帯で世界191ヶ国34,000以上の都市で人と人とをつなぎ、ユニークな旅行体験を叶えます。世界一流のカスタマーサービス、成長中のユーザーコミュニティを抱えるAirbnbは、空き部屋を世界数百万人に披露し、収入に変える最も簡単な手法なのです。
簡単にいうと、ホスト(部屋を貸す人)とゲスト(部屋を借りる人)のマッチングサービスですね。
今回は、Airbnbのホスト3名に取材の協力を得ることができました。自治体や国によって民泊についての条例や規制に違いがあるため、顔出しや貸し出している物件などについては伏せさせていただきます。
あまり語られることのない、収益の話やトラブルなど、包み隠さずお話を伺いました。
Case1:「トラブル防止のために、○○をチェックしてます」
一人目は、現在都内のIT系の会社で働くAくん(25歳)。今年の3月からAirbnbのホストとして活動を開始したらしく、現在運用4ヶ月目。貸している部屋でインタビューをさせてもらえました。
「Airbnbでホストをやる」と決めて部屋探しをしていた
Dスケ:今日は貸し出している部屋で取材させていただきありがとうございます! さっそくなんですけど、Airbnbで貸し出している部屋について教えていただけますか?
Aくん:今は、2LDKのマンションで彼女と同棲しているんですけど、その一部屋(6畳のフローリング)を貸していますね。
Dスケ:ん? えーと、同棲?(震え声)。同棲している家に、全く知らない人が宿泊しにくるってことですか?
Aくん:そうですね(笑)
Dスケ:なにそれ……彼女は嫌がってないんですか?
Aくん:全然嫌がってないですね。そもそもAirbnbで部屋を貸す前提で家探しをしていました。
Dスケ:な、なんでですか?
Aくん:僕も彼女も大学時代にバックパッカーで外国を周ったりしてて。それで、よくゲストハウスとかに泊まっていたんですね。その時に、いろんな人たちと交流することが楽しくなって、将来的には自分でゲストハウスを運営したいと思っていたんです。
Dスケ:出た、バックパッカー!ってことは外国人とのコミュニケーションも問題ないんですね。
Aくん:そうですね、僕も彼女も基本的な英語での日常会話はできるので、困ったことはないですね。これまでのゲストも全員外国人でした。
Dスケ:ゲストが全員外国人……ってことは英語は必須なんですね。
Aくん:うーん、必ずしも全ての民泊で必須とは言えないでしょうけど、僕らのところでは日常会話くらいは必須ですね。
始めて間もないのに、家賃分を稼げている理由は?
全て写っていないが清潔な部屋ということがわかる。Dスケ:ぶっちゃけて聞くんですけど、毎月どのくらい稼いでますか?
Aくん:先月は家賃をペイできていたので……10万円の収入はありました。
Dスケ:一泊いくらで泊めてるんですか?
Aくん:シーズンによって変動はしますが、だいたい一泊4~5,000円ですね。
Dスケ:ってことは… 20〜25泊はしている計算ですよね。1ヶ月のうちほとんどゲストがいる状態ですか?
Aくん:そうですね。この4ヶ月でカップルや夫婦を含めて、15~20組くらいは泊まってますし、ほとんどのゲストが2~3泊以上はするので。
Dスケ:結構来ますね!?
Aくん:人気の観光スポットへのアクセスが良いんですよ。たとえば浅草や築地、新宿や渋谷といった都心にも2~30分あれば着くんです。あとは、そもそも訪日のニーズが増していることも影響していると思いますよ。人を集めるためにやっていることも特にはないですし。
トラブルを防ぐためにゲストの情報は入念にチェックする
本当にフツーのマンションでした。Dスケ:最近はどんな人が泊まったんですか?
Aくん:最近は、アントニオ(仮名)っていうイタリア人が10連泊くらいしてましたね。毎日観光に出かけていましたし、夜もクラブに遊びに出かけたりしてました。
Dスケ:長い! というか、一人旅なのにすごいリア充感……宿泊してる間は、部屋の出入りとかどうでしてたんですか?
Aくん:鍵は宿泊客に渡してますね。
Dスケ:危機感、低ッ! めちゃくちゃ危ない奴だったらどうするんですか!? 同棲してる彼女が一人の時とか危険なんじゃ……。
Aくん:いくら人と交流するのが好きとはいっても、リスクを全く恐れないわけじゃないので、かなり慎重にゲストをチェックしています。
Dスケ:ゲストのチェックというと?
Aくん:Airbnbでは、ゲストにレビューをつけることができるんです。だから、僕らはポジティブなレビューがついている人だけを泊めるようにしています。
Dスケ:クチコミを見て泊めるゲストを決めてるってことですか!
Aくん:そうです。もちろん僕らホスト側もレビューされます。
Dスケ:なるほど。他にはありますか?
Aくん:他には、顔写真が掲載されているか否かですね。それと、登録されている名前をFacebookなどで調べて、実在してるか確認もしています。あと、IDの認証(免許証やパスポートなどの個人情報登録)が完了してるかをチェックしますね。
Dスケ:それでも起こってしまったトラブルとかってありますか?
Aくん:うーん、しいて言えば、先ほど話にでたアントニオ(仮名)の冷蔵庫の使い方がすごく汚かったことくらいですかね。めくちゃくちゃ注意して、お詫びにパスタを作らせました。
Dスケ:パスタ(笑) でもそんなに大したトラブルじゃないですね。
Aくん:「レビュー機能」のおかげですね。低いレビューがついてしまったら、次に宿泊するホストからも敬遠されてしまうので結構ルールは守ってくれますよ。
Dスケ:あー、たしかに。自分の家にレビュー低い人をすすんで泊める人いないですよね。
法律関係とか大丈夫なんですか?
布団もみせてくれた。フツーの布団だった。Dスケ:ちなみに、センシティブな話題だとは思うんですけど…このマンションって、Airbnbを利用することはオッケーなんですか?
Aくん:規約的にはグレーですね、やっぱり。
Dスケ:やっぱりそうなんですね。管理会社にバレたらまずいですよね?
Aくん:そうですね。でも管理会社も、僕らがAirbnbを利用しているという証拠を見つけるのが難しいんですよね。住所はゲストと個別でやりとりして教えますし。バレてしまった場合は「又貸し」ということになって管理会社の規約に応じた対処がされるようです。
即退去になるのか、罰金を支払うのかはマンションによって様々ですが、僕らの場合は退去なので、まぁ……最悪退去ならいっか、って(笑)Dスケ:良くないでしょ(笑) でも、国内でもAirbnbを許可する条例も出てきましたし、ホストとして参入する人は、もっと増えそうですよね。
Aくん:ホストをやるなら今ですよ! むしろ東京だともう手遅れかもしれないです。それに、区の条例に従って申請手続きとかしてたら遅いですし、メリットが感じられないんですよね。だから、実際は申請せずに運営している人たちがほとんどだと思いますよ。
Dスケ:なるほど……今日は家を公開してくれて、ありがとうございました!
Case2:「Airbnb代行業者を利用して、一戸建てを運用している」
二人目は、沖縄県在住のBくん(24歳)普段は接客業をしながら、1年ほどAirbnb運用してるとのこと。今回たまたま東京に来る機会があるということで、直接お話を聞くことができました。彼は、一人目のAくんと違って、Airbnbの管理代行会社を通じて運営しているということで、違った視点で話が聞けそうです。なぜか肌がこんがりと焼けていた。
「爆買い」の影響で連日ゲストが泊まっている
Dスケ:こんにちは!すっごい肌焼けてますね!
Bくん:そうですね(笑)サーフィンが趣味なので、かなりこんがりと。
Dスケ:成功者です。成功者が目の前にいます。
Bくん:いやいや、全然ですよ。沖縄でAirbnb運用するまで、貯金は2万しかなかったんで(笑)
Dスケ:(……サクセスストーリーでも聞かされるのかな)まぁ、貯金が2万しかなかった、ということは、ひとまず置いておいて。今どんな家を貸してるんですか?
Bくん:今貸しているのは、沖縄の那覇市で、戸建をまるっと一棟貸ししていますね。
Dスケ:沖縄で一棟貸し!めちゃくちゃ良いじゃないですか!
Bくん:そうですね。ゲストの方にもすごく気に入ってもらえています。以前、学生が10人くらいで泊まったこともありました。そのくらい広さはあります。
Dスケ:一棟貸しということは、ご自身は別のところに住んでるんですか?
Bくん:そうですね、僕は近くで一人暮らしをしています。
Dスケ:ほうほう。まあ、それはさておき、ぶっちゃけどのくらい稼いでます?
Bくん:いきなりっすね(笑) そうですねー、だいたい平均して、月35~36万円くらいの売上ですね。マックスは50万円くらいでしょうか。シーズン次第ですが、一泊1.5~2万円くらいで貸してます。
Dスケ:おお……戸建だし、家族連れとか、友達同士で泊まることが多そうですね。
Bくん:そうですね、とくにアジア圏の方々の宿泊がすごく多いんです。いわゆる爆買というやつなんですが、東京に行くよりも、沖縄に来た方が近いし安いんですよ。
Dスケ:えー、なんかすごい大変そう……めちゃくちゃ忙しいんじゃないですか?
Bくん:いや、それが毎月1時間くらいしか仕事してないんですよね。
Airbnbを運用するハードルは思ったよりも高くない?
実情その1:雑務はアウトソーシングしている
Dスケ:1時間ってほんとですか……?全然信じられないんですけど。
Bくん:ほんとですよ(笑)
Dスケ:……なんで?
Bくん:普段は接客業をしていますし、さらに副業もしているので、Airbnbには時間をそこまでかけられないんです。だから、なるべく効率的に運用するように考えています。
Dスケ:効率化って? 具体的にはどんなことをしてるんですか?
Bくん:人に任せることのできるものは、どんどん代行してもらっています。たとえば、掃除とかって面倒くさいじゃないですか! しかも戸建てだから広すぎるんですよ…… なので、ジモティとかを利用して、掃除のバイトを募集したりしています。
Dスケ:なるほど、作業を代行してもらってるんですね。
実情その2:Airbnbの代行会社が作業をパッケージ化してくれている
Bくん:そもそもAirbnbの代行業者を利用しているので、最初から楽でしたよ。
Dスケ:最初からというと?
Bくん:僕が貸しているのは、自分が住んでいるマンションの一部屋、とかではなく、Airbnb用に物件を借りているんですね。
Dスケ:ふむ。
Bくん:そうなると当然、不動産会社と契約するところから始まります。それから、家具を揃えて、宿泊のルール表を作って、電化製品などに英語の解説シールを貼ったり、まぁ、準備をすることが大量にあるわけです。
Dスケ:それを代行業者が全てやってくれると?
Bくん:そうです。たとえば、メッセージのテンプレートも作ってくれるんです。
Dスケ:テンプレ?
Bくん:宿泊するゲストが決まったら、住所やルールなどを、Airbnb上のメッセージでやりとりをするんですね。そのテンプレートを作ってくれるんですよ。
Dスケ:ってことは、Bくんが運用をする前にやったことって全然ないんですか?
Bくん:代行会社に指定された家具の買い出しくらいでしたね(笑)
Dスケ:あ、でも初期投資は結構かかったってことですよね?
Bくん:家賃が10万円で、敷金や礼金、家具代、それに運用代行業者への支払いがあったので、初期費用で60~70万円くらいはかかりましたね。
Dスケ:一軒家を借りてその値段で済むってさすが…… しかも、先ほどの売り上げを聞いていると、すでにペイできていますよね。
Bくん:そうですね。結構すぐにペイできましたよ!
実情その3:Airbnbの公式サポートを上手く使う
Bくん:そういえば、Airbnbでもホストの負担を減らすためのサポートがあるんですよ。
Dスケ:え?何ですか?
Bくん:Airbnbでホストしている人たちって、英語をある程度喋れる人が多いですけど、ホストもゲストも英語が第二言語の場合が多いんですね。で、コミュニケーションが噛み合わないってことがよくあるんです。
Dスケ:あー、ありそう。
Bくん:その時は、Airbnbのサポートセンターに問い合わせたら、こちらが伝えたいメッセージを、相手にわかりやすいように、間に入って伝えてくれるんです。
Dスケ:親切すぎるじゃないですか。
Bくん:はい(笑)もちろんサポートセンターにも営業時間があるので、24時間体制というわけではないのですけどね。あと、もう一つ、Airbnb用の内装写真を撮影してくれるんです。
Dスケ:あ! それ地味に嬉しいやつじゃないですか?
Bくん:そうなんです。不動産サイトにも内装写真ってあると思うんですけど、あれって普通のカメラやスマホで撮影すると、全然綺麗に撮れないんですよ。
とくに、部屋の広さが伝わらないんです。なので、Airbnbには内装写真撮影のサポートがあって、日程を調整して撮影しに来てくれます。
過去に起こったトラブルは「ご近所からの苦情」
Dスケ:なんだかすごく楽そうですけど、トラブルはなかったんですか?
Bくん:ご近所から苦情が来たことはありますね。
Dスケ:どんなのですか?
Bくん:お伝えしたようにゲストには、爆買目的の方が多いんですけど、彼らって本当にめちゃくちゃな量の買い物するんですね。しかも、「便器」とかも買うので、重さもある買い物もするんですよ。
Dスケ:いつでも快適な便をしたいのかな。
Bくん:見栄の文化があったりするので、日本で大量に買い物して親戚に配ること自体がステータスになるみたいですね。で、ある日近所の方から電話がかかってきて、「なんかお宅のところに宿泊してる外国人のバームクーヘン預かってるんですけど!?」って。
Dスケ:バームクーヘン!?
Bくん:話を聞いたら、荷物が重すぎて、家にたどり着く前に近くの家の人に渡したらしいんですよ。いやいや、ふざけんなと。家に帰れと。そのあと、菓子折り持って謝りにいきましたよ。
Dスケ:うわぁ……すごい面倒くさいじゃないですか。
Bくん:そうですね。まぁ、運用を始めるときに、近所には挨拶に行っていて、「ここに頻繁に外国の方が宿泊します。ご迷惑をかけることがあるかと思うんですが……」と。まぁ、幸い関係も良好だったので、大事には至りませんでしたけど。
運用する人は、こういうトラブルの仲裁に入らなければいけないというリスクを背負う覚悟は必要ですね。これからホストとして部屋を貸すなら「コンセプト」が重要
Dスケ:ところで、代行会社を利用しているので、Airbnbの状況にも詳しいと思うんですけど、今からホストで一儲け狙うなら、覚えておいた方がよいことなどありますか?
Bくん:そうですね。沖縄でもホスト数が昨年対比で5~6倍に増えてるっていうのは、知っておいたほうがいいでしょうね。
Dスケ:めっちゃ増えてる! ってことは、東京だともう遅いですかね……?
Bくん:これから東京のような激戦区で戦うなら、コンセプトが重要だと思います。
Dスケ:コンセプト?
Bくん:はい。観光地へのアクセスの良さが一番重要なんですけど、たとえば、「オタクの人向けの物件です」っていうコンセプトにするとか。工夫が大切になってくると思います。
Dスケ:なるほど。「日本を感じる」っていうコンセプトで、全室和室とかも良さそうですよね。
Bくん:そうです、そうです。しかも和室は外国人からめちゃくちゃ人気なんですよ。僕が貸している戸建も、部屋の中に和室があるのが人気の理由ですし。
Dスケ:なるほど! ちょっと本気で考えてみます。今日は沖縄からありがとうございました!
Case3:「虚無感を覚えた結果、Airbnbから手を引いた」
最後は、昨年までAirbnbを運用していたが、とあるできごとをキッカケに手を引いたという、都内で働く25歳のCくん。代行業者は使わず都心で2物件を運用していたという彼は、なぜAirbnbから手を引くことになったのか。聞いていきたいと思います。
物件のクオリティは関係ない、「誰を泊めるか?」が重要
Dスケ:現在は運用をやめてらっしゃるということですが、運用していたときは、どんな家を貸していたんですか?
Cくん:私は、都心の2箇所のアパートで、それぞれ2部屋ずつ借りて運用していました。そして、その一室に僕自身も住んでいました。
Dスケ:へえ、どんな部屋だったんですか?
Cくん:一軒はごく普通のアパートでしたが、もう一軒は築年数不明のかなり年季の入ったアパートでしたね。戦後間も無い日本の風情を残した、とでも言うのでしょうか。
Dスケ:す、すごい所を借りていたんですね……そんな部屋に泊まる人っていたんですか?
Cくん:はい、ほぼ毎日ゲストは来ていて、一部屋に4~5人ほど宿泊していました。多い時は8人くらい入ってました。
Dスケ:え、何畳の部屋でしたっけ……?
Cくん:6~8畳くらいですね。
Dスケ:かなりカオスじゃないですか……そんな所に泊まる人っているんですか?
Cくん:誰をターゲットにするのかが重要だと思います。私が貸していた部屋は、バックパッカーの方を中心にローエンドで満足する人たちがよく泊まっていました。ベッド、トイレ、シャワーという三種の神器があれば満足してくれるんです。
Dスケ:なるほど、宿泊費を抑えて、最低限の設備が整っていれば良いのか……一泊いくらですか?
Cくん:一泊2,500円ですね。
Dスケ:安い!
売上は月70万、でも収益より魅力的だったのは人との交流
Dスケ:一泊2,500円ということですが、月の売上でいくといくらぐらいでしたか?
Cくん:月でいくと、だいたい売上は70~80万円だったかと思います。
Dスケ:おお、すごい……全4部屋も運用してると、やっぱり売上も大きいですね。
Cくん:そうですね。一部屋に複数の人が泊まっていましたし。
Dスケ:それにしても、ご自身も同じ部屋に住んでいたのに、そんなに大勢の人がいて辛くなかったですか?
Cくん:辛さはほとんどなかったですね。もともと色んな人と交流するのが好きだったので、毎日外国の人たちと話すことができて楽しかったです。
Dスケ:一番印象に残っているのはどんな人でしたか?
Cくん:各国のトップの大学に通っている人たちですね。やっぱり、飛び抜けて賢い人たちの話は刺激的でした。
Dスケ:じゃあみんなで遊びに行ったりとかも?
Cくん:そうですね。一人旅のゲストが多いので、観光地に連れていったり、ご飯も食べに行ったりと、よく遊びましたね。
Dスケ:収益もありつつ、やっていて楽しいなら最高ですね! でも、なんでAirbnbから手を引いちゃったんですか?
Cくん:そうですね……虚無感を覚えたといいますか。このまま、このビジネスでやっていって先があるのか?って。疑問に思ってしまったんですよね。
Dスケ:虚無感!? さっきまで楽しそうなエピソードだったのに何があったんですか!
ホストユーザーのコミュニティは「ライアーゲーム」だった!?
Cくん:話すと長くなりますが……まず、ホスト同士のコミュニティみたいなのがあるんですね。
Dスケ:あー、やっぱりそういうのあるんですね! 情報交換とかするんですか?
Cくん:そうですね、有益な情報を交換できたりと、もちろんメリットもあります。でも、僕が参加したコミュニティでの飲み会は、まるでライアーゲームのような空間だったんです。知ってますか、ライアーゲーム。
Dスケ:しょっちゅう裏切る奴がいるってことですか……?
Cくん:まぁ、それは極端だとしても、みんな腹の探り合いなんですよ。いかに自分の運用テクニックを晒さないで、相手から盗みだすか、それしか考えてないっていうか。
Dスケ:うわぁ……すごいですねそれ。やっぱりお金を稼ぎたいっていう人たちが多いからでしょうか。
Cくん:そうですね。もちろんAirbnbのコンセプトに惹かれて運用している人も多いと思いますし、私のように人との交流が好きな人も多いと思います。でも、お金の優先度が高い人も少なからずいるので。
Dスケ:それがキッカケで手を引いたと……?
Cくん:そうですね、大きな理由の一つではあります。私がやりたかったのは本当にこれか、と考えてしまって。収益を追い求めていることだけが全てじゃないし、自分自身はそれを第一に考えて動きたくないなと思いました。
リスクを背負えるか?警察沙汰になったトラブル
Dスケ:ところで、トラブルとかはなかったですか?
Cくん:そうですね、シャワーが壊れたとか、トイレが流れなくなったとか、小さなトラブルはありましたね。あ、あと近所の人からは、「最近このあたり、国際交流が進んだねー」と噂になっていたそうです(笑)
Dスケ:国際交流(笑) でも、たしかにいきなり外国人が増えたらびっくりしますよね。
Cくん:それで、一度だけトラブルに巻きこまれたことがありました。
Dスケ:自分の物件でのトラブルではなく、巻き込まれたんですか?
Cくん:はい、実はたまたま同じアパートの住人でAirbnbを運用している方がいたんですが、入居日より前から運用を開始しちゃったんですよ。
Dスケ:え……?それって、どういうことですか?
Cくん:引越し作業のために入居日の1週間前くらいから管理会社が鍵を渡してくれますよね。
Dスケ:……はい。
Cくん:その鍵を貸りてすぐに、Airbnbの運用を始めてしまったんです。それがすぐにバレてしまって、警察にも通報されて契約違反で即退去させられました。僕も近隣住民ということで、話を聞かれたりして……。
でも、僕も法律的にはグレーなことやってるじゃないですか。色々と聞かれたら、まずいなコレと。用事があると伝えて、なんとか切り抜けましたけど。Dスケ:おぉ……それめちゃくちゃピンチじゃないですか!
Cくん:はい。だからこういうリスクもあるとわかった上で、Airbnbは始めた方がよいですね。
Dスケ:なるほど。最後にこれからAirbnbにホストとして参加しようとしている人たちに向けて伝えたいことはありますか?
Cくん:訪日観光客が増えている中、いろいろと戦略を練れば、収益は良くなると思います。でも、その分のリスク(規約違反になるなど)を背負えるか、という点はしっかりと理解しておく必要があるので、注意してほしいですね。でもやっぱりゲストとの交流はすごく楽しいですよ。
まとめ
今や身近になりつつある「民泊」ですが、やはり法律的にはグレーな部分も多く、部屋を貸し出している彼らもそれを自覚していました。
とはいえ、彼らに共通していたのは、Airbnbのキャッチコピーである「暮らすように、旅をしよう」に賛同して自分もゲストも楽しい空間を作ろうとしていたことでしょう。しかし、ここまで民泊で収益を出しているとは思ってなかったので、驚きました。
2020年に向けて訪日観光客が増え、ホテルが飽和しているという話は聞いていましたが、ここまでとは……。今回は部屋を貸している人の実態を調査すべく3名の方に取材をしましたが、次回は法律的な観点から、「安全な」民泊運営について話を伺う予定です。
民泊やAirbnbについて詳しい弁護士の方がいらっしゃいましたら、ぜひお話を伺わせてください!
それではまた!