個人のファンから、世界観のファンへーー『krm』に聞く、ブランドの立ち上げから継続していくために大切なこと

2018 12.26

こんにちは。kakeru編集部の橋本です。

2018年はInstagramにショッピング機能が実装され、話題となりました。ライブコマースも盛り上がりをみせ、物の売り方・買い方がますます多様化してきました。
そんななか、インフルエンサーがアパレルのブランドを立ち上げるムーブメントが起きはじめています。

いままでのアパレルブランドの立ち上げは、ショップ店員やブランドのプレスやデザイナーがブランドを立ち上げるといった流れが一般的だったかと思います。
その背景には、SNSを通して世界観を発信し、自身で商品を販売できる時代がきたということが大きいでしょう。

こういった流れはさらに加速すると予測されますが、その中でも残っていけるブランドにするにはなにが必要なのでしょうか?

前回に引き続き、それらの疑問を伺いたく、そういったムーブメントが起きる前の2014年から、自身でアクセサリーブランド『krm』を、Instagramを通して発信・販売しているクリエイティブディレクターのKURUMIさんにインタビューを行いました。

KURUMIさんは、2014年愛知県の医療系の大学に通う大学生の頃、アクセサリー作りをはじめ、ハンドメイドのアクセサリーブランドをスタート。2016年にはViVi公認インフルエンサーの「ViVigirl」として活躍し、当時のフォロワーは5万人ほどだったそうです。

2017年には、アパレルECサービスを展開する企業と業務提携を行い、自身のブランド『krm』のクリエイティブディレクターとして活動の幅を広げます。ライブコマースサービス「Live Shop!」や、女性向けライブ配信アプリ「CHIPS」などで、日本に上陸したばかりのライブコマースも積極的に行なっていました。

2018年には渋谷でのポップアップショップや、アパレルブランドまで幅広く展開し話題に。
ファッション&ビューティ情報 WWD JAPANでの記事におけるアンケートでは、人気のInstagramアカウントランキングで渡辺直美、ローラ、水原希子などらに続く6位を獲得したことも。
Instagramのフォロワーは14万人(2018年12月現在)と、ファンからの支持も絶大。唯一無二の世界観を確立しています。

ハンドメイドのアクセサリーからブランドからスタートし、いまは企業と組みアパレルも手がけるKURUMIさんに、自身のことや世界観を作るために大切なことをお聞きします!

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<プロフィール>
1993年2月24日位生まれ。愛知県出身。157㎝。O型。
大学在学中(2012-2015年)に、サロンモデルにスカウトされ、モデルの仕事をしていく中で、SNS(Twitter、Instagram)を開始。自分の写真や好きなファッション、趣味で作っているアクセサリーなど、好きなコトや好きなモノを載せていくうちに自然とフォロワー数も伸び、現在のフォロワー数は14万人を超える。また、2014年、もともと趣味だったハンドメイドに『krm』とブランド名をつけて、Twitterアカウント上で販売をスタート。
2017年・EC会社に入社し、自身のブランド『krm』のCreativeDesignerとしてジュエリーアイテムを手がけている。今年4月には同社と提携をスタートし、10月には、『krm』から初のアパレルアイテムを発表。

自分と家族や友人へのプレゼン用としてはじめたアクセサリー製作。アクセサリーブランド『krm』が生まれるまで。

橋本:こんにちは!今日はお会いできて嬉しいです。

KURUMI:今日はよろしくお願いします。

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橋本:Instagramで見てても本当に可愛いんですが、実物もめちゃくちゃ可愛いですね……。

KURUMI:ありがとうございます(笑)。

橋本:とても素敵な世界観で……。
色々伺いたいことがたくさんあるのですが、今日はKURUMIさん自身のことや、ブランドについて伺わせてください!

KURUMI:ぜひ!お願いします。

橋本:アクセサリーを製作・販売をはじめたのが、4年前の2014年とのことですが、そのころからSNSの影響力はあったのですか?

KURUMI:当時はTwitterしかやっていなくて、1万人ほどフォロワーがいました。アクセサリーを作ってまず、Twitterから告知をはじめて、そのときにサイトも自分で作りました。

橋本:Instagramは使われてなかったんですか?また、1万人もTwitterでフォロワーがいたのはなぜでしょうか?

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KURUMI:Instagramにはあまり興味がなかったんです(笑)。けど妹に「やってみたら?」と言われて、それではじめました。Twitterにはサロンモデルの写真とかは載せてたかな。けれど、特別意識してなにかやってたというわけではないです。

橋本:なるほど!Instagramのフォロワーはどのように伸びていきましたか?

KURUMI:実際は少しずつですね。最初はアクセサリーとサロンモデルの写真とファッションを載せていて。それぞれのファンがついて、少しずつフォロワーが増えました。

橋本:KURUMIさんは当時、愛知県で医療系の大学に通われていたんですよね。アクセサリーを作りたいと思ったきっかけはなんだったのですか?

KURUMI:お店でアクセサリーを見ててもいいなって思うのがなくて、だったら自分で作ろうと思って、パーツを買ってハンドメイドをはじめて。最初はビーズで作ってましたね。なにかジュエリーの勉強をしたというわけではないんです。

橋本:すごい。アクセサリーを販売しようと思ったきっかけはありましたか?

KURUMI:最初は本当に作ったものを載せていただけでした。身近な人に作ったものを配ってる感覚に近くて。
次第に、欲しいって言ってくれる子が増えていったんです。最初はDMでやりとりをしてたのですが、それも大変になったので自分でECサイトを作りました。

橋本:当時はKURUMIさんお一人で運営されてたんですか?

KURUMI:そうです、買い付け、製作、お問い合わせまで全部自分一人でやっていました。でも、一人でつくれる数に限りがあるので、注文が増えてくるとお届けするまでに時間もかかってしまうし、一人でやることには限度があると感じましたね。

個人のファンから、世界観のファンへ。ブランドの立ち上げから継続していくために大切なこと

橋本:KURUMIさんのブランド『krm』は、どんなファンの方が多いのですか?

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KURUMI:高校生から20代前半くらいまでのファンの方が多くて、Instagramから知ってくれたり、アクセサリーから知ってくれたり、ブランドを認知してくれるタッチポイントは様々です。

橋本:たとえば、お客様はどのように『krm』を知ることが多いですか?

KURUMI:たとえば、Instagramですと、このような流れで知ってもらうことが多いです。

フォロワーさんの投稿を、私がスクショしてストーリーズでアップします。そうすると、ファンのみなさんは喜んでくれて、また同じアイテムを使って私をタグ付けしてくれて投稿してくれたり、また、新しい商品をゲットしたりすると、また投稿してタグ付けしてくれるので、私のフォロワーさんをフォローしている方々にも知ってもらえる機会が増えていきます。そのような流れで『krm』を知っていただく機会が増えます。とっても地道ですけどね(笑)。

でも、このような良い循環ができると、元々私のことを知らない方にも『krm』知ってもらえる機会が増え、わたしのフォロワーさんのお友達等も『krm』のお客様になってくれるチャンスも増えるので、こういった細かな作業が大切で、フォロワーさん達みんなとブランドを盛り上げているという感じでなんだか楽しいです。

橋本:最近はファンの傾向が変わってきた、というようなことはありますか?

KURUMI:最近はブランドの強化をしていて、以前より良いものをもとめるワンランク上の層の方々にも買っていただいています。私自身大学を卒業したこともあり、大人になった自分に合うものを作りたいと思って最近ではジュエリーも販売しています。上質な素材にしたため単価も上がりましたが、それに伴って新しい購買層も増えてきたのでうれしいですね。

橋本:リピーターのお客さんと、新規のお客さんはどういった比率なのですか?

KURUMI:ずっと購入してくださるお客様もいますし、毎回新しいお客様も買ってくださいます。
数字でいうと、全体の20%が既存の方の売り上げで、それ以外は新規のお客様ですね。

橋本:新規の方が多いのですね!購入される動機としては、「KURUMIさんに憧れて」って方が多いのでしょうか?

KURUMI:最初は私のフォロワーさんが「KURUMIちゃんが身につけてるから」という理由で買ってくれてました。が、最近は『krm』の世界観が好きだから欲しい、に変わってきています。最初は私自身のファン、それが次第にブランドの世界観のファンに変わってきたのはすごく嬉しいことです。

橋本:ファンだけではなく、より広い層に届くようになってきた、ということですよね。シックな色使いが素敵なKURUMIさんのInstagramですが、これまで影響を受けた世界観はありますか?

KURUMI:それがないんですよね(笑)。これに影響されたってものはなくて。でも、製作するときのインスピレーションは、海外の雑誌や、おしゃれだなって思う雑誌を手にとって見たり、手元にこういうのがあったらかわいいのにっていうのを普段から意識してますね。

橋本:Instagramを運用する上で、ルールみたいなことは決めてますか?

KURUMI:自分の軸や世界観は絶対にブラさないっていうのは最初から決めていました。自分の世界観を確立するために、背景の加工を統一したり、自分の好きなものとInstagramを照らし合わせてどんな投稿をしたらよいのかを判断したりだとか。投稿頻度や投稿時間のルールも自分で決めています。

橋本:差し支えなければ、教えていただきたいことがありまして……。フォロワーの増加と売り上げには相関関係はあるのでしょうか?

KURUMI:認知度はもちろん必要ですが、フォロワーの増加と売上はイコールとは言えないですね。ただ、服を買っていただく場合は、そもそもファッションの投稿が評価されている必要があります。人によって、服、スタイル、生活など、どの部分で支持されているのかは様々ですが、それは、いいね数などをチェックすればわかります。

橋本:なるほど、たしかにそうですね。

KURUMI:でも、ただフォロワーが多いだけだったり、サイトの宣伝だけしても買っていただくのは難しいです。投稿ひとつひとつ頑張って、ファンのみなさんからタグ付けされた投稿にもしっかりと反応する。そうすると、社会的証明の原理(※)が働き、ファンのフォロワーも気になって買っていただける。このようにマーケティングとブランドの掛け合わせによってはじめて売上にもつながっていくと考えています。

※自分の判断よりも他人の判断を頼りに、その後の行動を決めてしまう心理のことを指す。

企業と組むために一番大切なのは信頼関係。業務提携の意味とは

橋本:KURUMIさんは、2017年にアパレルECなどを運営する企業と業務提携をされてブランドの拡大をされました。そこからアパレルブランドを立ち上げるなど、さらに幅広い活動をされていますが、企業と提携していこうと思われたのはなぜですか?

KURUMI:もともと企業と組んで運営していきたい、と思っていたわけではないんです。ですが、製作から発送まですべて自分一人でやれることは限りがあると思っていて。一人で運営している頃に、ハンドメイドの商品を出したら1分でSOLD OUTして、新規の方が買えないことがほとんどだったんです。新しいこともやりたいし前に進みたいのに同じことしかできないな、と思っていて。

ですが、こうやって企業と組むことで発注ができるようになったので生産の単位も変わりました。それに、できないことも任せられるし、とくにマーケティングとかビジネスのことは任せていますね。

橋本:実際の売り上げという意味ではどうですか……?

KURUMI:売り上げも、右肩上がりで伸びていますね。

橋本:すごい!ただ企業と組むことが良いわけではなく、もともとのブランドが確立されているからこその相乗効果ですよね。今の会社との提携の決め手はなんだったのですか?

KURUMI:いろんな会社にお声がけをいただいたのですが、最後に決め手となったのは信頼関係ですね。もとからある世界観は絶対に崩したくないし、やりたくないこともあらかじめ話していました。
逆に言うと信頼できて、お互いにできないことを補える関係でいれなければ、企業とやる意味はないと思います。

橋本:なるほど。近年、インフルエンサー発信のブランドが増えていますが、残っていくブランドになるためには何が必要だと思いますか?

KURUMI:センスがあればなんとかなると思っている方も多いですが、それだけでは絶対に上手くいかないと思います。ビジネスの知識も不可欠ということも実感しました。ブランドを継続させるためには、キャッシュフローやマーケティングも知らないといけないけれど、今の提携先はそのあたりを補ってくれているので一緒にできています。

橋本:ブランドの立ち上げに憧れる方も多いと思います。今の時代で、ファッションブランドを立ち上げるために、学ぶべきことはなんですか?

KURUMI:センスだけではダメだけれど、最初に必要なのは絶対に自分の軸となるセンスや世界観。そのためにまずは、自分を持つってことですね。

橋本:KURUMIさんは、今後、ブランドをどのように展開していく予定ですか?

KURUMI:売り上げよりも、もっといろんな方にブランドを知ってもらって好きになってほしいといつも思っています。今、月1でポップアップショップをやっているのですが、リアルでお客さんに会うことの大切さもとても感じていて、リアルな店舗も持ちたいですね。

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橋本:リアル店舗!楽しみです!そのためにはなにが必要なのでしょうか?

KURUMI:今は購買動機が変わっていく時代だと思っていて、安いとか便利ではなく、その世界観が好き、とか信頼されてるから買おう、という風に変わってきています。その指標の一つがフォロワーの数だったり。これからは比較サイトで商品を探すのでなく、直接作り手が発信しているInstagramから買う時代になるているので、ブランドを強化して世界観のファンをどんどん増やしていきたいですね。

橋本:フォロワーは信頼の指標でもありますよね。信頼が価値となる時代は加速すると私も思っています。本日はありがとうございました!

KURUMI:こちらこそ、ありがとうございました!

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今回、KURUMIさんにお話を伺って、ブランドの立ち上げや継続には、「この人についていけば大丈夫」といった安心感が必要だと感じました。そのためには、ファンの方々との信頼関係をつくっていく必要があるのではないでしょうか。

インフルエンサーが誰でもブランドを成功させられるわけではなく、それらのことが合わさって初めてファンに届くプロダクトが生まれるのでしょう。

今後、市場の需要やマーケティングを見て商品を作る大手のアパレルブランドのやり方だけではなくインフルエンサーなど発信力のある方が「自分自身が本当にいいと思う、欲しいものを作る」という流れは、ますます広がっていくだろうと思います。

単なる目先の売り上げだけではなく、そこに自分の軸や伝えたい世界があるかどうかが、一番大切なことなのだと思いました。

今後、自分のブランドを持ちたいと思う方々はまずは自分の世界観を見つめることからはじめてみてはいかがでしょうか。

Interviewer 橋本麻由
Writer 前田さほ
Photo きょーいち
Design 會川誠也


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