累計運用フォロワー300万人越え広告クリエイターが考える「バズの6系統」とは?

2019 8.8

はじめまして。ふだんは広告会社のコピーライターとして、企業コピー、CM、イベント、SNS等の開発をしている小竹海広と申します。

私はSNSの企画を中心に仕事をしており、担当させていただいた企業アカウントのフォロワー累計は300万人を越えました。

その企画開発や事例研究を通して、バズにも系統があることに気づきました。この記事では僭越ながらポイントをまとめてみました。

では本題ですが、大人気漫画ハンターハンターはご存知ですか?

ハンターハンターには念能力という能力が登場します。簡単に言うと、念能力には6系統があり、念能力者ごとに適正のある系統が異なるという設定です。

適正のない系統を目指すと、弱い念能力者になってしまいます。そして、その6系統に分岐するまでに通るべき修行「練」「凝」などの基本スキルがあります。

これをSNSでのバズづくりに置き換えると、「バズを起こす技術には6系統」が存在し「系統ごとに適正のあるブランドが異なる」ということになります。ブランドにとって適正のない方法でバズっても、ブランドが強くなることはありません。

そして、それらのバズ能力を得る前に、練に相当する「発想のジャンプ力」や、凝に相当する「情報のアンテナ力」が前提となります。

この記事は、すでにプランナーやマーケターとしてSNSに従事されている読者の方を想定しているので、発想のジャンプ力や情報のアンテナ力などは前提に、バズの6系統を紹介したいと思います。(※ 以降、ハンターハンターを読んだことがない方にもわかるように書いているのでご安心ください!)

「異常値系バズ」-パラメータの一部を極端にしよう-

まず1つめの系統について。異常に大きいもの、異常に速いもの、異常に可愛いもの、異常に美しいもの、異常なネーミング、ジャンル的には異常なもの……etc。こういった異常値をもつコンテンツはバズりやすいです。

リアクションとしては「すごい!」「面白い!」「そこまでやるか!」などの反応が狙えます。SNSユーザーは「タイムラインに埋もれない強烈な刺激」を求めているという心理を付いています。この系統と相性のいいブランドは、若年層をターゲットにしたブランドです。

ノリで選択したり消費できる低価格帯の商品が恩恵を受けることができます。なんとなく好きになってもらうと他社と差別化ができます。代表的な事例をいくつかあげてみます。

■3秒クッキング/docomo(異常に速い調理)

■超超超大盛GIGAHIGAMAX2142kcal/まるか食品ペヤング(異常に量のある焼きそば)

■山田孝之氏による胸囲測量/ふんわりルームブラ(異常にシュールなPRイベント)

広告以外で言うと、ゆるキャラのちぃたんも異常値系のバズコンテンツです。

ハンターハンター的に言うと”強化系”っぽく、ネタやクラフトの力でゴリ押しできる系統です。

「承認系バズ」-特定の人の背中を押してあげよう-

努力を褒める存在、コンプレックスの解除、規制緩和を訴える声、既存のヒエラルキーを否定する意見、誰かを擁護する意見など、視聴者の承認欲求を満たして背中を押してあげるようなコンテンツもバズりやすいです。

リアクションとしては「癒される!」「よく言った!」「感動した!」「ありがとう!」などの反応を引き出すことができます。「不安の多い現代社会では褒めてくれる存在は貴重」という心理をついています。

この系統と相性のいいブランドは、オーセンティックだったり人種や性別をテーマにしたりしているものです。深いメッセージを伝えることで高価格帯でも商品の信頼感を増して心の繋がりを強めることができます。

代表的な事例をあげてみます。

■Real Beauty Sketch/ダブ(外見のコンプレックスを解除)

■Believe in something, even if it means sacrificing everything. /ナイキ(黒人差別に抗議したコリンキャパニックを賞賛)

■#この髪どうしてダメですか/パンテーン(黒染め指導の規制緩和)

広告事例以外だと、日常の小さな頑張りを褒めるコウペンちゃんも承認系バズコンテンツです。ハンターハンター的に言うと”操作系”っぽく、メッセージが刺さるとブランドの仲間が増えるような系統です。

「パロディ系バズ」-既存のコンテンツを、けたぐりしよう-

昔話、ゲームやファンタジー用語、漫画や洋画でありがちなシーンや有名なセリフ、ありがちなテレビ番組、注意書きなどの定型文、タレントネタ、企業ロゴ、雑誌の表紙やアプリのUIなどの視覚情報など、既存のイメージをパロディするようなコンテンツもバズりやすいです。

リアクションとしては「笑える!」「センスある!」「ギリギリすぎる!」などの反応になります。「元ネタを知っている人はネタを理解できたことを他人と共有したい」という心理を付いています。

この系統と相性のいいブランドは若年層やアニメや漫画などのコンテンツとのアフィニティの高いクラスタを抱えるものです。最近の代表的な事例をあげてみます。

■ロゴが入れ替わる/Softbank、ロッテ、サントリー、日進(君の名は。をパロディ)

■かぁまたたたたたーっ駅/京急蒲田駅(北斗の拳をパロディ)

■プレモルニュース神アワー/プレミアムモルツ(ニュース番組の演出や有名なインタビューイーをパロディ)

アニメだと、ポプテピピック/おそ松さん/銀魂(他のアニメネタを次々とパロディ)なども同じ理由でバズっていると考えています。ハンターハンター的に言うと”具現化系”っぽく、視聴者の脳内に具体的なイメージを出現させるような系統です。

「イシュー系バズ」-勇気をもって社会問題にコミットしよう-

ジェンダー、差別、政治、環境問題、国際問題、高齢化社会、フェイクニュース、犯罪、難病など、社会問題への果敢なコミットメントや批判や風刺は良くも悪くも話題になりやすいです。

リアクションとして、コミットメントが良い方向に向かえばは「素晴らしい!」「他の人にも知ってほしい!」「考えさせられる!」などの反応を生み出します。SNSユーザーの「世の中をもっと良くすることに協力したい」という心理を付いています。この系統と相性のいいブランドは、思想を持つアーティスト、NPO、高度なテクノロジーを持つ企業です。

代表的な事例としては次のようなものです。

■2億円事件/幸楽園(働き方改革へのアクション)

■ジョージア州での撮影を停止/Netflix(妊娠中絶禁止法への抗議)

■選挙いったらタピスタ半額/タピスタ(投票率向上の解決アクション)

この系統は敵と味方をわける場合があるので、明確な思想がある企業にしか実行が難しいように感じています。また生半可な気持ちで取り組むと100%炎上します。日本ではまだ少ないアプローチ。

ハンターハンター的に言うと”放出系”っぽく、現代社会に一石を投じて議論を巻き起こす系統と言えると思います。

「モーメント系バズ」-最高のタイミングを計算しよう-

クリスマス、ハロウィン、エイプリルフール、大晦日、お正月、バレンタインデー、ホワイトデー、入社式、七夕、スーパームーン、日本代表戦、開票日、ねこの日、ポッキーの日、芸能人の結婚、映画の地上波初放映、ソシャゲーのイベントなど、ツイッタートレンドとして100万ツイートを超えるタイミングが存在します。この瞬間に乗じたコンテンツや情報はバズりやすいです。

リアクションとしては「うまいこと言う!」「素敵!」「面白い!」など幅広く狙えます。SNSユーザーの「いま世の中全体が熱気に包まれている瞬間に参加したい」という心理を付いています。またツイッターのアルゴリズム上トレンドワードに関するツイートは伸びやすいです。

この系統と相性のいいブランドはモーメントごとに異なるので、取り組むときは昨年に話題になったツイートを検索して研究するのがオススメです。また単体として使うというよりは、他の系統と組み合わせて使うことでその真価を発揮します。

代表的な事例としては次のようなものがあります。

■日本は義理チョコをやめよう/ゴディバ(バレンタインデー期間で義理チョコ文化の批判)

■令和元年 = R1年(令和への元号変更時のトレンド活用+ミーム)

■マックフルーリーエクスカリバー/マクドナルド(エイプリルフール時の嘘商品)

広告以外では、ゴールデンボンバーが令和の元号発表時にMVをリリースしたことで話題になりましたね。歌詞のはめ込みも秀逸でした。

よくある誤解は「〇〇の日」というだけでモーメントと考えてしまうことです。100万ツイート以下のモーメントは、すぐトレンド落ちするので乗っかっても旨みが少ないです。ハンターハンター的に言うと”変化系”っぽく、モーメントごとの空気を読める器用さが求められる系統です。

「ミーム系バズ」-大喜利の参加フレームをつくろう-

いよいよ最後の系統です。6系統の中で最も高難易度ですが、瞬間風速的なバズに終わらずロングテールに広がりを見せるリターンの大きい系統がミーム系です。

今回は事例から説明します。

■アイスバケツチャレンジ(バケツで氷をかぶる動画がミーム化)

■ハズキルーペのCM(独特の世界観がミーム化)

■ブックオフなのに本ねえじゃん(寺田心くんのセリフがミーム化)

広告事例以外では、#僧衣でできるもん、#あたりまえポエム、#保育士さんありがとう、#保育園落ちたの私だ などがありました。

共通点としては最初の投稿からのリアクションが「すごい!」「面白い!」などで終わらず、同じフレームで真似する人が出てくることです。だれもが真似しやすい企画を、インフルエンサーが仕掛け役として発信する場合が多いようです。

ハンターハンター的に言うと”特質系”っぽく、必ずしも誰もに再現性がある訳ではありません。異常値系、パロディ系、イシュー系でバズったコンテンツから、ミーム系に派生することが多いです。ある程度、初速を担保できるインフルエンサーや、広告出稿量を担保することが必要条件のように思います。

ブランディングに活用できている事例は少ないですが、広告クリエイターなら一度は狙ってみたい系統と言えるでしょう。

いかがでしたでしょうか。

もちろん例外はあると思いますが、現時点で広告に活用できるバズの定石は大凡この6系統があると思っています。実行フェーズでは制作チームとクライアントの双方が、このようなバズの狙いを理解していることで、よりバズの確率は上がるのではないかと思います。ですので、是非この記事をSNSでシェアしていただけたら嬉しいです。

追伸:ちなみに僕はハンターハンターのイルミが好きです。


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