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激しくありがとう!「前略プロフィール」開発者独占インタビュー

2016 12.26

前略

「前略プロフィール」様

貴方がこの記事を読む頃は、もうサービスが完全終了されていると存じます。

2016年も、残りわずか。
今年もインターネット界隈では、さまざまなニュースが伝えられてきました。
その中でも「前略プロフィール」のサービス終了は、ひとつの時代を象徴するようなエンドであったと思わずにいられません。

申し遅れました、わたくし堀宏美と申します。
SnapeeeというアジアF1層1,200万人を誇るアプリのサービス終了に携わり(これまた2016年5月にサービス終了)、縁あって「kakeru」でコンサルタントをしております。

一世を風靡した「前略プロフィール」というサービスに敬意を込めて、開発者・ユーザの2つの視点からインタビューを行いました。

まずはこの記事を第一弾として献上させていただきます。

草々

プロフィールサイトの先駆け!「前略プロフィール」開発秘話とは?

こちらの方が、「前略プロフィール」の開発者「篠田唯(しのだ ゆい)」さん。現在は、株式会社サムライファクトリーの代表取締役をされており、「前略プロフィール」について取材を受けるのは初だそうです。

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――  それではまず、「前略プロフィール」の歴史を振り返らせていただきますね。

2002年 株式会社キープライムにて、「前略プロフィール」をローンチ

2004年 株式会社キープライムを楽天株式会社に譲渡し子会社となる。「前略プロフィール」の運営も移管。

2007年 会員数445万人突破

2009年 会員数540万人突破

2010年 会員数630万人。この頃から「日本最大級のプロフィールサイト」と銘を打つようになる。

2012年 サービスの運営を、楽天株式会社から株式会社ザッパラスへ譲渡。

2016年 8月末  新規会員登録停止、発言や書き込みなどのアクションを停止しページ閲覧のみ可能となる。

2016年 9月末 「前略プロフィール」のサービス終了。

――  2003年~2004年にかけては、キャリア各社が定額のパケット通信をスタートした時期であり、インターネットを利用する若年層が爆発的に増加した時期ですね。「前略プロフィール」のユーザ増加にも影響はあったのでしょうか?

そうですね、あったと思います。あと、ローンチについては、さまざまなところで2004年と書かれているのですが、2002年と記憶してます。インターネット上で、「前略プロフィール」について2004年以前の情報が残っていないからだと思います。

――  「前略プロフィール」を作られたきっかけを教えていただけますか?

当時、株式会社キープライムという会社で、“Webで何かできるか”という実験的な企画の一つとして、「前略プロフィール」を考案しました。この会社は仲間内で立ち上げた会社で、今でいうところのアフィリエイト事業をやってました。事業以外で、Webサービスを個人で発案して開発するという取り組みをしておりその一環でした。もともとは、収益目的で作ったサービスではなかったんです。

――  「前略プロフィール」は、どのような構想で企画開発されたのですか?

この企画自体は、極限までシンプルにしたWebページ制作機能にしようと考えました。背景として、2002年以前は個人がホームページを作るにしても、プログラミング言語を勉強しなくてはならず、制作するにあたってのハードルが高かったんです。ですが、世間のニーズとしては高まりつつあり、その結果として、テキストサイトなども流行ったのではないでしょうか。

だから、もっと簡単に一般の人が「私のホームはこれです」と表現出来るシンプルなサービスが作れないかと考えました。そこでたどり着いたのが、自分に関する質問に応えるだけでホームページが出来上がる「前略プロフィール」でした。

――  制作にあたり特にこだわった点はありますか?

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デザインの面では、ユーザーが”携帯で閲覧すること”を前提に作りました。また、今の時代ではレスポンシブサイトは当たり前ですが、”どの端末で見ても表示される画面は似たようなものが縮まるだけ”という考え方を大切にしました。そのため、PCでの表示もシンプルになっています。

――  制作の際にヒントにしたことはありますか?

「100の質問」ですね。当時は、ホームページ上で、「○○に関する100個の質問(※)」に答えて、それをコンテンツとして発表するという流行がありました。「前略プロフィール」でも、質問に答えるとその人の面白いところが引き出せるのでは?と考えました。そういえば……僕がつくった初期の頃はシュールな質問で埋まってたいたんですよ。「足のサイズは?」「前世は?」「ここだけの話」「ひそかに自慢なことは?」とか。

ホームページを作ろうとしても、何を書こう?ってまず迷うじゃないですか。たとえば、急に「作文書きなさい」って言われても迷うけれど、読書感想文みたいにお題を与えられて、それに対する作文だったら書けると思ったんですよね。そこで、質問というお題を「前略プロフ」に採用したんです。

(※)当時は、誰かが制作したデータベースに答える形式で、答えた内容を自分のサイトで紹介するのが当時主流であった。

――  たしかに「質問」というお題があったおかげでハードルはかなり下がったように感じますね。ところで、こだわった点も多かったようですが、開発からローンチまでの期間はどれくらいかかりましたか?

1日かかってなくて、思いついたその日にサービス開始、ローンチしました。

――  ……驚異的なスピード感ですね!

いわゆるベンチャー企業ですし、そういう時代だったと思うんですよね。当時は、そこまで高トラフィックに耐えるようなシステムを構築しなくても、なんとかサービス化できたんです。あと、ブロードバンドじゃないので携帯電話も遅いし、自宅のパソコンも遅かったので、今の時代のようにユーザーがストレスを感じるほどでも無かったんですよ。

――  ローンチ時に、一緒に会社をやられていた方の反応はどうでしたか?「これはヒットするぞ!」といったような反応はありましたか?

会社にいたプログラマー3~4人が「いいね」「面白いね」ってひとこと言って、自分の作業に戻る程度でしたよ(笑) 当時の会社では、レンタル日記とかさまざまなサービスを、作りたいと感じた担当者が自分で作ってリリースする、って形でやっていました。だから、「前略プロフ」は僕が発想して、僕が担当して作って、ユーザーサポートして……ただそれだけだったんですよね。

――  サービス名も覚えやすくて個性的ですよね?ネーミングってどうされたんですか?

シュールでキャッチーな「○○プロフィール」みたいなのがいいなと思ってて、ピンときたのが「前略」でした。前略って「何はともあれ」みたいな”手紙読んで”って意味じゃないですか。”挨拶はこのプロフィールページを見てよ”みたいな感じで、全て略してこれを見てっていう、そういう発想ですかね。

――  キャッチコピーの“激しく自己紹介”もいいですよね。

どちらも開発のタイミングで考えて、当時は、「激しく」という形容詞も日常に使うことはなかったので、「プロフィール」も“プロフ”って略したり、「こんな風に書いたら面白いかも」って笑いながら作った覚えがあります(笑)

―― リリース後には、何か追加での開発や修正がありましたか? 

実は、リリース後はあんまり開発・修正してないんですよ。独自の開発としては、デザインはペライチでシンプルなものにこだわって、低スペックなサーバーでいかに軽く動かすかという感じで、アパッチWEBサーバーのモジュールとして、C言語で書いて組み込んで、WEBサーバーそのものがプロフィールサーバーみたいな、そういうプログラムを書いてました。当時としては、そこそこマニアックな手法だったと思います。

当時から今に至るまでWEBサービスを作るのにC言語って主流ではないと思うんですけど、僕としては、C言語が一番合理的だろうと考えていたんです。仲間内ではじめた、資金の少ない会社だったので、当時はデータセンターを利用するには高すぎて手が出なくて……自作で余ったパソコンを12畳ぐらいの事務所の隅に置いてサーバーにしていました。低スペックのサーバーをフル稼働させる必要があって、軽くするためにC言語はちょうど良かったんです。

―― なるほど、ではとくにメンテナンスなどは無かったんですね。

2004年に、楽天の子会社になったときに、C言語から当時一番メジャーだったPHPで書き直したというのが、僕の覚えている唯一のメンテナンスですね。僕は、「サーバーへの負荷が重くなりますが大丈夫ですか?」って(楽天の人に)聞いたら、「そんなのサーバーを増やせばいいじゃん?」って言われて。

でも、確かにそうですよね。「これが大企業!すごい!」って思いましたよ(笑) 追加での開発が進んだのは、僕の手から離れてからですね。アンケート機能などが追加されました。“もっと人をつなげようという仕組みづくり”だったと思います。

「クチコミによる広がり」「出会い目的」「黒歴史」など、ユーザーによって進化した前略プロフ

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――  個人的な感想ですが、2002年に「前略プロフィール」が出たときは衝撃的でした。ただ質問に答えるだけでプログラム言語もしらない女子高生が簡単にホームページを作れる時代がきたと。「前略プロフィール」が、突破口になって、そこからSNSが流行ったようなイメージすら持ってまして、ひそかに“ゲートウェイ・インターネット”って思ってました。

それは褒めすぎかなと思うんですけど(笑) これがなくてもSNSの時代は来たるべくして来たと思います。

――  ユーザ同士が前略プロフィールを通してリアルで出会ったりすることについてはどう思っていましたか?

もともと出会い目的で作られたサービスではないんですよね。ニュースなどにも取り上げられ一時期社会問題になって、「前略プロフで、知り合った人が結婚しました」みたいな声も聞いたことあるんですけどね。でも、作った僕は前略プロフでは誰とも出会ったことがないです。

誰とも出会ったことないし、仕事関係の出会いもないし、男女の出会いなんてとんでもない……無縁の世界ですよ。唯一、前略プロフのサービスがきっかけになったことって、このインタビューが初めてです(笑)

――  ということは、ユーザー同士の中で進化していった利用方法ということですね。それにしても、先発優位とはいえ、ローンチから、広告を打たずに約630万ユーザまで数値が伸びるというのはすごいですよね。何か行った施策などあったんですか?

本当にクチコミの力ですね。今だとLINEなどが良い例だと思うんですけど、「周りが使ってるから自分も使わなきゃ」ってなって、連鎖みたいなものですかね。学校のクラスで何人か始めてて、簡単だし自分もやってみようとじわじわと広がっていったのでしょう。

――  一番最初のクチコミってどこからなんでしょうか?

当時、同社で「ザ・掲示板」という、2ちゃんねるのようなテキストの掲示板サイトをやってたんですよ。そこで「前略プロフ」のサービスを告知したので、あの掲示板サイトの人たちが最初に使い始めてくれてクチコミに繋がったかと思います。

――  あと、聞きづらい話ではあるんですが……「黒歴史」と呼ばれていることについてはどう思ってましたか?

おそらく、今だから黒歴史なこと言ってると本人は思うんですよね。当時は何も思ってなかったのではないでしょうか。シンプルに自己を表す場として、質問に答えて出来上がったものが、時がたってみると黒歴史に見えると。当時はほら、若気の至りで恥ずかしいこととか平気で言ってしまうじゃないですか(笑)

プログラミングと音楽を作ることは似ている?

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――  篠田さんご自身は、どのようなきっかけでインターネット業界に入ったんですか?

もともとは、高校のとき軽音楽部入っていて、勉強よりそっちに夢中になっちゃって。受験勉強もせずに卒業後もバンドを続けていました。そのかたわら、当時流行りだしていたインターネットの仕事でもしようかなと。

1996年の当時19~20歳ぐらいのときに、アルバイトでWEB制作会社に入りました。そこでPhotoshopの使い方と、htmlの書き方を教わりましたね。4ヶ月ぐらいでそのバイトは辞めたんですが、その直後、高校の時に一緒にバンドをやっていた友達から連絡がきたんです。

最初はバンドの誘いかなって思ったんですが、僕がインターネットの会社でバイトしてるって噂を聞いたらしくて、インターネットに関する会社を一緒に立ち上げないかと誘われました。

――  それが「前略プロフィール」を世に出した株式会社キープライムなんですね。収益面はどのようにしていたんですか?

そうですね。立ち上げた当初は、制作したサイトに広告枠を作って売っていました。今みたいにSSP、DSPとか、アドテクノロジーが発達していない時代だったので、普通に手打ちでした。営業は、広告代理店のようなところとやりとりをしていました。

――  手打ちとはすごい時代ですね…でも、当時は制作をするにしても素人だけだったんですよね。大変ではなかったですか?

はじめは大変でしたね。でも、たとえば、サイトを作っているうちにアクセス数とかが知りたくなるんですよ。だから、自分で勉強してアクセスカウンターをつけてみる。そのうち、アクセスカウンターの推移を1週間で見たくなってきて、また勉強……そういうことを続けていると、だんだんプログラムを覚えていったんです。最終的には、アクセス解析機能付きアクセスカウンターみたいなものを作って運用していました。

――  自分たちで付加価値も付けていったんですね。それにしても、メンバー全員がプログラミングとは無縁のバンドマンだったんですよね……?

そうなんですよ。人手が足りなくなってきた頃に、当時のバンド仲間2人を誘って会社のメンバー4人になったんですね。でも、ギターは弾けるけど、誰1人プログラム知らない、という状況でして(笑) Perl入門やC言語入門などの本が会社に転がっていたんで、それを見ながら各々プログラムを書いて覚えていました。

――  インターネットとは無縁だった人たちが、どうやって前略プロフのような、当時としては斬新なアイデアを思いついたんでしょうか?

時代背景も大きいと思いますよ。Windows95の日本語版が発売されてから、「インターネットって何をするところ?」「ホームページって何?」という時代が、最初の3、4年頃にあったじゃないですか。そこからアダルトサイトが出始めたくらいから、だんだんネット人口が増えてきて、多くの人がインターネットを使って、新しいニーズが出てきて……というような流れがあったおかげで、前略プロフを思いつくようなアイデアやサービスもどんどん出始めてきたので。

あと、あの頃は結構自信があって、なんでもできるような気がしたんですね。こういうことをやったらユーザーは喜ぶし、こんなことをやったら、こういう人たちが使ってくれるし……という感じで。

奢りがあったわけじゃないですけど、自信があったんです。あと、たまたまかもしれないですけれども、音楽をやっている人はプログラマーに向いていると思いますよ。作曲するときに、音楽理論的に正しく作れ、なおかつセンスをその理論に乗せられることが出来る。

当時の会社のメンバーとは、今は一緒に仕事をしていませんが、それぞれWEB系の会社で経営とかやってますね。

「前略」の次は「忍者」、開発者にとっての「前略プロフ」とは?

――  現在、篠田さんが代表を務めている、サムライファクトリーでは、「忍者ツールズ」というアクセス解析などのサービスを展開中ですよね。こちらも、ネーミングが斬新に感じます。

「忍者ツールズ」も着眼点は一緒ですね。いかにキャッチーに堅苦しくないようにするか。あとは、変な横文字を使うんじゃなくて、「(数値を)追う忍者」がよいのでは?と、会社内でわいわい楽しみながらみんなで考えました。もともと忍者とかサムライというモチーフが好きだったのもあるんですけどね(笑) 考え方は「前略プロフ」のときと変わっていないですよ。

―― サムライファクトリーはどのような経緯で作られたんですか?

もともとは、僕が作った会社ではないんです。楽天退職後は、モラトリアムな期間を2年ぐらいしてまして。いくつかの企業が声をかけてくれたんですが、その中の1社に、サムライファクトリーの前身となる会社があったんですよ。

キープライムのときに運営していた「ザ・掲示板」のつながりで知り合った人が立ち上げた会社で、顧問のような形で携わっていたんですけど、「がっつり一緒にやりましょう!」と、言ってくれました。

ただ、一つ懸念があったんです。キープライムを立ち上げたときは、友人と共同代表、その後の社員も高校時代の友だちだったんで、指揮系統がなく、個人プレイの集合体だったんですよ。最初は良い方向だったんですが、ある程度規模が大きくなったときに行き詰ってしまって。

楽天さんからお声が届いたからM&Aという形で傘下に入ってみたものの、1人抜けて2人抜け、僕も辞めて、もともとのメンバーは数年でいなくなってしまいました。だから、また仲間が一緒にやるのは中途半端になってしまうと思い、サムライファクトリーは僕が買い取った形になりました。

 

――  さいごに、2016年の9月末で、前略プロフが終わることについては、開発者としてどう思われましたか?

すごく、時代を感じますよね。これから、何世紀もインターネットという文化は続いていくわけじゃないですか。

そのほんの最初の部分で、「前略プロフィール」は人々の心に刻むことが出来たんじゃないかなと思います。もちろん発展したのは、使ってくれるユーザーや、僕から引き継いでくれた方々が頑張ってくれたからであって、全然僕の手柄じゃないんですけどね。

でも、その最初の一歩に携われたのは、僕にとっての誇りです。

実は今、「忍者ツールズ」とは別に、新しいプロジェクトチームを立ち上げてアイデアを練っているところです。僕は、さりげなく、人々の生活を豊かにするとか、人々が楽しんでくれるものを開発することが最高に楽しいなと思っているので、そのようなサービスを作りたいな、と思っています。

心に残るサービスをありがとう!開発者インタビューを終えて…

日々、インターネットではさまざまなサービスが生まれ、その中には残念ながら終了を迎えるサービスが数多くあります。その中で「前略プロフィール」終了時には、数々のメディアで関連する記事があがっていました。

それは「前略プロフィール」がインターネット界に与えたインパクトが大きく、一部では「黒歴史」と言われても、人々の生活を“インターネットで豊かにするサービス”だったことを証明しているのではないでしょうか。

サービスは終わっても、体験した人の心にはいつまでも残るでしょう。人の心のキャッシュを削除することは誰にもできませんね!

ありがとう!「前略プロフィール」!“激しく”感謝してこの第一弾の記事を終わりたいと思います。

次回は元ユーザに「前略プロフィール」の思い出をインタビューします!お楽しみに♪


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