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4ヶ国語で災害情報を発信し続けるInformation BEPPUについて聞いてきた

2016 6.28

こんにちは、kakeru編集部の峠田あかねです。

4月14日に発生した熊本地震から2ヶ月が経ちました。
余震は少なくなってきているものの、被災地では避難所や仮設住宅で過ごしている方々がまだたくさんいらっしゃるそうです。

地震国である日本で生まれ育った日本人の私たちでも、突然の地震にはなかなか対応できないものです。

しかし、もし旅行で訪れた外国の地で予期せぬ地震などの災害に遭遇してしまったら…?
言葉もわからなければ、どこに行けば安全なのかもわからない。
そんな状況を想像しただけでも不安になります。

実際、東日本大震災では、「緊急地震速報も避難情報も日本語でしか提供されず、状況が良くわからずに当惑した。」ということや、「英語の情報は圧倒的に不足していた。」など、当時東北や関東にいた外国人の方々への対応に課題が残ったということが語られています。

今回の熊本地震で影響を受けた地域に、訪日観光客に人気の観光地である大分県別府市があります。
別府市には、学生と教員の約半数が外国人という立命館アジア太平洋大学(以下APU)もあり、外国の方々が街なかに非常に多くいらっしゃいます。

参考:立命館アジア太平洋大学 国・地域別の学生数(2016年5月1日付)(PDF)

そんな別府では、今回の震災において、外国人に対してどのような対応をとっていたのでしょうか。

そこで今回は、震災時にFacebookを活用して別府での外国人対応を行った「Information BEPPU」に注目し、震災時にSNSで出来ることについて探っていきたいと思います。

私の同期(株式会社オプト)で、APU卒業生の深川が実際に別府までインタビューに行き、「Information BEPPU」を立ち上げたAPU2回生の松尾さんに直接お話を伺ってきました。

 Information BEPPUとは?

別府で発生した震災に関する情報を日本語、英語、中国語、スペイン語の4カ国語で発信するFacebookグループ。地震発生直後よりFacebookグループを立ち上げ、1週間でメンバーは3,000人を超え、現在3,330人のメンバーが登録している。

 

▼プロフィール

話し手:松尾 篤典さん
立命館アジア太平洋大学2年生。高校時代に「アカツキ」にてインターンシップを経験。入学後、東北支援プロジェクト「きっかけバス」の大分県リーダーを務める。東京にてスタートアップの立ち上げに携わり、その後鳥取県庁にて新規事業の立ち上げを行う。地震発生に伴い「Information BEPPU」を立ち上げ。震災後から毎週益城町へボランティアへ行っている。

聞き手:深川謙蔵
株式会社オプトの新卒採用担当。立命館アジア太平洋大学を2014年秋に卒業。在学中に別府の下町で遊び尽くし、その後知人の紹介で、店長としてBARを営業する。現在も月一で別府に通うほどの別府好き。好きなアプリは「Swarm」。

立ち上げのきっかけは、”正しい情報をいち早く届けたい”と思ったこと

――Information BEPPUを立ち上げた経緯について教えてください。

震災で情報が錯乱している中で、正しい情報をいち早く届けたいと思ったことがきっかけです。
災害が起きた時って、みんな災害関連の情報を得たいと思うんですよね。
だけど、実際には色んな情報が飛び交っていて正しい情報か判断するのが非常に難しいと思うんです。東日本大震災の時も、情報が錯綜して困ったという話を聞いていました。

とは言え、最初から災害情報を発信する目的で立ち上がったものではありませんでした。
もともとは熊本にボランティアで行こうとしていた人たちに対してスケジュールなどの情報を共有するためのFacebookのメッセージスレッドだったんです。

しかし、ちょうど熊本に向かう当日に別府でも大きな地震が発生したのをきっかけにFacebookグループに変更し、さまざまな人に参加してもらいました。
タイムラインのトップに重要性や信頼性の高い情報だけを固定して、それ以外は別府市民の方々など、多くの方に現在の別府の状況を投稿してもらえるような体制にしました。

 

―― 別府で地震が発生したとき、外国人の方々への対応がうまくいかなくて困ったと聞きましたが、実際はどうでしたか?

別府は、人口に対する外国人留学生比率が非常に高く、多くの外国人が住んでいる都市であるにも関わらず、外国人の方々への災害時の対応の準備が出来ていませんでした。
例えば避難所ひとつにしても、英語で対応できるスタッフはいないですし、英語の案内もありませんでした。外国人が20名くらい一気に避難所を訪れると受付の対応がスムーズにできないというのが現実でした。

英語対応している避難所マップもどこにあるかわからない状況だったので、日本語が分からなくてもひと目でわかるようにするために、まずはグーグルマップで避難所情報を公開して、定期的に更新していました。

みんなで協力し、複数の言語で情報を発信

――Information BEPPUでは、様々な言語で情報発信をしていますが、運用は大変ではありませんか?

まずは日本語と英語の両言語ではじめました。
運用していくうちに、他の言語対応もした方が良いなと思って、中国語やスペイン語ができる知人に頼んで投稿を翻訳してもらうようになり、4ヶ国語で情報を発信しています。

さらに、グループ内には自主的にタイ語や韓国語やベトナム語などに翻訳してくれる方もいます。自分たちだけではカバーしきれない言語もあったので、すごくありがたかったです。

一番の課題は信頼を得ること

―― 実際立ち上げてみて、出てきた課題は何ですか?

「Information BEPPUを信用してもらうこと」に尽きますね…。正確な情報を発信しているページだと伝えていくことが難しくて、すごく苦労しました。

一方で、投稿される情報の中には間違ったものも混ざっていたので、事実確認を行って情報を精査するのは、管理する側としては大変でしたね。

―― 実際にページに投稿する情報を選ぶ際は、どういうところを重視していたのですか?

情報源に関しては、

1つ目は、行政が発信する情報と市長がFacebookで発信する情報。
2つ目は、自分たちが足を運んで集めた情報。
3つ目は、複数の市民の方々が同じような内容を投稿していた場合の情報。

の3つに分類していました。

発信する情報の内容に関しては、リアルタイム性をとても重視していましたね。
例えば避難所の情報については、今現在どこの避難所が空いているかなどです。1日ごと、細かく言うと数時間ごとに状況が変わっていくので、「今日の」避難所情報じゃなくて、「今日の◯時の」避難所情報みたいな形で発信し続けました。

行政も数時間ごとに避難所の情報を発信していたのですが、実際に空きがあるのかどうかが分かりづらくて……。空いていると思って行ってみたら既に満員で他の避難所へ移動しなければいけないという状況も何度かありましたね。
そんな不便な状況をなくしたくて、リアルタイムに本当に必要な情報を届けることを重視して、行政の目が届かない部分を自分たちの足で得た情報で補完しようと思ってました。

Facebookだからできたこと

―― Information BEPPUの活動でFacebookを活用するメリットは何ですか?

Facebookは他のSNSに比べて、信頼性が高いことが理由として挙げられます。
登録が実名性で、繋がっている友人も実際の大学の友達だったりが多いので。
Twitterは情報をすぐに拡散できて即時性には優れています。しかし、デマも多く流されるので、信ぴょう性に欠けると思い、震災時にはほとんどTwitterを見ませんでした。

それに、テレビがあれば正しい情報を伝えてくれると思うんですけど、外にいる場合はなかなか見られない。ネットニュースは情報が遅い。結果的に、Faceboookの方がスピーディに情報を届けられたと思います。

観光地向けに、情報を多言語に展開するノウハウを伝えていく

―― 今後の活動について展望をお聞かせください。

今は、二次被害を防ぐためのガイダンスを学内で開催したり、毎週末にボランティア派遣を行ったりしています。

しかし、Information BEPPUとして自分たちがやらなきゃいけないことって、ボランティアの派遣だけではないと思っています。ボランティアはすでに出来上がった仕組みで、多くの方がすでにやっていらっしゃるので、自分たちがやらなくても担う人はたくさんいると思うんです。

自分たちだからこそやらなきゃいけないことは、「ローカライズされた言語を多言語に展開すること」かなと思っています。訪日観光客が多そうな観光地などにノウハウを展開していきたいと思っています。

まとめ

今回取り上げた別府は、先述したとおり外国人留学生比率が高い地域です。
そんな別府で起きた今回の震災から、今後インバウンド観光客をたくさん受け入れていく日本として、
学べるものがたくさんあったのではないでしょうか。

全国でインバウンド観光客による消費が過熱する中で、そういった観光客を本当の意味で迎え入れることができるよう準備していく必要性を強く感じました。

最後に

この記事は、5月28日に取材したものです。本日、Information BEPPUの松尾さんから、こんなメッセージが届きました。

「その後、熊本は先日の雨で川や山が崩壊し、引き続き人が必要な状態が続いております。 もし、今からでも募金のご協力をして頂ける方は、ご一報頂けたらと思います。また、 企業様や自治体様で、お仕事のご依頼や協賛のご連絡も是非お待ちしております。」

募金や協力のお申し出やお問い合わせは、information BEPPUの松尾さんへ直接お願いいたします。 みなさまのご協力をいただければ幸いです。

松尾 篤典:informationbeppu@gmail.com


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