新型コロナ影響下におけるSNSの動き «その他»

2020 4.14

ここでは、InstagramやTwitterのように、プラットフォームを限定せず、大きな潮流として印象的なものをふたつご紹介します。さまざまな企業の取り組みは、結果的に私たちをとりまく世界へとつながっていくと考えられます。


ここでご紹介するのは、海外企業のアプローチ、メッセージング広告・動画事例、そしてカルチャービジネスにおけるアイデア事例です。

海外企業のアプローチ

世界中に広がっている企業においては、発信するBI(ブランドアイデンティティ)が社会的な意義に直接に紐づいており、非常に重要なメッセージングとなっています。ソーシャルディスタンスをBIによって表現する事例は海外では多数見られますが、比較すると日本では少なく、組織や体制づくり、BIに対する考え方の醸成など、日本での課題となってきたことがこのようなイレギュラーな局面では浮かびあがってしまうということなのかもしれません。

■バーガーキング「Stay Home」

「ワッパーの本拠地(home)」という屋外のアルファベットをあえて打ち消して「stay home」というダイレクトなメッセージに変換。

代理店Klugによるブランドロゴ施策「Go Home」

ウェンディーズロゴのあの顔も、スタバロゴのあの顔も、消えてしまった。みんな家にいるってことだね!というメッセージ を発信。

マクドナルドのロゴが分解…!そのワケは「Separados, mas #TMJ」

「感染を広げないように、人と人との距離は取りましょう。」「アーチが印象的なマクドナルドのロゴも、距離を取りました」「でも、コロナと戦うために人と人との団結は必要です。いつかまたMのマークに戻れると信じて!」ロゴを社会的意義に変換。

Audi「Keep Distance」

アウディのロゴもお互いの距離を取り始めました。

■フォルクスワーゲン

フォルクスワーゲンも同様にロゴの距離は取りつつも、心の距離はみなさんの近くにあります、といったハートフルなコミュニケーションを取っています。

■BIによるソーシャルディスタンス発信事例まとめ記事

「距離を取ろう」世界各地の企業がロゴ変更で呼びかけ マクドナルド、アウディ、コカ・コーラなど

【お互いの距離をとって】マクドナルドなど有名企業が自社企業ロゴをソーシャルディスタンスにアレンジ

■日本企業も少数ではあるものの、事例があります

GMO INTERNET GROUP
【公式】ルナルナ
株式会社オプト

メッセージング広告・動画事例

日本企業におけるメッセージング広告の事例は、まだあまり見かけることがありません。これからそのようなものも登場してくるのではと考えられます。

イスラエルIKEA「Stay Home」

一軒家のイラストと、鍵と玄関錠、それにトイレットペーパーが100個が必要なこと、その下には扉を締めておくことが描かれたプリント広告。

IKEA家具の説明書は複雑な家具の組み立てにも、極力シンプル化したピクトグラムだが、「自宅待機」もピクトグラム説明書風に伝えたもの。トイレットペーパーはジョークかも。

スペインIKEA「Stay Home」

「ハロー、僕は君の家だよ。子どもたちが成長した場所、素敵なニュースをお祝いした場所、嫌なことから逃避した場所、僕は、君が君らしくいられる場所だ。」この状況だから仕方なく自宅に籠る、ではなく、家を擬人化してメッセージを発することで、ポジティブな意味に転換しています。

オレゴン州のStay Homeキャンペーン「Numbers – Stay Home Save Lives Oregon」

もしあなたが家にいなかったら、我々はコロナウイルスを拡散し続ける。オレゴン州全員のうち、1.4%が亡くなるでしょう。

人は平均して600人の知人がいるから、平均5人の知人が死ぬことになる。先生、チームメイト、医者、親戚、あなたの子どもだって。

「生きるか死ぬかは、あなた次第なのだ」アグレッシブなメッセージだからこそ本気度が伝わる、タイポグラフィでまとめた広告。

■ジャックダニエル「With Love, Jack」

「人と距離を取っても、アイデアさえあれば楽しむことはできる」そんな一般の人々のシーンをリアルに切り取ったエモーショナルな広告。

人との距離を確保しつつもコミュニケーションを楽しもうと工夫する「Social Distance」に乾杯!というメッセージとともに、お酒のPRは一切せず、社会的意義に寄り添う価値に昇華しています。True Colorsの音楽もいいですね。

Jeep「Off Road, In House」

Jeepのボンネットから見える景色が車庫。つまりコピーで表現される「The Best Way for These Days.」にある通り、車庫にいる状態=出かけない。

今室内にいることがベストな選択であることを、車の目線を通して伝えています。

ドミノ・ピザ「Dominos Pizza. We deliver to your doorstep.」

「あなたは家でオーダーしなさい。私たちが届けに行きます。」ドミノ・ピザがなるべく人々を外出させないようモバイルオーダーの行動を促したキャンペーン。いつものカラフルなテイストとはかけ離れ、少し硬いトンマナにすることでよりメッセージを強調しています。

Vodafone 「Together con la GigaNetwork di Vodafone」

5Gの登場とコロナの状況をかけたVodafoneの動画。「オンラインで誰かとつながろう。一緒に勉強、一緒にリラックス、一緒に音楽、一緒に食事。Vodafoneの高速5Gネットワークなら、そんなことも簡単。」といったメッセージ。

バドワイザー「Budweiser | One Team」

この状況で、スポーツプレイヤーではないヒーローがいる。物資を届ける流通の人や、医療従事者、社会を維持している人々だ。

ジャイアンツもヤンキースもエンゼルスも関係ない。「今シーズンは、我々はみんなで1つのチーム」というメッセージとともにスポーツマンシップにからめたCSR施策。バドワイザーがスポーツへの投資資金を、これらフロントで戦っている“ヒーロー”への寄付にあてると明言。観戦スタジアム等を、コロナ危機に対応する赤十字社に開放するようです。

Google Doodleで手洗いを推奨

春分の日に、ハンガリー出身の医師センメルヴェイス・イグナーツのDoodleが世界中で表示されました。19世紀中ごろ、当時死亡率が高かった出産後の女性に着目し、医師の手洗い法を提唱した人物です。当時は嘘つき扱いされましたが、彼の死後、女性の死亡率は劇的に下がりました。WHOのガイドラインに基づいた、正しい手洗い方法をインフォグラフィックなHowTo動画にまとめています。

■世界中の広告事例まとめ記事
【世界のコロナ広告34選】今だから刺さる言葉たち


カルチャービジネスのアイデア発信

外出自粛に伴い、動画視聴系サービスやゲーム系は、ライフスタイルの変化とリンクして需要が高まっているものの、興行を中止・延期せざるを得なくなったエンターテインメント系企業は深刻な局面に立たされています。そんななかでも文化をつくってきたように、クリエイティブなアイデアによって、この危機を乗り越えようという動きが日本でも見られます。


独立系映画館が自宅で映画を楽しめるようにと、「UPLINK Cloud」で見放題プランを早々にローンチ。

Big Hit Entertainment 「BTS オンラインコンサート」の開催

ソウルコンサートが中止になった4月18日(土)〜19日(日)の2日間、BTSのコンサートを楽しめるライブストリーミングイベント「BTS ONLINE CONCERT WEEKEND ‘BANG BANG CON’」を開催。

■世界のゲーム企業、WHOとタッグ 新型コロナ対策で

世界保健機関(WHO)の呼びかけに世界のゲーム企業各社が応じた形で、ゲーム企業各社とWHOと共同でキャンペーンを開始しました。ゲームを自宅ですることで不要不急な外出を抑え、感染拡大を防ぐ狙い。ゲーム各社は期間限定でゲーム内で使えるアイテムを用意して楽しみやすい工夫をするほか、新型コロナ対策のメッセージも届けるということです。キャンペーン名は「#PlayApartTogether(日本語訳・離れて一緒に遊ぼう)」。

各社がSNSに同名のハッシュタグで投稿したキャンペーンのロゴ

CHOCOLATE Inc.「劇団テレワーク」旗揚げ

コンテンツスタジオCHOCOLATE Inc.が旗揚げした「劇団テレワーク」。企画、稽古、公演の全てをZoomで展開するようです。

■音楽ストリーミングサービスSpotifyでミュージシャンを支援する「Spotify COVID-19 Music Relief project」開始

ユーザーがSpotify上の音楽団体や支援組織などに募金すると、Spotifyも同額ぶん寄附を行うというもの(1ドル分あたり1ドル、最大1,000万ドルまで)。
これとは別で、Spotifyではいくつかの企業がプレイリストを新たに公開するなどの動きも見られます。

■クリエイティブなアイデア事例まとめ記事
新型コロナ禍の苦難に立ち向かうクリエイティブなアイデア



(株式会社オプト ソーシャルメディアマーケティング部調べ)


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