黒歴史から平成のブームを読み解く。 #平成のSNS黒歴史 を語る会

2019 6.5

30年続いた「平成」が終わり、2019年5月1日から新しく「令和」時代が始まりました。

さて、平成の時代には一体どんなことがあったでしょうか。

「デジタルネイティブ世代」の平成生まれは、物心ついた頃からインターネットが身近な存在に。前略プロフィールやmixiを始めとしたSNSと青春時代を生きてきました。

思春期をともに過ごしたSNS。今振り返ると”黒歴史”が詰まっている人も多いのではないでしょうか。そんな黒歴史を辿ってみたら、平成のブームを読み解くことにもつながるのかもしれません。
平成の終わりの4月24日、インターネットの黒歴史を振り返るために『 平成のSNS黒歴史を語る会 』が開かれました。

登壇者・モデレーターの紹介

大川竜弥
自称・日本一インターネットで顔写真が使われているフリー素材モデル。1,500枚以上のフリー素材を公開していることから、「黒歴史製造機」「全身デジタルタトゥーの男」と呼ばれている。(Twitter:@ryumagazine

佐伯ポインティ
株式会社ポインティCEO(チーフ・エロデュース・オフィサー)。東京生まれの25歳。早稲田大学文化構想学部を卒業後、株式会社コルクに漫画編集者として入社。2017年に独立しエロデューサー活動を始める。2018年、日本初の完全会員制「猥談バー」をオープン。赤子体型。(Twitter: @boogie_go)

飯塚みちか
1991年生まれ、島根県出身。早稲田大学文化構想学部卒業後、2015年に株式会社オプトに入社(現在は株式会社Quark tokyoに勤務)。SNSコンサルタントとしてBtoC企業を中心にSNSマーケティング支援を行う傍ら、副業としてライターとしても活動中。(Twitter:@mmmiiz

ギャル電
現役女子大生ギャルのまおと元ポールダンサーのきょうこによる電子工作ユニット。「ギャルも電子工作する時代」をスローガンに、ギャルによるギャルのためのテクノロジーを提案し、「デコトラキャップ」「会いたくて震えちゃうデバイス」などギャルとパリピにモテるテクノロジーを生み出し続けている。夢はドンキでアルドゥイーノが買える未来がくること。(Twitter:@GALDEN999

りょかち(モデレーター)
1992年生まれ。京都府出身。学生時代より、「自撮ラー」を名乗り、話題になる。現在では、自撮りのみならず、若者やインターネット文化について幅広く執筆。著書に『インカメ越しのネット世界』(幻冬舎刊)。その他、朝日新聞、幻冬舎、宣伝会議(アドタイ)などで連載。(Twitter:@ryokachii)

参加者と共に思い出す黒歴史

当日会場に入ると聞こえてくるのは、平成に流行ったヒット曲の数々。
さらにテーブルの上には、子どもの頃夢中になって食べた駄菓子がお出迎えしてくれます。

カラオケで何度も歌った曲を聴きながら、大好きだった駄菓子を食べていると、学生の頃を思い出して懐かしい気持ちに。

さらに当日限定の昔懐かしい掲示板も設置されました。
URLを開くと、見た目も昔よく使っていた掲示板そのもの。

そのなかに立てられた「黒歴史スレッド」には、参加者の黒歴史が
告白され、ゲストが審査する「黒歴史バトル」も行われました。
ユニークな黒歴史を持つ参加者には、ゲストから個性豊かなプレゼントが贈られます。

イベントハッシュタグ「#平成のSNS黒歴史」を覗いてみると、イベント内容の実況はもちろん、自分の黒歴史をつぶやいてくれている人もいます。

自分がいつ頃からSNSと共に歩み始め、どんな使い方をしてたかなと振り返ってみるのも楽しいかもしれません。

リアルじゃ出会えない人と繋がれるのがインターネット

りょかち:「黒歴史はインターネット無くしては語れない!」ということで、平成のネット年表を作成してみました。みなさんは、どのあたりからネットを使い始めたんでしょうか。

佐伯ポインティ(以下、ポインティ):僕は前略(※1)世代ですね。当時、進学校に通っていて自分も周りも大人しかったので、不良っぽい生き方をしてる人が気になってて。。なので自分から、ネット上にいる荒れてそうな人に連絡して話を聞いたり、実際に会いに行ったりもしました。親のタスポでタバコ買ってる人とか、声低くしてコンビニでお酒買ったりしてる人とかいて、感動してました。

りょかち:良い出会い…。

ポインティ:ネット上で知り合った人と文通もしました。その人がちょっとクセの強い人で、椎名林檎みたいな文体で手紙を書いてくる人なんですよ。「これ」を「是」と書くような。だから僕も村上春樹風の文章で返して応戦してました(笑)。

りょかち:普通に生きているだけでは出会えない人と繋がれるのがインターネットの良いところですよね。ギャル電さんはどうですか?

まお(ギャル電):私も前略世代ですね。ただ、当時はタイのプーケットにいてギャルのミームとかもなかったので、日本のギャルに憧れてタイでソロギャルをやってました(笑)。でもギャルだけが使う出会い系アプリ「ぎゃるる」を通じて、初めて彼氏もできました。

りょかち:マッチングアプリも今では当たり前になってきましたけど、当時はまだ抵抗があった人もいたはず。そんな中でギャル専用というニッチなマッチングアプリを活用されていたのは、すごい(笑)

大川竜弥(以下、大川):羨ましいです。僕の世代はマッチングアプリというか、出会い系もまだあんまりなくて。フリー素材を仕事にしているからか、マッチングアプリで僕の顔をアイコンに設定している人も多いみたいで、フォロワーさんからたまに連絡がくるんですよ。それくらいでしか関われていないので、「いいな」と思います。

りょかち:大川さんのSNSデビューは、どれだったんですか?

大川:僕は唯一の昭和生まれなんですけど、デビューは遅くてmixi(※3)だったと思います。自分だけのアルバムを作ることができたので、フランクフルトを食べる女性だけの写真をひたすらに集めてました(笑)。

りょかち:公開アルバムじゃなくてよかったですね(笑)。自分の興味関心をインターネットで探して集めておけるのが、あの頃とても新鮮だった記憶があります。

語尾に(おい)をつけていたあの時代

りょかち:インターネットで「やっちゃったな?」って思うことってありましたか?

ポインティ:多感な時期にエロサイトが見たいけど、検索ワードがわからなくて苦労したんですよ。最終的に外国系の動画エロサイトにたどり着いたんですけど、いろいろ見てたらある日突然47万円の請求額のメールが来たんです。

会場:(爆笑)。

ポインティ:幼かったのでよくわからなくて、「そんなには見てないはずだから値下げしてほしい」ってメール返しちゃったんですよね。そうしたら受信ボックスに永遠に請求メールが来るようになっちゃって…当時は家族で1台のパソコンを使っていたので、親にバレて怒られました。

大川:動画を観られる環境だったことが羨ましい。僕が若い頃は、アイコラしか見るものがなくて、その上読み込みに時間がかかって顔から少しずつ表示されていくんですよ。それがすごくじれったかった記憶があります(笑)。


みちか:私は、2ちゃんねる(※4)の頃からインターネット漬けの人生を送ってきたので、もう黒歴史しかないかもしれない…。わかりやすい黒歴史だと、はてなダイアリーで死ぬほどポエムを書き散らしてました。書き方も文末に「(おい)」とか「(待て待て)」って書くのが流行っていて。連発していたのを振り返ると、恥ずかしくなります。

りょかち:文末に変なツッコミを入れるのは私もやってましたね。あとはスマホじゃなくてガラケーだからこそなんですけど、ブログで何行も改行されていて、下にずっと進んでいくと本音が出てくる書き方もありましたよね。

記事ごとにパスワード設定することもできたから、パスワードを知っているかどうかで仲良しレベルがわかるっていう…(笑)。

みちか:当時はインフルエンサーがいなかったので、地元のヤンキーとか可愛い女の子の影響力が凄くて、その人たちの日記をひたすらに徘徊していた思い出があります。

りょかち:地元の何でもない女子高生の「今日〇〇食べた」っていうつまんない投稿でも、いいね数がやたら多かったりしましたよね。インターネットを身内だけで使っていた時代では、今で言う「気になるインフルエンサー」はもっと身近な人だったなあと思います。

インターネットはもう隠キャのものじゃない

りょかち:昔と今で「インターネット変わったなあ…」と思うことってありますか?

きょうこ(ギャル電):昔は隠キャって踊ったり表に出てくるようなことはできなかったからこそ、匿名性の高いインターネットの世界の中で生きていたと思うんです。だけどTikTok(※5)の流行りによって、誰もが表に出てくるようになった気がします。

大川:誰もが表に出れる反面、美男美女とイロモノ枠がいて、世の中の縮図も見えてしまう世知辛さもありますよね。ただダンスがキレキレだったり、イロモノ枠でも一芸があれば世に出やすくなったとも思います。

りょかち:そういう意味では良い時代なのかもしれないですよね。インターネットが一般化してきて、色んな人が、自分の個性を、自分に合った方法で簡単にアピールできるようになったと思います。

黒歴史はネットの海を漂っていく

みちか:最近は少し都合の悪いことが起きると、アカウントもすぐ消してしまうことが多い気がします。ネットにふれている量は昔より今のほうが圧倒的に多いし、スクショで残ってしまうものもありますけど。昔は、アカウントや情報の消し方がむずかしくて…消しきれなかった自分の黒歴史が、一生ネットの海に流れていってしまう感覚がありました

大川:「ネットの海」って良い表現で、宇宙じゃなくて海というところがポイントですよね。うっかりすると戻ってきたりしますもんね。

ポインティ:僕はモバゲー経由で出会った人と、最近たまたま再会しましたよ!その人に今の会社の税理士さんを紹介してもらったりもしました。

りょかち:ネットの海の中、再会したんですね。いい出会い。

黒歴史は当時の最先端のトレンド

りょかち:ところで、黒歴史ってどうして生まれるんだと思います?

大川:というか、そもそも当時は「黒歴史」と思ってないですよね。その時は自分が正しいと思ってやってますもん。

りょかち:カップル動画なんかもきっとそうですもんね。ポエム調の文章も今見ると恥ずかしいけど、当時はそれが当たり前だったので違和感なくやってましたもん。

大川:だから黒歴史はなくならないのかなとも思います。

ポインティ:僕は掲示板文化が盛んだった頃に人気者だと思われたくて、自作自演で盛り上げていましたね。アホなのでIDがそのままで、周りにはバレてましたけど(笑)。でもあの頃は、注目されたい一心だったんだ思います。

みちか:さっき話した「(待て)」「(おいおい)」みたいなのってみんなやってたし、流行ってたので疑問すら持たなかったけど、今見ると恥ずかしいじゃないですか。だから今当たり前に使ってる絵文字とかも、もしかしたら将来黒歴史になるかもしれないですよね。

りょかち:トレンドの最先端だったからこそ、逆に時間が経つと古くなっていってしまうのかもしれないですね。

大川:ネットで生きてきた僕たちが親の世代になったら、子どもたちに将来検索されて、うっかり黒歴史が戻ってきちゃうかもしれないですよね…。そう思うとけっこうきついなと思います。

会場:(ため息)

りょかち:私も親になったら「りょかち」って呼び名から卒業しようかな…(笑)。

令和の黒歴史予想

りょかち:平成が終わり「令和」を迎えるにあたって、これからどんな黒歴史が生まれると思いますか?

大川:個人の特定がもっと進むので、今ほど匿名アカウントができなくなると思うんですよ。なので、ネットでおふざけした人たちが、どんどん身バレしていく気がします。

りょかち:私はテキスト文化が廃れてきて動画文化の時代になっているので、そのぶん黒歴史がリッチに残っていくと思います。テキストから写真へ、写真から動画へ、動画もどんどん高画質に…みたいな。

ポインティ:2.5次元のアバターが増えて、それがどんどん現実世界に影響を与えるんじゃないですかね。彼氏いるのに、アバターとVR浮気しちゃう、とか。

みちか:昔モバゲーやアメーバでアバターに凝っていた時代があったんですけど、今のVRでも同じことが起きると思うんですよね。例えば、今は露出度が高いものが流行ってるけど、もっと「漆黒の堕天使」的な着込んだものが流行るようになるかなと思ってます。

きょうこ(ギャル電):今の若い子たちってモバゲーや前略すら知らないじゃないですか。だから、黒歴史が原点回帰していく未来もあると思うんですよね。コミュニティ文化とSNSが進みすぎて、洞窟の壁画にアバターを書くみたいなとこまで戻ったら面白いなと思います。

まとめ

青春時代の恥ずかしさが詰まった「黒歴史」の思い出。

全力でインターネットを楽しんでいたあの頃は、まさか黒歴史になるなんて微塵も想像していなかったのではないでしょうか。むしろ、嬉々として使っていたという心覚えがある方のほうが多いのでは…。

それは、世代が変わってもきっと一緒。

いま流行っている全てのことが、何年か後には黒歴史に変わっているかもしれません。

果たして、令和の黒歴史はどんなものになるのでしょう。

平成の黒歴史経験者として、令和の黒歴史も共に刻んでいけたらと思います。

※1【前略プロフィール】(ぜんりゃくぷろふぃーる)
通称「前略」「前略プロフ」。2004年に開発されたWEBサイト作成サービス。日本におけるプロフサービスの先駆け。画像やリンクなどを貼り付けることができたため、交流などを目的に学生を中心に広まった。好きな質問に答えていくだけで自己紹介サイトができていき、個性を発揮できるため黒歴史が大量発生した。https://kakeru.me/other/snl-zenryakuprofile/

※2【mixi】(みくしー)
2004年に開発されたソーシャル・ネットワーキング・サービス。コミュニケーションを軸としており、当初は入会済みの登録ユーザーから招待を受けないと利用登録ができない完全招待制だった。若者だけではなく、社会人にも広まった。自分のページに訪れた人がわかる「足あと機能」により様々な交流が生まれた。(どちらも現在機能は廃止)

※3【モバゲータウン】(もばげーたうん)
2006年にサービスが開始された携帯電話向けのポータルサイト兼ソーシャル・ネットワーキング・サービス。様々なゲームを無料で楽しむことができたため男性を中心に人気。プロフィールに設定できるアバターでいかに個性を発揮できるかガチャに全力を注ぐ人も生まれる。2011年に「Mobage」に名称変更。

※4【2ちゃんねる】(にちゃんねる)
通称「2ch」「2ちゃん」。1999年から開始された日本の電子掲示板。掲示板の規模としては国内最大であり、炎上や流行の発生源になるなど社会的影響も多い。匿名性からさまざまな年代の人が自由に発言し、独特の用語や文化も数多く生まれた。2017年「5ちゃんねる」に名称変更。

※5【TikTok】(てぃっくとっく)
2016年にサービスが開始された、モバイル向けショートビデオのプラットフォーム。選んだBGMに合わせて動画を作成・編集し公開することができる。投稿やシェアのハードルの低さから10代を中心に人気。

Writer  佐倉ひとみ
Editor とみこ
Photo きょーいち
Design  會川誠也
Project Manager 佐藤帆奈美
Support 鵜ノ澤直美 三川夏代 酒井大輔




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