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消える系SNS、オワコン化させないカギは「場面」で「自撮り」!?|エフェメラルSNSラボ(連載01)

2016 7.13

こんにちは。エフェメラルSNSラボ所長の飯塚みちかです。
(エフェメラルSNSラボのご紹介:「エフェメラルSNSラボ」を設立しました

Snapchatの登場以降、「スナチャが流行る」「消える系SNSが流行る」と言われてきましたが、感度の高い開発者達が類似SNSを作っては失敗してきたことをご存知でしょうか。

今回は、エフェメラルSNSラボの第一弾記事として、日本国内でのエフェメラルSNS興亡の振り返りと、今後の発展についての予想を行いたいと思います。

果たして、今後日本で消える系SNS=エフェメラルSNS(※1)は「オワコン」化してしまうのか、それとも…!?

(※1…一定時間経過後、投稿やメッセージが自動的に消えるSNSのこと。)

Snapchat誕生後、「スナチャ風SNS」が生まれては死んでいった

最近話題になっている「Snapchat」がローンチされたのは、2011年9月。実はもうすぐ5歳です。「イマドキのSNS」というイメージが強いスナチャですが、SNSとしては長寿なのです。

そんなスナチャがApp Storeに登場してからというもの、国内外では数多くのエフェメラルSNSが後を追ってローンチされました。

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2013年~2014年にかけては、日本国内でも5件のエフェメラルSNSのローンチが確認できます。しかし、5件のうち、2016年7月現在まで生き残っているSNSはなんと”ゼロ”。海外でも同様に、類似SNSが登場と消滅を繰り返していたようです。

競争に勝ち抜いたエフェメラルSNS、他とは何が違ったのか

Snapchatのように比較的長く生き残っているエフェメラルSNSの一つに、「Wickr」というSNSがあります。このSNSは、メッセージの暗号化やスクリーンショット防止機能が搭載されており、セキュリティが非常に強固で機密性が高いことから、流出厳禁な内容のやりとりに利用されているようです。

また、2015年9月に韓国でローンチされた「SNOW」も、App Storeランキングで常に上位をキープし続ける人気SNSとなっています。

SNOWが人気である理由として、高い動画処理能力や、楽しい加工機能、さり気なく盛れるフィルターの搭載などがしばしば挙げられます。しかし、SNOWが支持されている理由は、機能面だけでなく「時期を上手く掴んだ」ということも大きな勝因となっていると考えられます。

ここからはエフェメラルSNSのなかでも、若年層の間で流行している「画像加工機能つきエフェメルラSNS」に言及していきます。

日本でSnapchatがなかなか流行らなかったのは、「自撮り」文化の遅れのせい

以前から「日本でもそろそろ流行るはず」と言われていたスナチャですが、なかなか流行しませんでした。その大きな要因として、日本での「自撮り」文化の定着がアメリカを始めとした海外諸国よりも遅れていたことが挙げられます。

日本で「自撮りパンデミック」が起きたのは、2014年末から2015年初頭にかけてのこと。韓国で大流行した「セルカ棒(自撮り棒)」が、若年層を中心に人気アイテム化したためです。

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「自撮り」「セルカ棒」のGoogleトレンドを見てみましょう。2014年末から2015年にかけて「セルカ棒」の検索ボリュームが増えるのと同時に、「自撮り」の検索ボリュームが一気に底上げされているのがよく分かりますね。

一方、英語圏では2013年に英オックスフォード辞典が今年の言葉に「セルフィー」を選定しています。日本での自撮りの流行は、英語圏から2年も遅れてやってきているというわけです。

さきほど紹介した国産エフェメラルSNSのほとんどは、自撮り機能をメインとして搭載していました。消えていった大きな敗因は、自撮り流行の機運を逃したせいだったのかもしれません。

「盛る」ための自撮りから「『場面』で楽しむ」ための自撮りへ

これまでの自撮りには、加工の作業がつきものでした。自撮りは、「理想の自分の姿」を表現するための行為だったからです。画像加工した理想の自分を他人に見せることで、人々は承認欲求を満たしていました。

しかしSnapchat以降、自撮りの加工作業が不要になりつつあります。顔認識でのエフェクト機能が実装されたことで、変身するモノ・コト・ヒトを簡単に選ぶことができるようになったのです。加工作業が省略されたことにより、いつでもどこでも自撮りを楽しむができ、他者にすぐ共有できるようになりました。

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つまり、自撮りはこれまでの「『盛れて』いる私を通じて承認欲求を満たす行為」から、「その場で変身願望を叶えることによる純粋な驚き・笑いを楽しむ行為」へと変容していったと言えます。Instagramが「世界観」を表現して楽しむSNSであるとすれば、エフェメラルSNSは「場面(≒成り行き)」を楽しむSNSなのです。

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また、エフェメラルSNSでは「投稿が消える」という特性から、投稿に対する後悔や不安など、ネガティブな要素が軽減されます。

SNSへの自撮り投稿には、「画像がインターネット上に半永久的に残ってしまう」、「予想していなかった相手にも自撮りが見られてしまう」という不安がつきまといます。自撮りを投稿したあとで、後悔したりすることもあるでしょう。しかし、エフェメラルSNSでは一定時間でコンテンツが消滅することから、他者に見られる回数も制限され、自撮りを気軽に投稿できるのです。

この特徴が、エフェメラルSNS上への自撮りコンテンツのアップロードを後押ししています。

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「Snapchat」と「自撮り」について、Googleトレンドを見てみると、「自撮り」の検索ボリュームが増加していったのを追いかけるように、「Snapchat」の検索ボリュームが増えていることが分かります。

日本の若者たちの中で自撮りとの付き合い方が変容していくなか、自撮りをより楽しむ方法として、SnapchatをはじめとしたエフェメラルSNSの需要が少しずつ増えてきているのではないでしょうか。

日本でエフェメラルSNSが流行するか否かの大きなカギは、自撮りを「場面(≒その場、成り行き)で楽しむ気楽な行動」と捉える意識が、より当たり前のものになっていくかどうかにかかっていると言えそうです。

それではまた!


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